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開催終了【韓国の精神】ソウルのお作法

詳細

2013年04月03日 20:53 更新

【ソウルのお作法】「個人主義」と「ウリ主義」

   KRN株式会社『The Daily Korea News』チーフアナリスト 三木英明

 日本人と韓国人は外見がよく似ていることから、ややもするとお互いが、自
分の考えや行動を一方的に相手に押しつけ、意にかなわないとけなしたり卑下
したりする傾向があります。しかしそこは外国。それぞれ独自の風土や伝統、
文化があり、これを無視した身勝手な思い込みが相手には傲慢な態度に映りま
す。「外国なんだから違うのは当たり前」という「異質性」を尊重する姿勢こ
そが、日韓ビジネスの成功の秘訣といっても過言ではありません。
 韓国人を理解する上で最も重要なことは、彼らの「個人主義」と「ウリ(私
たち)主義」という帰属主体をめぐる、相反する本質を理解することです。
 韓国人の「個人主義」は日本の想像をはるかに超えます。家庭でも社会でも
まずは「我在りき」。「私」が一番大切なのです。従ってこの国には「滅私奉
公」などという言葉はありませんし、汚職企業の社長を守って役員が自殺する
などという徳川幕藩体制の名残もありません。
 国民性の比較でも日本は「粘土」、韓国は「砂」です。粘土は一つ一つの粒
は小さいですが握りしめれば固まります。一方、砂の粒は大きいものの握りし
めても固まらずパラパラこぼれ落ちます。日本では「三人寄れば文殊の知恵」
となり、組織論では「1+1を3」にしますが、韓国では元々自我の強いスタ
ー選手の集まりですから「三人寄れば7つのグループ」ができてしまい、お互
いが自己主張しあいますので「1+1が2以下」になってしまいます。
 その半面、韓国人は「ウリ(私たち)」という帰属主体に入った途端、相手
に本音をさらけ出し、恩恵を期待しつつ、帰属主体のために自己を捧げるとい
う一面も持っています。その帰属主体は日本のように組織中心ではなく「私」
を第一に、家族、親族、地縁、学縁、友人などの順に広がる人間中心のものに
なります。しかもどの帰属主体に属するかによって、自らの安定感や社会的な
身分と役割への期待が異なってくるのです。
 「ウリ主義」を支えるのは強力なリーダーシップです。だからこそ国家には
大統領、財閥グループには会長、家庭には家長という大きな求心力、リーダー
シップが求められるのです。これさえしっかりしていれば、「家族以外はすべ
てを変えろ」(=会社の方針に絶対服従しろ)、「1人の優れたリーダーが何
千、何万の社員を率いる」(=個人主義を捨てろ)という李健熙(イコンヒ)
サムスングループ前会長の“独裁的”ともいえる檄も、当の本人たちには、大
きな「ウリ社会」に守られている安心感で、心地よく聴こえるのです。あなた
は社員さんや現地スタッフにこんな檄をとばせますか?
(※写真は、2009年、『The Daily Korea News』創刊20周年/5000
  号の際に、『毎日新聞』に紹介されたときのもの)
http://www.intecjapan.com/news/2010/03/post_191.html



【ソウルのお作法(2)】「ケンチャナヨ精神」
2010年04月05日

KRN株式会社『The Daily Korea News』チーフアナリスト 三木英明

 韓国人の国民性を端的に表す言葉の一つに「ケンチャナヨ」という言葉があ
ります。「大丈夫」「ドンマイ・ドンマイ」という意味で、実際、韓国人との
会話の中で頻繁に出てきます。
 こちらがミスした時は「大丈夫、気にするな」といった心やさしいいたわり
の言葉に聴こえますが、相手の場合は、自分のミスを棚に上げ「仕方ないじゃ
ないか、ドンマイ、ドンマイ」と開き直り風に聴こえる実に厄介な言葉です。
よく言えば「コリアン・ホスピタリティ」に代表される「おおらかな国民性」
を象徴しますが、半面、なんでもこの一言で済ます「アバウトな国民性」を印
象付ける言葉でもあります。多くの日本人ビジネスマンが、この一言に翻弄さ
れ、頭に血をのぼらせ、胃を痛くするのです。実際、「韓国人不信病」にかか
ったり、「韓国人大嫌病」になった“患者さん”を数多く見てきました。
 たとえば世界に誇る時計メーカーのS社。かつて韓国に技術供与し、米国向
け輸出用壁掛け時計にSブランドの使用を認めていました。その大前提は「正
確さ」。そのため「月差数秒」の狂いも許さない厳しい最終検査工程を課して
いましたが、実はこの検査コストは全製造コストの20%を占めます。
 ここで国民性の違いが出ました。S社にとっては20%といえど大事な必要
経費ですが、「ケンチャナヨ精神」の韓国人経営者にとっては、いくら考えて
もロスにしか見えないのです。「1、2分遅れようが、2割安いほうが売れる
に決まっている」と無断で最終検査をはしょってしまいました。効果はてきめ
ん。飛ぶように売れました。なにしろ同じSブランドでも韓国製のほうが数段
安いのですから・・・。
 問題はクオリティです。ところが不思議なことに米国の消費者からは「時間
が狂う」というクレームはほとんど出ませんでした。聞けば米国人も時間には
意外と無頓着で、それなりの価格なら、少々の誤差は気にしないそうです。
 しかしブランド使用を許可している日本側にとっては、沽券に関わる許され
ざる所業です。さっそく韓国人経営者を厳しく問い糾したのですが、反省のそ
ぶりすら見せず、一言、「ケンチャナヨ」。まさにS社のプライドを根底から
覆すもので、即刻、契約を破棄したそうです。因みにこの韓国メーカー。その
後は自社ブランドながら「格安路線」で米国の中級品市場を席巻しました。ま
さに「恐るべし! ケンチャナヨ精神」です。この一例を見ても「几帳面な日
本人」と「アバウトな韓国人」の国民性の違いがよくわかります。
 ところでそのアバウトな韓国人が、いまや産業製品の中で最も精密性を要求
される半導体市場で世界をリードしているのは実に興味深い現象です。その秘
密は後日改めてご紹介しましょう。
http://www.intecjapan.com/news/2010/04/post_195.html



【ソウルのお作法(3)】「反日感情」
2010年05月10日
   KRN株式会社『The Daily Korea News』チーフアナリスト 三木英明

 長年、企業の韓国赴任前研修を行っていますが、受講者のみなさんの一番の
関心事は韓国での「反日感情」です。「韓流ブームと言いながら、実際現地に
行けば根深い反日感情があるのではないか?」と戦々恐々です。結論から言っ
て建前論では「ある」、実態論では「ない」とお答えするようにしています。
 建前論の反日感情はメディアの世論調査に表れます。
 先日も、8月に日韓併合条約締結100年を迎えるのに先立ち、読売新聞社
と韓国日報社が共同で世論調査を行いましたが、案の定、現在の日韓関係につ
いては、日本では「良い57%、悪い29%」、韓国では「良い24%、悪い
73%」でした。また、お互いの国を信頼できるかどうかを聞くと、日本では
45%が「(韓国を)信頼できる」と回答したのに対して、韓国では逆に80
%が「(日本を)信頼できない」と回答しました。
 これをもって4月17日の『読売新聞』は、《過去の歴史がなお、両国関係
の評価などに影を落としていることが浮き彫りになった》と報じましたが、長
年日韓関係を見てきたコラム子からすれば「???」です。本連載(1)でご
紹介した「ウリ(私たち)主義」の観点が欠如しているからです。「ウリ」の
帰属主体を「大韓民国国民」とした場合、大半の韓国人はナショナリズムを背
景に大上段に構えた「官製世論」に従いますのでこの数字は当然と言えます。
 しかし、実際に8割の韓国民が日本を信頼していないかと言うと、とんでも
ありません。これが事実ならソウル駐在員の現地生活は猜疑心にさいなまれる
針のむしろの毎日になりますし、韓流ファンの女性観光客を当て込んでいる飛
行機やホテルは閑古鳥が鳴きます。
 たしかに1980年代以前の日韓関係は歴史的、政治的な「反目関係」で、
「近くて遠い国」と言われました。しかし1990年から2000年、とくに
2002年のサッカーW杯日韓共催に向けた「交流段階」では、教科書問題な
ど一部でギクシャクしつつも「近くて近い国」の関係に発展し、更に2000
年以降は、相手側の立場や特殊性、個性(同質性と異質性)を互いに尊重し合
う「パートナー関係」に発展しています。
 たしかに植民地時代を経験している70代以上の一部の世代では《過去の歴
史がなお、両国関係の評価などに影を落としている》かもしれません。しかし
現在の日韓交流を支える20代〜50代の主力世代は、すでにそれらを超越し
お互いがお互いを外国として認め合う「近いが違う国」の関係に成熟させてい
ます。逆に言えば、だからこそ相手を尊重する慎重な言動が必要で、見下した
り、自分の意見をゴリ押しする「上から目線」は厳に慎まなければならないの
です。
http://www.intecjapan.com/news/2010/05/post_198.html



【ソウルのお作法(4)】「韓国民の南北統一観」
2010年06月07日

KRN株式会社『The Daily Korea News』チーフアナリスト 三木英明

 2000年4月。当時の金大中大統領と金正日総書記による南北首脳会談の
開催が発表され、その夜、ビヤホールに集まったサラリーマンが「乾杯!」の
代わりに「統一!」というかけ声でジョッキを乾していた光景が忘れられませ
ん。太陽政策による南北和解ムードの高まりが肌で感じられ、「いよいよ統一
論議か」と期待に胸をふくらませたものでした。
 あれからちょうど10年。3月に起きた韓国海軍の哨戒艦沈没事件で、韓国
政府が沈没原因を「北朝鮮による魚雷攻撃によるもの」と発表した5月20日
を再びソウルで迎えました。事件発生直後から多くの韓国民が北朝鮮の仕業と
薄々感じていたものの、それでも一部では「信じたくない」という思いがあり
ました。しかしこの日の政府発表で国民の怒りは一気にピークに達しました。
テレビや新聞は連日トップでこのニュースを伝え、北朝鮮への抗議の嵐はまた
たく間に韓国全土に広がったのです。
 朝鮮戦争(1950年6月25日〜1953年7月27日休戦)によって南
北に分断された朝鮮半島では、「南北統一」が民族の悲願とされ、韓国の歴代
政権も常に「南北統一」を政権公約に掲げています。
 一方、朝鮮半島の統一問題はよく東西ドイツの統一と比較され、「ドイツで
実現したものが、なぜ朝鮮半島で実現できないのか?」という指摘がなされま
す。しかし(1)発砲命令を出し多くの韓国人を犠牲にした「金王朝」が依然
として政権を握り続けている(2)当時の東西ドイツより高い南北の経済格差
−−が、統一阻害要因として存在しています。(1)は「民族感情」、(2)
は「統一コスト」の問題です。
 それでも多くの韓国民は、北朝鮮との関係改善は韓国にも利益と考えます。
また北朝鮮住民(分断下の韓国では「国民」と呼ばず、敢えて「住民」と呼び
ます)と金正日総書記以下の指導層はまったく異なるものと認識し、金王朝に
対しては強い拒否アレルギーを持ちますが、北朝鮮住民に対しては、彼らも被
害者で可哀相な「同胞」(ウリ意識)と見ています。さらに言えば、南北統一
は民族の同質性と運命共同体の意識に立った「韓民族のプライドの実現」であ
り、戦争の恐怖からの解放とともに統一後の経済的な利益を享受し、離散家族
の再会などの人道主義的な目的が達成できると考えています。
 韓国では“国歌”を『愛国歌』と呼びます。対外的にはもちろん“国歌”な
のですが、一部の知識人は「正式な国歌は南北統一が実現してから」と公言し
てはばかりません。裏を返せば、それだけ統一を待ち望んでいるという証でも
あります。そのような多くの韓国民の「統一の夢」も撃ち砕いたのが、今回の
哨戒艦沈没事件だったのです。
http://www.intecjapan.com/news/2010/06/



【ソウルのお作法(5)】「W杯にみる韓国の優越感」
2010年07月05日

   KRN株式会社『The Daily Korea News』チーフアナリスト 三木英明

 サッカーW杯南アフリカ大会で、日本と韓国がともに決勝トーナメントに進
出しました。おもしろいのは、応援会場の光景は韓国も日本もほぼ同じですが
スケール的には韓国のほうが圧倒的に大きいことです。韓国の代表的な街頭応
援場所になっているソウル市庁前広場では、周辺の道路が通行止めになり、顔
に「KOREA」のペイントを入れた若者や赤シャツ姿の人々が広場を埋めつ
くし、「テーハンミングッ(大韓民国)」の大合唱で、遠く南アフリカの選手
たちに声援を送りました。その数ざっと7万人。デンマーク戦に勝って渋谷の
スクランブル交差点に繰り出した数千人の若者を規制している日本に比べると
まさに雲泥の差があります。
 因みに決勝トーナメント進出を決めた6月23日のナイジェリア戦では、深
夜3時半のキックオフにもかかわらず、全国62カ所に設けられた応援会場に
50万人(警察推計)、また26日深夜の決勝トーナメント・ウルグアイ戦は
雨にもかかわらず100万人以上(同)の赤シャツ軍団が繰り出しました。こ
の夜の模様を当社のソウル特派員は、「市庁前から2キロ離れた自宅でもチャ
ンスや得点のたびに地響きのような歓声が聞こえてきた」と伝えてきました。
まさに100万人が「韓国人のプライド」という甘美な一体感(ウリ=私たち
意識)を共有していたのです。
 国内のプロ野球、プロサッカーリーグの開設では日本に遅れをとった韓国で
すが、W杯には朝鮮戦争直後の1954年スイス大会から出場しています。し
かも1986年のメキシコ大会からは「7大会連続出場」という実績も残して
います。“兄貴分”を自負しての余裕からでしょうか?ふだんは「日帝支配」
「竹島問題」など、なにかと日本に噛みつく韓国ですが、ことサッカーに関し
ては「大人の対応」を見せてくれます。
 今回、日本の決勝リーグ進出がかかったデンマーク戦(25日)直前も70
%以上の韓国民が「日本の勝利」を予想し、「アジア同士がんばろう」「アジ
アのプライドを見せろ」「ベスト4で会おう」などと余裕のコメントを寄せま
した。さらに「G20金融サミット」でカナダを訪問中の李明博大統領は、菅
直人首相との会談で、韓国が決勝トーナメント1回戦で敗れたことに言及し、
「韓国チームは敗れたが、日本がアジアを代表し、パラグアイに勝ち8強に進
出することを願っている」とエールを送りました。
 一般的に「韓国人の日本人観」は、中国の先進文化を日本に中継・伝播した
という「文化的優越性」と、それにもかかわらず日本の植民地支配を受けてし
まった「政治・外交的劣等感」という複雑な二面性を見せますが、ことサッカ
ーに関しては「優越性」をもっているようです。
http://www.intecjapan.com/news/2010/07/



【ソウルのお作法(6)】「儒教精神と情」
2010年08月02日
    KRN株式会社『The Daily Korea News』チーフアナリスト 三木英明

 かつては「韓国人を理解するには儒教精神を学べ」と言われたものですが、
昨今の韓国社会ではこの儒教精神が急速に廃(すた)れ、これだけで「現代韓
国人」を理解するのは困難なようです。ちなみに韓国の儒教社会では人間関係
を「親子」「夫婦」「兄弟姉妹」「友人」「統治者と民衆」の5つに分類し、
中でも「親子関係」、いわゆる年長者に対する「長幼の礼」を重視します。ま
た道徳的には「謙譲」を美徳とし、「忠」「孝」「礼」「義」「信」の価値観
を強調します。
 儒教精神が廃れていった(「否定」されていった)最大の要因は、「女性の
地位向上」です。元々、儒教では「愛情」においては「男女平等」としながら
も、実際の家庭生活においては、男だけに権利が与えられ、女性には従順と義
務だけが要求される「男尊女卑」思想があります。ですから伝統的な儒教型家
庭では、女性は妻として夫に、母として子供に仕える存在でしかなく、仮に夫
婦関係が破綻しても夫や子供のために家庭の枠組みだけは守るという思想が求
められてきました。
 当然のことながら、このような思想が現代の韓国女性に受け入れられるはず
がありません。受け入れられるとするなら、そんな事情などつゆほど知らず、
韓国人男性に嫁いだ日本人女性だけでしょう。実際、それまで自由奔放に育て
られた日本人女性が、嫁いだとたんに韓国のお姑さんに徹底的に儒教精神をた
たき込まれる姿は、見ていても胸が痛くなります。厳しいお姑さんの「愛のム
チ」に耐えられるのも夫婦愛があればこその話でしょうが、韓国に渡ったこん
な「大和撫子」たちを見るにつけ、「なんで俺がソウルなんだ?」と夜な夜な
グチる軟弱な駐在員より、よっぽど見事な「大和魂」に感心させられます。
 儒教精神同様、韓国人を理解する上で大切なのは「情」という概念です。
 たとえば日本人の人間関係を「義理」と「甘え」で定義するなら、韓国人の
人間関係は「情」の強弱で表現されます。「捨てる神あれば拾う神あり」「会
うほどに情が深まる」などなど、韓国人の「情」は、基本的に人情とヒューマ
ニズムの人間中心主義思想に立脚します。いわゆる「おおらかさ」なのですが
これがいき過ぎると、時として「公私混同」という負の側面もみせるのです。
 最近の事例では、日本人拉致被害者家族と面談するため7月20日に来日し
た大韓航空機爆破事件の実行犯・金賢姫(キムヒョンヒ)元工作員に対する処
遇がそれです。恩赦したとはいえ、いまだ韓国人遺族に正式な謝罪もしていな
い元死刑囚を外国に送り出した韓国政府の「おおらかさ」。拉致被害者家族の
為とはいえ、国際テロ犯を超法規的に受け入れ、国賓なみの待遇をした日本政
府の国際認識の「甘さ」。いずれも日韓両国の夫々の「情」の成せる業です。
http://www.intecjapan.com/news/2010/08/



【ソウルのお作法(7)】「恨の文化」と「恨みの文化」
   KRN株式会社『The Daily Korea News』チーフアナリスト 三木英明

 韓国人の本質を理解する上で重要な思考方式の一つに「恨」(ハン)という
概念があります。学者の中には「韓国文化」を「恨の文化」と呼ぶ人もいるく
らいです。
 多くの日本人が誤解していて残念ですが、「恨」とは、韓国人の精神構造の
根底に存在する「潔い情念」で、日本でいう「恨み」とはまったく異なる情緒
なのです。歴史や文化に起因するもので、権力支配や異民族による侵略、屈服
服従によって余儀なくされた抑圧と屈辱の歴史の中で、貧しさや不平等を現実
として受け入れつつも自己を見つめ直して自省する――武士道にも似た韓民族
の情緒なのです。しかも「ウリ主義」と相まって、個人としての「恨」、地域
社会としての「恨」、国家としての「恨」と、その時々に情緒を変えていくの
です。
 この情緒を筑波大学大学院教授の古田博司さんは、自著『朝鮮民族を読み解
く』(筑摩書房)の中で「伝統規範からみて、責任を他者に押し付けられない
状況のもとで、階層型秩序で下位に置かれた不満の累積とその解消願望」と規
定し、大手広告代理店社員から韓国学研究者に転じ、現在京都大学大学院准教
授の小倉紀蔵さんは、わかり易く「単なる恨み辛みではなく、憧れや悲哀や妄
念など様々な複雑な感情をあらわすもの」と説明しています。ここが最も大切
な認識で、恨とは決して日本的な恨みや辛みの感情ではないということです。
 翻って「8月15日」。今年も日韓関係にとって一番厄介な日が巡ってきま
した。日本では「終戦記念日」と呼ぶこの日。韓国では日本の植民地支配から
解放され、国家としての希望と光を取り戻した「光復節」と呼びます。
 実はこの「光復節」こそ、韓国民にとっては「恨の日」なのです。「なぜ韓
国は植民地になり下がったのか?」と当時の国力の非力さを自省し、「民族運
動の結果ではなく、日本の降伏によって独立が達成されたという事実」に深く
思いを致し、当時の自己を問いただすのです。ですから決して日本を恨む日で
はありません。その精神構造を多くの日本人が誤解しています。
 今年は日韓併合100年の区切りの年。8月10日に菅直人首相が「痛切な
反省と心からのお詫びの気持ち」を首相談話として表明したところ、野党だけ
でなく与党内部からも「決着済みの補償問題を蒸し返す」「何度謝ればいいの
か?」といった批判が出ました。これについて言及するつもりはありません。
なぜならそれは日本の歴史認識の問題だからです。しかし「恨」(韓国人)を
誤解し、「その情念は今まさに『恨み』として韓国人の心に巣くっている。し
かもいつしか歪曲捏造された歴史へと向けられ、その対象を『日本』という隣
国に見いだすこととなった」という無知な議論には胸の痛さを覚えるのです。
http://www.intecjapan.com/news/2010/08/




【ソウルのお作法(8)】秋夕(チュソク)
   KRN株式会社『The Daily Korea News』チーフアナリスト 三木英明

 韓国では旧暦8月15日(今年は9月22日)を「秋夕(チュソク)」とい
って、通常、前後1日を加えて3連休になります。旧暦8月15日は一年で月
が最も明るく輝く日とされ、旧正月と並んで韓国を代表する名節(旧暦の祝日)
で、古くから親戚一同が故郷に集まって先祖の墓参りをするのが習わしになっ
ています。
 ホテルや韓国客相手のお店を除いては、会社はもちろん街の食堂も従業員の
帰省休暇となり、この時期の首都圏の経済活動は事実上ストップします。因み
に今年の場合、7割の企業が9月21〜23日の正式な祝日以外に24日を休
みにして6連休にしています。また20日も休みにして9連休にする会社が全
体の15%にものぼっています。まさに「韓国版ゴールデンウィーク」です。
 その秋夕の正しい「お作法」ですが、まずは約1カ月前のお墓の草むしり
(伐草=ボルチョ)から始まります。「伐草しなければ子孫ではない」とまで
言われるほどですが、8月の暑い時期で、けっこうきついものがあります。
 そして2、3週間前になると、親戚や取引先への贈答品の手配があります。
ちょうど日本のお中元のようなもので、秋夕が近づくとデパートやスーパーで
は特設売場が登場し、贈答商戦が繰り広げられます。この時期、会社も従業員
に100万ウオン(約7万3000円)前後の「秋夕ボーナス」を支給します。
 そしていよいよ秋夕連休突入。各交通機関では「民族の大移動」といわれる
帰省ラッシュが始まります。特に航空機や鉄道より高速道路が主要交通インフ
ラになっている韓国では、高速道路に自家用車、高速バスの帰省客が集中し、
通常3時間の道のりを15時間かけて帰省するという現象も起こります。
 ようやく辿り着いた故郷。ここで女性陣を待っているのは「祭祀(チェサ)」
で先祖に供える供物の準備です。姑の指揮の下、買出し、料理など休む間もな
く働き続けます。特に本家の新妻にとっては姑の特訓に耐える「苦行の日々」
でもあり、「名節後遺症」という言葉もあるほどです。
 そしていよいよ秋夕当日。早朝から一族郎党が本家に集まり、この日に合わ
せて新調した正装姿で祭祀を執り行います。朝食後、今度は墓所に出向き、韓
国独特の盛り土の墓所を親戚一同が囲み、「クンジョル(大礼)」と呼ばれる
最上級のお辞儀をして先祖を敬うのです。
 以上が儒教精神に則った正しい秋夕のお作法ですが、最近の韓国では核家族
化が進み、秋夕の帰省も以前より少なくなったようです。代わりに増えている
のが海外旅行。この時期、各航空会社の国際線の搭乗率はほぼ100%。特に
アジア路線は満杯状態で、中国、日本からバーチャル墓参りをするニューファ
ミリーが増えているようです。
http://www.intecjapan.com/news/2010/09/

コメント(23)

  • [1] mixiユーザー

    2010年12月27日 22:45

    2010年10月25日
    【ソウルのお作法(9)】禁煙
       KRN株式会社『The Daily Korea News』チーフアナリスト 三木英明

     日本では10月からタバコの大幅値上げが実施され、これを機に禁煙すると
    いう愛煙家が増えていると聞きます。韓国でも値上げ論争が起きていますが、
    両国の値上げの思惑には若干のずれがあるようです。つまり、日本は増税目的
    韓国は禁煙促進目的です。
     韓国は近年、政府・マスコミをあげて大々的な禁煙キャンペーンを打ってお
    り、禁煙規制は日に日に厳しくなっています。たとえば、今年6月からは、喫
    茶店、入浴施設、150?以上の飲食店、収容人数1000人以上のスポーツ
    施設、交通機関と交通施設、1000?以上の大型建造物、3000?以上の
    大規模店舗、医療機関、社会福祉施設、学校、予備校、保育施設、ホテル、政
    府庁舎、劇場の16の施設で全面禁煙が施行されました。
     「G20」の会場に指定されたのを機に全面改修されたソウル市内のある高
    級ホテルは「全館・全室」禁煙という徹底ぶりです。もともと「ゴキブリ退治
    に家を焼く」といわれるほど、何か事を始めると徹底的にやる国民性ですから
    仕方ありませんが、愛煙家にとっては「苦行のソウル滞在」になりそうです。
     韓国で禁煙ブームが始まったのは1988年のソウル五輪前後からです。こ
    の年開業したアシアナ航空が世界に先駆け「全席禁煙フライト」を飛ばし、注
    目を集めました。愛煙家に敬遠されるのではと経営面が心配されましたが、嫌
    煙家の絶大な支持を得て、後発航空会社ながら、テークオフに成功しました。
     2000年代に入ると、大手企業がこぞって会社あげての禁煙に取り組みだ
    しました。管理職に禁煙を義務付けたり、一般社員に禁煙手当てを出したり、
    あの手この手で職場にも禁煙ブームが浸透していったのです。これが功を奏し
    たのか、外国製を含むタバコの販売量は2000年の1049億4300万本
    をピークに、2005年は823億1600万本まで減少しています。
     しかし販売量は減ったものの、喫煙率は依然として高く、今年7月に保健福
    祉部が行った上半期の喫煙実態調査によると、韓国人男性の喫煙率は42.6%で
    先進国(OECD加盟国)の平均(28.4%)を大きく上回り、ダントツのトッ
    プでした。ただ、その一方で、喫煙者の59%が禁煙したいという意向を持って
    おり、これに力を得た保健福祉部では「今後も積極的で強力な禁煙政策を進め
    ていく」と意気込んでいます。
     政府が着目したのはタバコの値上げです。疾病管理本部がこの十年間に実施
    された政策が喫煙率減少に及ぼした効果を測定した結果、最も効果があるのは
    値上げ(54.4%)とわかりました。仮に現在、1箱2500ウォン(約180
    円)のタバコを8000ウォンに値上げすれば、禁煙率は一気に先進国レベル
    に下がるというのですが、はたしてそう簡単に国民を煙に巻けるかどうか…。
    http://www.intecjapan.com/news/2010/10/
  • [2] mixiユーザー

    2010年12月27日 22:45

    2010年11月22日
    【ソウルのお作法(10)】コリアン・ホスピタリティ
       KRN株式会社『The Daily Korea News』チーフアナリスト 三木英明

     韓国人の精神構造に「コリアン・ホスピタリティ」(もてなし精神)という
    ものがあります。実際、初めて韓国人に接した多くの日本人が驚くのは、その
    ウエットな人間関係の強要です。こちらが好むと好まざるとに関わらず、ずか
    ずかと相手の領域に入っていき、あれこれ面倒をみたがります。「ホテルはど
    こだ?」「不自由はないか?」「食事はしたか?」「酒は飲んだか?」等々。
     これは《儒教精神と情》でもご紹介しましたが、韓国人の人間関係が、当為
    性と名分を強調する儒教の倫理観と深くかかわりをもち、人情とヒューマニズ
    ムの人間中心主義思想に立脚していることに起因するもので、もてなすことで
    相手に対して精神的な優位性を保ちたいという表れなのです。換言すれば、大
    義名分、形式主義、面子(めんつ)を重んじる韓国人の国民性とも言えます。
     たとえば食事。韓国人はなにかにつけ相手を食事に誘い出し、ご馳走したが
    ります。しかも「自宅」という最も濃密な場所を好み「家メシ」を最上級のお
    もてなしと考えます。そのもてなしぶりも徹底していて、一見、虚仮威し(こ
    けおどし)のようでも、まるで王さまのようにもてなし、相手を恐縮させるの
    です。このもてなしを受けた多くの日本人は「なにか下心があるのではないか
    ?」と心配するのですが、もちろん韓国人はそんなことは考えてもいません。
    相手との距離感を縮めることと、自己満足的な見栄を張っているだけです。
     ビジネスが絡んだゴルフ場でのホスピタリティも相当なものです。朝一番の
    ティーショットがOBでも「モーニング・アゲイン」というコリアンルールが
    あり無罰で打ち直し。スタートホールで大叩きしても「体がほぐれていなかっ
    た」という理由でダブルボギー以上は切り捨て。6インチリプレースは「どこ
    でも打ちやすい場所に・・・」と、「球聖」ボビー・ジョーンズが聞けば卒倒
    しかねない「おもてなしルール」があります。
     ここで大切なことは、韓国人にとって接待ゴルフは、あくまで相手を楽しま
    せるためのものであり、スコアを競うものではないということです。おもてな
    し精神が最優先され、「楽しければいいじゃないか」という「おおらかさ」が
    前面に出されるのです。ですから食事もゴルフも杓子定規に考えず、「おんぶ
    に、抱っこに、肩車」。相手の顔を潰さないよう、コリアン・ホスピタリティ
    に甘えるのも礼儀の一つなのです。但し「逆も真なり」で、相手が日本に来れ
    ば、同じことを日本人に求めますのでご注意ください。
     折しも韓国では11月11、12の両日、主要20カ国・地域首脳会議(G
    20サミット)が開催され、李明博大統領がホスト役を務めました。李明博大
    統領にとっては、米・中・ロなど格上の各国首脳を自宅(韓国)にお招きし、
    コリアン・ホスピタリティで優越感に浸った2日間だった筈です。
    http://www.intecjapan.com/news/2010/11/
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    2011年02月08日 18:00

    2011年01月17日
    【ソウルのお作法(11)】龍尾蛇頭
       KRN株式会社『The Daily Korea News』チーフアナリスト 三木英明

     韓国人は「長」と名の付く肩書が大好きです。学生時代は班長、学級委員長
    学生会長。社会に出れば会社での肩書に固執し、社外では同窓会長、同郷会長
    など書き出したらキリがありません。とはいえ、組織にトップは一人しか必要
    ありません。そこで出てくるのが「龍尾蛇頭」(龍の尾より蛇の頭)。「大き
    なものに従うよりも、たとえ小さくてもトップになったほうがよいこと」のた
    とえで、日本では「鶏口牛後」と言われます。
     韓国の友人から聞いた話ですが、名門ソウル大学の同窓会で大手財閥系企業
    の課長、外資系企業の部長、中小企業の常務、零細企業の社長の4人が居合わ
    せたといいます。注目すべきは、4人の中で一番意気軒昂だったのは従業員5
    人の零細企業の社長で、他の3人はいずれも羨望の眼差しで彼の話に聞き入っ
    ていたと言います。中でも大手財閥系企業の課長は見るからに肩身の狭い様子
    だったそうです。おそらく日本では全く逆の現象が見られると思いますが、こ
    とほど左様に韓国人は「社長」という肩書に憧れるのです。
     似たような話が新聞紙上を賑わしたことがあります。韓国でトップクラスの
    ホテルの専務が、特に仕事上の失敗がなかったにもかかわらず、サラリーマン
    生活に見切りをつけ、街の食堂の主人に転身したという話題でした。日本でい
    えば、さしずめ帝国ホテルの専務がいきなりラーメン屋の主人に転身したよう
    なものです。
     ここで驚いたのは、当然ネガティブなイメージを持たれるであろうこの転身
    劇に対して、周囲の韓国人ビジネスマンたちが一様に羨望の声を挙げたことで
    す。実際、先の新聞も転身の是非には触れず、むしろ「高級ホテルの接客方法
    を街の食堂に持ち込んだ」というアイデアに着目していました。たしかに街の
    食堂に高級ホテルの接客方法を持ち込んだのはアイデアですが、私にとっては
    「高級ホテルの専務がなぜ食堂の親父さんに?」というほうが驚きであり、且
    つ、興味津々でした。
     後日知った話ですが、韓国の大手企業では、日本の役所同様、同期の誰かが
    役員になると残りのライバルたちは会社を去る慣例があるそうです。
     このような慣習があるビジネス社会だけに転職も頻繁に行われ、転職歴が勲
    章になる風潮すらあります。通常、転職先の選定要素はポスト(肩書)と待遇
    (給料)ということになります。両方満足できればいいのですが、そんな好条
    件は滅多にありません。どちらか一方と言われた場合、おそらく多くの日本人
    は待遇面を重視するでしょうが、韓国人の場合は「見栄の文化」とも相まって
    1ランク下の会社の1ランク上のポストを求めるという「龍尾蛇頭」の転職行
    動をとるケースが多いのです。
    http://www.intecjapan.com/news/2011/01/post_233.html
  • [5] mixiユーザー

    2011年02月28日 05:04

    2011年02月14日
    【ソウルのお作法(12)】KARA騒動
       KRN株式会社『The Daily Korea News』チーフアナリスト 三木英明

     日本でも人気の韓国の5人組ガールズグループ「KARA」のメンバーが、
    1月19日までに所属事務所に専属契約解除を通告するという騒動がありまし
    た。メンバーが望まない芸能活動を事務所が強要し、信頼関係が回復できない
    ことなどを理由にしているそうです。しかし実態はショービジネス先進国の日
    本での高額なギャラや紳士的な契約システムに味を占めた条件闘争の色合いが
    強く、謎の代理人も加わった移籍話といったきな臭い動きも見え隠れします。
     元々、日韓の芸能界ではアイドルの育成方法が根本的に違います。韓国の育
    成方法は「インキュベーティング・システム」。「ふ化させる」という意味合
    いで、芸能事務所がオーディションで選抜した練習生に巨額の資金を先行投資
    し、徹底的に鍛え上げ、勝算が立った時点で「完成品」としてデビューさせま
    す。一方の日本は、少々見込みさえあればどんな素人でも取り敢えずダメ元で
    デビューさせ、生き残ったアイドルだけを育てていく手法です。
     多くの日本メディアはこの点を今回の騒動の原因に挙げ、一部のメディアな
    どは「奴隷契約」「女工哀史」といった言葉を持ち出す始末です。しかし長年
    韓国の労務事情を見てきたコラム子にとっては、表層的な見方に思えてなりま
    せん。育成システムや雇用形態が異なれば、待遇や収益配分システムが異なる
    のは当然だからです。
     今回の騒動を聞いて、咄嗟に「先籠城・後交渉」という言葉が脳裏をよぎり
    ました。「先にストで工場を封鎖し、生産を止め、(ある程度会社側に痛い思
    いをさせた)後に経営側との賃金交渉に臨む」という旧時代の条件闘争手法で
    す。元々「反共」を国是にしていた韓国では労働運動は禁止されていました。
    それが解禁された1987年当時、立場の弱かった労働者に一定のアドバンテ
    ージを容認した名残です。
     今回彼女たちはその手法をとりました。しかしいくら隣の芝生(日本)が綺
    麗に見えたからといって、一度結んだ契約を「先籠城・後交渉」や移籍をちら
    つかせた「両天秤交渉」で破棄しようとするのは、今の成熟社会が許してくれ
    ません。思惑が外れたメンバーは25日に再度事務所側と話し合い、今後も引
    き続きグループ活動を続けることを決めたようです。
     重要なのは今回の騒動は芸能界だけの特異な事例ではなく、韓国に進出して
    いる多くの日系企業が人事・労務管理面で日々直面している事例だということ
    です。雇用条件を納得して入社したにもかかわらず、後になって平気でライバ
    ル他社や本社の事例を持ち出し、担当者を悩ますのです。KARA騒動は「空
    騒動」に終わりましたが、日系企業ではこの手のトラブルが今でもあとを絶た
    ないのです。
    http://www.intecjapan.com/news/2011/02/post_237.html
  • [6] mixiユーザー

    2011年03月21日 05:14

    2011年03月14日
    【ソウルのお作法(13)】中東情勢は北に飛び火するか?
       KRN株式会社『The Daily Korea News』チーフアナリスト 三木英明

     最近よく「アラブ諸国での一連の民主化運動が北朝鮮に飛び火する可能性は
    あるか」と聞かれます。しかも多くの方が「期待」を込めて聞いているようで
    す。正直、私は北朝鮮専門家ではありませんので確信ある回答はできません。
     ただ1979年当時、ソウル特派員として朴正煕大統領暗殺事件を取材し、
    その後、全斗煥政権、盧泰愚政権当時の民主化闘争を見てきた経験から、中東
    と朝鮮半島との民主化過程の比較程度はできます。それをベースに現状を見た
    場合、中東と北朝鮮とではあまりにも国情が違い過ぎ、「飛び火」は難しいと
    言わざるを得ません。ただ「飛び火」させようという動きはあります。韓国軍
    は2月24日までに中東情勢を紹介した大量のビラを北朝鮮に向けて散布した
    と明らかにしました。ビラでは最近の中東での民主化運動の動きを詳細に紹介
    し、エジプトやリビアの独裁政権と北朝鮮の金正日総書記や三男金正恩氏を比
    較。独裁政権や世襲が長く続かないと強調したといいます。
     それでも「飛び火」が難しいと考える根拠ですが、第1は「情報量の違い」
    です。チュニジアでの「ジャスミン革命」に端を発した今回の中東の民主化で
    はフェイスブックやツイッターといったインターネットサービスが大きな役割
    を果たしましたが、北朝鮮の一般住民は当局の監視の下、インターネットは使
    えません。また携帯電話が普及し始めているといってもごく限られた特権階層
    間で、この層は政権転覆を望みません。
     第2は中東と比べても更に劣悪な「圧倒的な貧困」です。ご承知のように北
    朝鮮の食糧事情は中東の比ではありません。配給を受けられる特権階層を除く
    大多数の北朝鮮住民はその日食べる食糧にも喘いでおり、今日を生きるのが精
    一杯です。とてもデモに繰り出す気力などありません。しかもこれら下級層は
    平壌から遠く離れた地方に追いやられており声を上げても届かないでしょう。
     第3は国際世論の「外圧」が通じないということです。まがりなりにも中東
    各国にはアルジャジーラなど共通言語の衛星メディアが異変を逐一世界に発信
    し、国際世論という形で外圧をかけてきました。しかし北朝鮮には中国、ロシ
    アなど同盟国、スウエーデンなど国連監視中立国の一部のメディアしか入れず
    日系で唯一支局を開いている共同通信でさえ政府発表記事をそのまま配信する
    など、メディアとしての体をなしていません。おそらくいくら住民が騒いだと
    しても情報は遮断されてしまうでしょう。なによりこの国は、仮に国際世論が
    反発したとしても聞く耳を持ちません。
     以上3点だけみても北朝鮮への「飛び火」は難しいと思われます。もし崩壊
    するとすれば、それはかつての韓国の朴正煕政権同様「宮廷革命」のほうが可
    能性はありそうです。
    http://www.intecjapan.com/news/2011/03/post_241.html
  • [7] mixiユーザー

    2011年04月21日 22:12

    2011年04月11日
    【ソウルのお作法(14)】がんばれ!日本
       KRN株式会社『The Daily Korea News』チーフアナリスト 三木英明

    写真:「がんばれ!日本」ソウル金浦空港で著者撮影

     東北関東大震災で被災されたみなさまには心からお見舞い申し上げます。
     日頃「竹島問題」や「歴史歪曲問題」などで何かとギクシャクしがちな日韓
    関係ですが、今回の大震災では、主要メディアが連日大きく報道。義援金を呼
    びかけるキャンペーンでは募金所に長蛇の列ができ、韓流スターが続々と義援
    金を申し出るなど、国を挙げて支援の輪が広がっています。
     李明博大統領は地震発生直後にいち早く「日本の被害が最小限に留まるよう
    希望する」との声明を出すとともに、隣国として最善を尽くして被害復旧や必
    要な救助活動を支援するよう関係機関に指示しました。これを受け翌3月12
    日に先遣隊5人と救助犬2頭が現地入り、14日には本隊100人が救助活動
    に入りました。因みに韓国の救助隊が日本で救助活動をするのは初めてです。
     国の対応だけでなく国民世論も同様です。「最も近い我々が真っ先に駆けつ
    けなければならない。苦しい時の友人として、韓民族の隣人愛を示そう」とい
    う『中央日報』の一文がそれを如実に表しています。
     ふだんは日本に厳しい韓国メディアですが、今回の震災報道では一様に「哀
    悼の意」を表しています。『ソウル新聞』は3月14日の一面に日本語で「深
    い哀悼の意を表します」とのメッセージを掲載しました。韓国紙が日本語でこ
    うした文章を掲載するのは極めて異例のことです。また『毎日経済新聞』は、
    「(我々は過去に)日本から忘れることのできない傷を負った」としながらも
    「日本が大災害を克服することを願ってやまない」とエールを送りました。
     被災者の動静については『朝鮮日報』が「生き地獄のような状況でも誰かの
    せいにしたり恨んだりすることなく、秩序ある市民意識を見せ、地震に驚いた
    世界を今一度驚かせている」と称賛。『東亜日報』は「隣国が見舞われた災難
    に目を背けるわけにはいかないが、先進国の国民のプライドに十分配慮しつつ
    静かに支援の手を差し伸べなければならない」と功名心やライバル意識が先走
    った支援を戒める配慮を見せています。・・・このような支援行動の裏にある
    韓国人の心情とはどのようなものなのでしょうか?
     旧知の『産経新聞』黒田勝弘ソウル支局長は、3月19日の紙面で《韓国人
    は"情緒的"だ。感情的、感傷的といってもいい。感情に正直で、韓国人自身が
    いうように「情が深い」のだ。不幸な人がいると黙っていられない。連日、報
    じられる日本の被害や不幸は、ひどければひどいほど黙っていられないし、じ
    っとしておれない。その気持ちは衝動に近いからてらいも計算もない。ただ素
    朴で純粋な感情の表れなのだ》と記しています。まったく同感です。「てらい
    も計算もない、ただ素朴で純粋な感情の表れ」なのです。
     「がんばれ!日本」「がんばろう!日本」
    http://www.intecjapan.com/news/2011/04/post_245.html
  • [8] mixiユーザー

    2011年06月09日 04:56

    2011年05月09日
    【ソウルのお作法(15)】似て非なるもの
       KRN株式会社『The Daily Korea News』チーフアナリスト 三木英明

     長年、日韓を行き来しているとちょっとした「似て非なるもの」が随所に発
    見でき、「同質性と異質性」を痛感させられます。そもそも日本人がアジア諸
    国から嫌われる理由の一つが、この「同質性と異質性」を無視した「日本式の
    押しつけ」です。
     本来、文化や風習が異なる日本人と韓国人なら、当然、立ち居振る舞いが異
    なってあたりまえなのに、なまじ、肌の色、姿、かたちが似ているため、自分
    と同じ価値観や常識、行動を求めるところに摩擦が生じます。金髪の欧米人と
    韓国人が靴を履いたまま家に上がり込んできた場合を想像してみてください。
    多くの日本人は、欧米人に対しては「外人だから仕方がない」と一種あきらめ
    に似た理解を示します。しかし韓国人には「こんな常識もわからないのか」と
    蔑み、烈火のごとく怒る筈です。もちろん同じことを韓国人も日本人に求めま
    す。これが文化摩擦の最大の要因です。
     たとえば食事。日本では左手で茶碗を持ち、箸でごはんやおかずを口に運び
    ます。しかし韓国では、厳密には、茶碗は洋食の皿と同じ概念で手で持つもの
    ではありません。箸もおかずを茶碗まではこぶ道具で、口に入れるときはスプ
    ーンを使います。味噌汁もスプーンで飲みます。ごはんや味噌汁を口に入れる
    という所作だけ見ても日韓には大きな違いがあります。
     昔の話ですが、高級ホテルの日本レストランで日韓の2家族が食事をしてい
    る場に出くわしました。日曜日の夜、家族団らんの夕食を高級ホテルの、しか
    も当時の韓国では高級料理とされる和食を食べている家族です。両家族ともそ
    れなりに裕福で知的階層の方々とお見受けしました。ところが驚いたことに、
    お互いの母親が相手の家族を盗み見しながら、自分の子供に「あんな下品な食
    べ方をしてはダメよ」と囁いているのです。最近でこそ韓国側が日本文化を尊
    重して茶碗を手で持つようになりましたが、かつては食事の場も文化摩擦の最
    前線だったのです。
     書店でも面白い光景が見られます。「立ち読み」ならぬ「座り読み」です。
    日本でもコンビニでの立ち読みはごくあたりまえの光景になっていますが、書
    店では原則禁止の筈です。しかし「ケンチャナヨ(ドンマイ)精神」の韓国で
    は、立ち読みどころか堂々と床に座り込み、書店を図書館代わりに使います。
    中には必要な箇所をその場でノートに書き写す強者までいます。主人は?と顔
    色をうかがうと、そこは韓国が誇る「コリアン・ホスピタリティ」。見て見ぬ
    ふりです。中にはソファーや椅子を用意している書店もあります。
     翻って、同じことを日本でしたら?・・・想像するだけで恐ろしい光景が目
    に浮かぶのです。

    http://www.intecjapan.com/news/2011/05/post_249.html
  • [9] mixiユーザー

    2011年06月10日 00:51

    2011年06月06日
    【ソウルのお作法(16)】酒席のお作法
       KRN株式会社『The Daily Korea News』チーフアナリスト 三木英明

     韓国ビジネスで意外と悩ましいのが韓国人相手の「酒席」でのマナーです。
    「ただ酒を飲むだけなのに?」と思われる方も多いと思いますが、そこは「形
    式を重んじる」韓国。ちょっとした「お作法違い」が、せっかくの酒席を台無
    しにすることもあります。
     まずは「食事とお酒の順番」。日本では、とりあえずビールということで乾
    杯し、その後は料理に合わせて各自が好きな酒を飲み、最後にご飯もので締め
    るというのが一般的ですね。どちらかというとお酒、食事の順番になります。
    ところが韓国では先に食事をがっちりとり、その後でお酒に移るというのが一
    般的。韓定食ではまずお粥、バーなどでも麺類やご飯ものを先に食べ、その後
    で乾杯というのが普通のようです。お酒の種類も焼酎なら焼酎、ワインならワ
    イン。みんな同じものを一緒に飲みます。身体にとっては韓国式のほうがいい
    のでしょうが、「酒はすきっ腹が一番旨い」と信じている「呑んべぇ」にとっ
    ては、何か「お預け」をくっているようで実につらい食事時間でもあります。
     次に「飲む順番」。長幼の序を重んじる韓国では、客や年長者が杯に口をつ
    けるまで他の人は我慢します。乾杯の音頭で一斉に杯を傾けるのは一向にかま
    いませんが、それ以外の時は目上の人が杯を持つまで「先飲み」は厳禁です。
    運悪くお酒より食事のほうが好きなお客につこうものなら、呑んべぇのイライ
    ラ指数は一気に高まります。
     日韓の酒席で一番違うのが「お酌」の仕方。目上の人にお酌をしたり、杯を
    受ける時は両手が基本です。また「注ぎ足し」は厳禁です。日本では客のコッ
    プが空きそうになるとすかさず注ぎ足し、「あなたに気を使ってますよ」をア
    ピールしますが、韓国では注ぎ足しは「法事の作法」で、通常は飲み干してか
    らお酌します。いまでは韓国人もおおらかになりましたが、昔だったら「俺は
    まだ死んでいない」と怒鳴られるのがおちです。
     女性にお酌をしてもらうのも気をつけなくてはいけません。その種の職業の
    方ならかまいませんが、一般に韓国の女性がお酌するのは父親、夫、恋人のよ
    うにごくごく親しい関係の人に限られます。今の若い女性は比較的おおらかで
    すが、だからといって無防備に女子社員にお酌を求めると後でとんでもないこ
    とになりかねません。
     冒頭に長幼の序と言いましたが、韓国では酒席での「年上の部下」への接し
    方で上司の実力がわかるといいます。日本でも「無礼講」という言葉がありま
    すが、韓国には「ヤジャタイム」(タメ口時間)があります。常に職場の上下関
    係を持ち出すより、「ソンベ(先輩)」「ヒョン(兄貴)」と、臨機応変に無礼講
    にできる上司のほうが人気があり、後々、仕事がやりやすくなるようです。

    http://www.intecjapan.com/news/2011/06/post_253.html
  • [10] mixiユーザー

    2011年07月13日 22:59

    2011年07月04日
    【ソウルのお作法(17)】財閥と世襲
       KRN株式会社『The Daily Korea News』チーフアナリスト 三木英明

     韓国経済を語る際、忘れてはならないのが「財閥」と言われる大規模企業集
    団とそれを束ねる「創業オーナー一族」の存在です。かつて日本では総合商社
    をして、ミサイルからインスタントラーメンまで「売る」と称しましたが、経
    済成長を急ぎ、中小企業の育成まで手が回らなかった韓国では、ミサイルから
    インスタントラーメンまで「作って」「売る」のが財閥なのです。
     またそれを束ねる「オーナー一族」は、儒教の「ウリ主義」の帰属意識の思
    想背景の下、世代交代が進んでもファミリー間の世襲で二代、三代と企業統治
    を受け継いでいるのです。たとえば、トップ3大財閥だけをとってもサムスン
    グループ(財閥)は「李一族」、現代グループは「鄭一族」、LGグループは
    「具一族」という具合です。
     しかしその世襲方式は創業オーナーの遺訓によって異なります。
     「長幼の序」という儒教思想にのっとり「長子継承」を絶対としているのが
    LGグループで、本家の長男への継承が絶対条件です。しかもひとたび世代交
    代となるとグループ経営に参画している父親と同世代の「叔父」たちも一斉に
    経営の最前線から退くことになっています。これは父親亡き後、叔父たちが年
    長者の威光をかさに、一世代下の若き総帥の経営に口をはさみ、企業統治の妨
    げになることを未然に防ぐ狙いがあります。
     基本は創業一族間の世襲としながらも、長子にこだわらず能力本位としてい
    るのはサムスングループで、現在の李健熙(イ・ゴンヒ)会長は三男です。創
    業オーナーの故李ビョンチョル会長は生前、筆者とのインタビューで「長男は
    几帳面な性格で大学教授向き、二男は細かい数字には強いが大局が読めず中小
    企業オーナータイプ」と答えています。因みにこの場に同席していた李健熙現
    会長は、「いつまで世襲するのか?」との問いに対して「能力さえあれば2代
    3代は可能ではないか」と答えています。実際、長男の李在鎔(イ・ジェヨン)
    氏は現在、40代半ばでサムスン電子社長の要職にあります。
     一方、創業者の死を契機に一族間で企業分割したのが現代グループです。創
    業者の故鄭周永(チョン・ジュヨン)会長は生前、筆者に「現代グループは一
    人の人間が統治するには大きくなりすぎた。私が死んだ後は子供たちがそれぞ
    れの企業を担当し、現代グループという財閥は存在しなくなるのではないか」
    と語っていました。事実、かつての現代グループは、狭義の企業グループとし
    ての現代グループと現代建設グループ、現代重工業グループなどに企業分割し
    ました。ただ皮肉なことに、ここにきて「創業オーナーの意志を継いだ本家は
    うちだ」とばかりに兄弟間での内輪もめや株買い占めなどグループ再編騒動が
    相次いでいます。
    http://www.intecjapan.com/news/2011/07/post_257.html
  • [11] mixiユーザー

    2011年09月18日 01:17

    2011年08月01日
    【ソウルのお作法(18)】タクシー哀史
       KRN株式会社『The Daily Korea News』チーフアナリスト 三木英明

     日本でタクシーといえば、電車やバスに比べるとちょっと高級な乗り物で、
    大きな荷物を持っているとか、急いでいるとか、なにか特別な事情がない限り
    あまり使わない乗り物ではないでしょうか?しかし韓国では違います。日本に
    比べるとはるかに「庶民の足」になっていて、子供から大人までけっこう気軽
    に使います。
     最大の理由は料金の安さのようです。例えば「一般タクシー」の初乗り料金
    は2400ウォン(約180円)、高級車を使った個人タクシー最高ランクの
    「模範タクシー」でさえ4500ウォン(約340円)と日本の半分以下です。
    物価や為替レートの違いがあるので一概には比較できませんが、サラリーマン
    のランチ予算が5000ウォン〜8000ウォン(400円〜600円)と日
    韓ほぼ同額なのに比べるとこの安さは突出しています。地下鉄が整備されず、
    バス、タクシーが公共交通の主役だった昔の名残でしょうか?住居費や食費な
    ど他の生活物価に比べてタクシー料金は政府によって意図的に安く抑えられて
    いるような気がします。
     お客にとってはありがたい低運賃もこれで生計を立てる運転手にとっては迷
    惑な話です。先日、ある法人タクシーの運転手に聞いた話ですが、その劣悪な
    労働環境は想像以上です。勤務時間は早朝4時から夕方4時までの12時間。
    休みは週1回で実働26日。昨今の不況も相まって、こんなに働いても手取り
    月額は、最低保証(固定給)と出来高(歩合)を合わせてせいぜい100万ウ
    ォン(7万5000円)〜150万ウォン(11万3000円)。仮に150
    万ウォンで計算しても時給は約4800ウォンで、政府が決めた最低賃金(時
    給4580ウォン)をわずかに上回る程度です。稼ぎの少ない月だとそれさえ
    下回ります。一方、「個人タクシー」の稼ぎは200万ウォン〜250万ウォ
    ン。そのため日本同様、「いつかは個人タクシーになる」というのが、法人運
    転手さんたちの夢のようですが、実はそれも簡単ではありません。
     個人タクシーの資格条件は「3年以上の無事故・無違反」ですが、あくまで
    資格条件で免許がなければ開業はできません。しかし現在は個人タクシーが増
    えすぎたため、新規の免許発給は行っていないそうです。どうしても個人タク
    シーをやりたければ、相撲の「親方株」ではありませんが、今やっている人か
    ら免許を譲ってもらうしかありません。びっくりするのがその売買相場。最低
    7500万ウォン以上だそうで、なんと年収の約5年分です。これに加えて新
    車を買う費用2500万ウォンも用意しなければなりません。働けど、働けど
    ・・・、女工哀史ならぬ「タクシー哀史」を思わせる昨今のソウルタクシー事
    情です。
    http://www.intecjapan.com/news/2011/08/post_261.html
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    2011年09月19日 19:37

    2011年08月29日
    【ソウルのお作法(19)】長幼の序
       KRN株式会社『The Daily Korea News』チーフアナリスト 三木英明

     先日、韓国の財閥系大手企業の社長に面会を求めたところ、ご丁寧に紳士録
    に掲載されているご自身のプロフィールを送っていただき、同時に当方の訪問
    予定者の経歴を要請されました。初めて会う人の経歴を事前に調べ、当日の会
    談を少しでも潤いのあるものにしようとする韓国流ビジネスマナーなのです。
     これはビジネスシーンだけではなく、一般の市民レベルでも同じです。初対
    面同士の挨拶では、年齢、会社での肩書、出身地、出身校、家族構成、趣味な
    ど、微に入り細に入り聞き出そうとします。事情を知らない外国人などは、な
    にか警察の取り調べを受けているような不快感すら覚えることがありますが、
    誤解しないでください。人間関係を大切にしようとする「コリアン・ホスピタ
    リティ」の表れなのです。
     儒教の「長幼の序」を重んじる韓国では、言葉使い一つをとっても、上下関
    係が曖昧な状態ではお互いがどう接していいか疑心暗鬼になり兼ねず、極力避
    けようとします。根掘り葉掘り聞きたがるのは、目上の方に失礼にならないよ
    う、あらかじめお互いの「上下関係」を確認しておきたいという人間関係構築
    作業なのです。これはなにも相手より上でありたいということではなく、「上
    なら上」「下なら下」「対等なら対等」とはっきりさせた上で、それに応じた
    言動で接していきたいという「おもてなし精神」なのです。
     昔、あるパーティーで年格好がほぼ同じ韓国人ビジネスマンの名刺交換の場
    に遭遇しましたが、実にけっさくな光景でした。聞けば、二人とも同年齢で、
    最終学歴、会社の規模・肩書もほぼ同様で甲乙つけられません。このまま「対
    等関係」で終わるのかと見ていましたが、当事者たちはどうも納得しないよう
    です。他の話題で確認作業が続きます。まず徴兵時の派遣部隊と退役時の位。
    これもお互い陸軍の前線勤務と同じ位で引き分け。次は家族構成。どうやら子
    供の数で勝負をつけたかったようですが、双方2人、しかも一男一女でまた引
    き分け。ようやく決着がついたのは韓国の国技・テコンドーの段位でした。こ
    れを確認した一方が、それまで「〇〇さん」と呼んでいた呼び名を「〇〇ヒョ
    ン(兄貴)」と改め、双方、笑顔で握手したのでした。
     因みに優先順位は友人関係では年齢、学歴、会社の規模・肩書など。ビジネ
    ス面では取引形態の主従関係が一般的です。それと忘れてはならないのは、親
    戚間では年齢より世代が優先されることです。何百年の歴史の中で、同門内で
    世代がずれ、小学生の方が80歳のおじいさんより上の世代というケースもあ
    ります。この場合、法事では80歳のおじいさんが子供に深々とお辞儀をする
    のです。

    http://www.intecjapan.com/news/2011/08/post_265.html
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    2011年10月02日 18:15

    2011年09月26日
    【ソウルのお作法(20)】大統領の威信と竹島問題
       KRN株式会社『The Daily Korea News』チーフアナリスト 三木英明

     韓国で初の女性大統領を描いた韓流ドラマ『レディプレジデント』が大人気
    になりましたが、その第1回放送分の冒頭が実に印象的でした。
     《ホワイトハウスで米韓首脳会談中に、中国領海で情報収集活動をしていた
    韓国海軍の潜水艦が座礁したとの知らせが入ります。事を公にすれば韓国軍の
    領海侵犯が明らかになり、国際世論の非難は免れません。と言ってそのまま放
    置すれば乗組員の死は確実です。軍部は「見殺し」を主張するのですが、女性
    大統領は「国民の命を守れないで何が大統領か」と一喝。首脳会談を中断し、
    単身中国に乗り込み、事態を謝罪し、国家主席に救助を要請します。ところが
    足元を見た中国側は「領海侵犯は韓国側に非がある」とノラリクラリの対応。
    業を煮やした女性大統領は「韓国軍を出動させても救助する。その結果、中国
    と戦闘状態になったとしてもやむを得ない」と一歩も譲りません。その迫力に
    中国側が折れ、韓中が共同で救出作戦を行い、無事、乗組員を生還させる》と
    いう設定です。国民の命と国家の威信を守るためには大国・中国との戦争も辞
    さないという大統領の強いリーダーシップに多くの視聴者が溜飲を下げたシー
    ンでした。
     このシーンを見てふと「竹島(韓国名:独島)」をめぐる最近の韓国政府の
    強硬姿勢を思い浮かべました(但し、領有権の是非は触れません)。
     竹島問題の発端は1952年に当時の李承晩大統領が宣言した「海洋主権宣
    言に基づく漁船立入禁止線(李承晩ライン)」で、それまでサンフランシスコ
    条約で日本領とされていた竹島を韓国領と宣言したことです。しかし排他的経
    済水域といった概念もなかった当時のこと、何の資源もない日本海の孤島のこ
    とでギクシャクするのもどうかと、一時は「両国ともこの問題には触れない」
    と「棚上げ」で外交決着していた案件でした。事実、韓国政府もそれほど執着
    していませんでした。
     しかし2005年に島根県が「竹島の日」を制定したことで様相は一変しま
    す。これに反発した当時のノ・ムヒョン政権が「棚上げ合意」を翻し、それま
    で韓国民の入島も禁止していた竹島に観光客の上陸を認めたのです。これによ
    ってそれまで「棚上げ案件」だった竹島問題が正式に日韓両国の政治・外交案
    件に再浮上し、大統領も無視できない存在になってしまったのです。しかも冒
    頭でも紹介したように韓国では「戦う大統領」が好まれます。調整型の弱腰外
    交は国民性に合いませんのでポーズだけでも強気でなければなりません。警備
    隊の常駐や日本国会議員の入国拒否など国民向けのポーズが求められます。こ
    こが調整型の野田新総理のようなリーダーに期待する日本と韓国との国民性の
    大きな違いなのです。
    http://www.intecjapan.com/news/2011/09/post_269.html
  • [14] mixiユーザー

    2011年11月05日 18:54

    2011年10月24日
    【ソウルのお作法(21)】退職金
       KRN株式会社『The Daily Korea News』チーフアナリスト 三木英明

     韓国の中小企業経営者と食事をしていた時のことです。ふだんは陽気な人が
    時々なにか考え込むそぶりを見せます。理由を聞くと、長年勤務しているベテ
    ラン女子社員が最近になって急に残業を増やしたり、日中ちょくちょく外出す
    るなど様子がおかしいというのです。なるほど。合点がいきました。この女子
    社員は転職を考えている可能性が大です。それで退職金の算定単価になる「平
    均賃金」を上げるために残業に精を出しているふしがあります。
     日本に「労働基準法」があるように韓国にも「勤労基準法」があります。一
    般的に韓国の経済関連法令の多くは経済先進国だった日本の法令を参考にして
    作られたものが多く、内容的には概ね日本と大差はありません。極端な話、韓
    国の勤労基準法がわからなくても日本の労働基準法に準じて対応していればそ
    れほど大きな法解釈の誤りは生じません。しかし、こと「退職金規程」だけは
    別もので、日本に比べると圧倒的に労働者優位の大盤振る舞い規定になってい
    るのです。
     そもそも日本の労働基準法では、使用者側が最低限支払わなければならない
    退職金額などは規定されていませんが、韓国では「最低法定退職金」という支
    払い義務規定があり、しかも「勤続1年に対して30日分以上(1カ月分)の
    『平均賃金』」と算定方式まで明記しています。1年以上勤務すれば最低1カ
    月分の退職金が保証されるという仕組みです。
     さらにこの平均賃金というのがくせ者です。韓国では「通常賃金」と「平均
    賃金」という2つの概念があります。通常賃金は毎月支払われる給与額。これ
    に対して平均賃金は通常賃金に直近1年間の賞与、残業手当などを含んだ総所
    得を月割り計算したもので、当然ながら通常賃金より高くなります。加えて言
    えば日本のように自己都合による自主退職と会社事情による退職とで退職金の
    支払い料率が異なるということもありません。まさに労働者天国です。
     何故でしょう?韓国で退職金規程が導入されたのは1961年のこと。当時
    は一人当たりの国民所得が1000ドルにも達していない貧しい時代でした。
    当然、失業保険など社会保障制度も整備されておらず、退職金が退職後の生活
    のつなぎ資金の意味合いを持つやむを得ない側面がありました。しかし今や韓
    国もれっきとした経済大国。給与水準も先進国並みに上がり、政府の失業対策
    や企業の福利厚生策も格段に整備されています。それにも関わらず退職金規定
    だけは以前と同じ。これでは企業側もたまりません。中小企業などでは支払い
    負担が増え続け、「退職金倒産」が危惧されるほど企業経営を圧迫する要因に
    なっているのです。
    http://www.intecjapan.com/news/2011/10/post_273.html
  • [15] mixiユーザー

    2011年11月26日 07:24

    2011年11月21日
    【ソウルのお作法(22)】学縁
       KRN株式会社『The Daily Korea News』チーフアナリスト 三木英明

     儒教精神で「地縁」「血縁」など「縁」を大切にする韓国で忘れてはならな
    いのが「学縁」です。日本でもビジネスの場で同級生らがお互いに便宜を図り
    合うという話は時々聞きますが、韓国の場合、同級生だけにとどまらず、同窓
    生というだけでその親密度は計りしれないものがあります。
     ソウルの友人に、ある財閥系企業の社長に面会する方法を相談していた時の
    ことです。おもむろに同窓会名簿をたぐりだした友人は、名前と卒業年次を確
    認するとその場で社長に電話をかけはじめたのです。その手早さにも驚きまし
    たが、もっと驚いたのは、お互いが電話口で自己紹介を始めたことです。聞け
    ば友人もその社長と話をするのは初めてで、いわゆる初対面の関係だったそう
    です。
     想像してみてください。いくら同窓生とはいえ、これまで一度も会ったこと
    がなく、共通項といえば、同窓会名簿にお互いの名前が載っているだけの関係
    で、いきなり上場企業の社長に電話をかけ、私のような全く赤の他人のアポイ
    ントを依頼する友人。しかもそれをあっさり受け入れる社長。日本では到底考
    えられない光景です。「なぜ?」と聞いた答えがまたふるっていました。「何
    が?だって後輩だもん」。ことほど左様に韓国の学縁はディープなのです。
     韓国社会が学縁を重視するということは、裏を返せば、学縁を活かせる名門
    校に受験生が集中するということでもあります。たとえば大学御三家は「SK
    Y」と呼ばれるソウル大学(S)、高麗大学(K)、延世大学(Y)。高校御
    三家は京畿高校、ソウル高校、景福高校でした。この3高校の1学年の定員合
    計は約400人でしたが、その大半がSKYに進学するという超名門高校で、
    中でも「京畿高校−ソウル大学」ルートは多くの官僚、医師、弁護士、大企業
    役員を輩出し、「KSマーク」(本来はJISマーク同様、韓国工業標準規格
    KSマーク)と呼ばれ、韓国屈指のエリートコースと羨望されました。
     一方、過酷な受験戦争を戦い抜いてきたエリート達のプライドにもすさまじ
    いものがあります。たとえば韓国政府は、あまりに激しい受験戦争で教育格差
    の弊害が出たとして1976年からソウル市と主要5都市での高校入試を成績
    ではなく抽選で決める「高校平準化政策」を施行しましたが、これに抗議した
    京畿高校の同窓会は、つい最近まで抽選で入学した後輩たちを同窓会員として
    認めていませんでした。先輩から三行半を突きつけられたようなもので、抽選
    入学者達の胸中は実に複雑だったと思います。その意味では「KSマーク」と
    呼ばれるエリート達は1976年前の厳しい受験戦争を勝ち抜いた現在50歳
    代以上の人たちになるのです。
    http://www.intecjapan.com/news/2011/11/post_277.html
  • [16] mixiユーザー

    2012年01月03日 13:41

    2011年12月19日

    【ソウルのお作法(23)】年の瀬風景
       KRN株式会社『The Daily Korea News』チーフアナリスト 三木英明

     韓国では12月の声を聞くとホテルやデパート、ショッピングモールなどに
    華やかなXマスイルミネーションがほどこされ、街全体が一斉にXマスモード
    に突入します。これ自体は日本でもよく見かけられる光景ですが、「街のあり
    とあらゆる所に」というスケールでは韓国のほうが遙かに上でしょう。
     というのも韓国人のほぼ半数はキリスト教徒で、正月よりXマスのほうが市
    民権を得ているのです。また韓国では元々1月1日の新正月より旧正月(来年
    は1月23日)を祝う風潮があり、これもXマス重視に拍車をかけています。
    実際、多くの企業は1月1日を一日だけ休みにし、2日からふだん通り仕事を
    始めます。ちなみに今年はカレンダーのいたずらで、大晦日は土曜日、来年の
    正月は日曜日。日本のように年越しを正月休みで祝うという感覚などなく、ふ
    だんの週末と変わらない味気ないものになりそうです(ただし旧正月は日本同
    様連休になります)。
     とはいえ、何かにかこつけてはお酒を飲みたがる韓国人。毎年この時期にな
    ると「忘年会」「送年会」といった楽しい響きのお誘いが急増します。しかし
    世界的な不況感や韓米FTA(自由貿易協定)批准に揺れる今年の韓国はどう
    も様子がおかしいようです。
     あるウイスキーメーカーが30〜40代の中堅サラリーマン(980人)に
    聞いたところ、今年の忘年会の予定は3〜4回が65%で最も多く、1〜2回
    を含めるとほぼ9割が4回以下と例年に比べて明らかに回数が減っています。
    しかも日頃は連帯感の醸成やチーム活性化を名目に食事会や2次会に多額の会
    社補助をつけていた大手企業も、「翌日の仕事に支障が出る」(実際は経費節
    減目的)として2次会の自粛を呼びかけ、食事会だけで終わる忘年会が増えて
    いるそうです。これでは若手はさぞ不満だろうと友人の部長に聞いてみたとこ
    ろ、「最近の若者は個人主義の高まりで2次会をいやがる」とむしろ歓迎の様
    子。時代も変わったものです。
     ちなみに忘年会1回当たりの平均支出は10万ウォン(約7千円)未満が43
    %で最も多く、以下 20万ウォン未満(20%)、15万ウォン未満(18%)、
    5万ウォン未満(14%)の順。財布のヒモもきつくなったようです。
     例年なら寒空の下で酔いつぶれる酔客が路上をふさぎ、嬌声を上げながら闊
    歩するサラリーマン集団でごった返す繁華街ですが、今年路上をふさいでいる
    のはリストラに抗議する組合員の座り込み、騒いでいるのは韓米FTA批准に
    抗議するデモ集団と、例年とはまったく異なる様相を呈しています。日本から
    見ればまだまだ好調に映る韓国経済ですが、ここにもまちがいなく不況の波が
    押し寄せているようです。
    http://www.intecjapan.com/news/seoul/#002342
  • [17] mixiユーザー

    2012年04月30日 22:48

    2012年02月06日
    【ソウルのお作法(24)】旧正月
       KRN株式会社『The Daily Korea News』チーフアナリスト 三木英明

     日本では年始回りに忙しい1月。この時期、韓国の日本人駐在員や出張者は
    何とも微妙なモヤモヤ感におそわれます。理由は新正月と旧正月の狭間です。
     前回もご案内した通り、韓国では1月1日の新正月より旧正月(今年は1月
    23日)を祝う風潮があります。そのため新正月から旧正月のこの期間は、日
    本的に言えば「年始回り」の時期にもかかわらず、韓国では年末のご挨拶回り
    の時期でもあるからです。
     韓国人同士の挨拶はストレートに「よいお年をお迎えください」で済むので
    すが、相手が日本人となると先方も気を使って、冒頭「新年おめでとうござい
    ます」でスタートし、帰りがけには「よいお年をお迎えください」となり、何
    とも不思議な感覚になるのです。
     旧正月は1月20日ごろから2月20日ごろまでの間で毎年変動します。こ
    のためモヤモヤ期間は年によって3週間から最大7週間ほどになります。今年
    は1月23日なので最短の3週間ですが、それでもこの3週間はモヤモヤの連
    続なのです。
     不思議なことに韓国では、旧正月と秋夕(お盆)の「2大名節」だけは旧暦
    で祝い、その他の祝日は新暦で祝います。旧正月は家族が一堂に会して1年の
    幸福を祈念し、秋夕は墓参で先祖と共に1年の収穫を祝う。まさに農耕民族ゆ
    えの季節感あふれる思い入れの深い祝日といえます。事実、いずれも前後合わ
    せて3日間が国民の祝日になっていますが、これはあくまで表向きで、実際は
    故郷に帰る民族の大移動があり、「旧正月ウィーク」「秋夕ウィーク」といっ
    て都市部では1週間くらい仕事にならないというのが実情です。事実、今年も
    1月20日の金曜日午後から民族の大移動が始まり、各地の高速道路は深夜ま
    で帰省するマイカーで大渋滞だったそうです。
     しかしその一方で、最近の旧正月が一時に比べて様変わりしたことも否めま
    せん。その昔、1980年代の旧正月をソウルで過ごしたことがありますが、
    当時はソウル市内のほとんどの店がシャッターを下ろし、まるでゴーストタウ
    ンのような寒々しい光景だったことを覚えています。ところが最近の韓国は、
    田舎を持たない都市生活者や核家族化が増えたせいでしょうか?いつもと変わ
    らず店を開ける商店や海外旅行に出かける家族連れが増えるなど、旧正月の風
    景も大きく変化してきました。今年の旧正月も厳しい冷え込みにはなったもの
    の大型スーパーは平常通りの営業で、ゴーストタウンとは程遠いものでした。
     ところで韓国語で「あけましておめでとう」は、「セヘ・ポク・マニパドゥ
    セヨ!」(福をたくさん受けてください)。旧正月を迎えた今、今度こそすっ
    きりと「みなさん!セヘ・ポク・マニパドゥセヨ!」。
    http://www.intecjapan.com/column/2012/02/06103330.html
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    2012年05月21日 22:50

    2012年03月05日
    【ソウルのお作法(25)】車社会と運転マナー
       KRN株式会社『The Daily Korea News』チーフアナリスト 三木英明

     最近、韓国に行って感じるのは、やたらに車が多くなり、幹線道路の渋滞が
    ほぼ慢性化していることです。10年ほど前だったら15分程度で行けた場所
    も昨今では平気で小一時間かかるようになり、約束の時間に遅れることもしば
    しばです。鉄道や地下鉄の整備が遅れた韓国ではバス、タクシーが公共交通機
    関の主力で、狭い国土にもかかわらず意外に車社会なのです。また「漢江」と
    いう大きな川で「江北」「江南」の2つの経済圏に分かれた首都ソウルは、橋
    の数が限られていることもあり、南北に移動する車が集中し、橋も慢性渋滞の
    元凶になっています。
     バス、タクシー以外に自家用車の急増も渋滞に拍車をかけています。
     国土洋部(日本の国土交通省)が発表した昨年1月末現在の自動車登録台数
    は1800万台を超え(1803万8828台)、2014年には2000万
    台を突破すると予測されています。これを人口でみると1台当たり2.8人。
    まだ米国(1.3人)や日本(1.7人)には及びませんが、それでも1世帯
    当たりでみると0.91台で、ほぼ「一家に1台」の本格的なマイカー時代が
    到来しています。
     かつてはアジア諸国で唯一、「国産車だけが走っている国」とされた韓国も
    1988年のソウル五輪開催を機に外車の輸入が解禁され、最近では好景気も
    相まって52万7000台(2.92%)を占めるに至りました。
     そんな車社会の韓国ですが、「運転マナーは?」というと、これがかなり悪
    く、タクシーに乗って身の危険を感じたことは一度や二度ではありません。
     たとえば車線変更。一応、ウインカーは出していますが、相手のことなどお
    構いなし。ちょっとした隙間を見つけると強引に割り込んで行きます。そんな
    無理をして割り込んだ隣のレーンがすいているかというとそこも渋滞。せいぜ
    い1台分をパスする程度なのですが、それでもこんなジグザグ走行の車線変更
    を何度も繰り返し、2車線のはずがいつの間にか3車線になったりするのは日
    常茶飯事です。
     一昔前なら、ここで壮絶なクラクション合戦があったものですが、クラクシ
    ョンのマナーは向上したようで、大概の車は大人の対応で入れてあげます。た
    だ、中には絶対入れてあげない車もあるのですが、不思議なことに相手はそれ
    を瞬時に感じ取り、割り込みを諦めます。この阿吽の呼吸が実に見事で、まる
    で2台の運転手がテレパシーを使っているのかと錯覚するほどです。
     急速な経済発展を遂げグローバルスタンダードを声高に叫ぶ韓国ですが、日
    常生活では「パリパリ(早く早く)精神」の国民性が邪魔をして、車の運転マ
    ナーだけをみても「所変われば品変わる」を実感させられるのです。
    http://www.intecjapan.com/column/2012/03/05084927.html
  • [19] mixiユーザー

    2012年05月22日 06:03

    2012年04月02日
    【ソウルのお作法(26)】韓国企業は競争社会
      KRN株式会社『The Daily Korea News』チーフアナリスト 三木英明

     韓国経済を牽引する「財閥系企業」。資本集中度によって「10大財閥」と
    も「30大財閥」とも分類されますが、待遇がいい半面、し烈な社内競争で多
    くの人材が定年を待たず脱落することでも有名です。
     あるヘッドハンティング会社の調査によると、一般的に「大企業」と呼ばれ
    る財閥系企業の平均年俸は新韓金融持ち株会社の1億600万ウォン(約760万円)
    を筆頭に、サムスン生命(1億320万ウォン)、サムスン電子(9930万ウォン)、
    コリアンリー(大韓再保険=9870万ウォン)と一般企業(平均4000万ウォン)
    と雲泥の差があります。コリアンリーでは女性社員が7000万ウォンと男顔負け
    です。
     厚遇は給料面だけではありません。大企業の福利厚生は一般企業に比べてあ
    らゆる面で整備・厚遇されています。たとえば教育費補助。実際には補助とは
    名ばかりで、社員の子供の教育費は幼稚園入園から大学卒業時まですべて会社
    が負担してくれます。日本同様、否、日本以上に教育熱の高い韓国で、私学、
    国公立を問わず大学卒業時まで会社が授業料を負担してくれるのは相当な魅力
    です。
     それだけに大企業の採用試験は狭き門で全国から優秀な学生が集まります。
    たとえば毎年「就職したい会社ナンバー1」になるサムスン電子の新卒合格者
    のTOEICの平均点は841点。以下、LG電子(832点)、斗山重工業
    (805点)、SK建設(800点)と続きますが、いずれの合格者にも共通
    しているのは海外語学研修と最低2つの資格、インターン経験、ボランティア
    活動経験を持っていることです。
    ています。まずは新入社員研修。会社によって若干の差はありますが概ね3か
    月間、徹底した研修で企業戦士に育てられます。その後は年数回の職能試験、
    代理(係長)、課長、部長と昇進する度に昇進試験を受け、不適格とみなされ
    ると容赦なくふるい落とされるか、自ら退職(転職)の道を選びます。
     兵役のある韓国では一般的に25歳で就職し、45歳まで会社に残れれば成
    功といわれますが、友人の会社では入社時100人いた同期で無事45歳を迎
    えられたのはわずか10人だったといいます。また社員数7000人の証券会
    社の経営陣は、60代が1人、50代は社長を含め数人、残りはすべて40代
    というのですから驚きです。
     まさに20年勝負のサラリーマン人生。なるほどこうして見ると、昇進の早
    さや賃金上昇率の高さ、退職金算定率の高さなど、日本に比べて急テンポなの
    も頷けます。それにしても45歳を待たず退職せざるを得なかったエリート達
    の第2の人生とはどんなものなのでしょうか?

    http://www.intecjapan.com/column/2012/04/02090001.html
  • [20] mixiユーザー

    2012年06月05日 09:04

    2012年05月01日
    【ソウルのお作法(27)】日本に追いつけ、追い越せ
      KRN株式会社『The Daily Korea News』チーフアナリスト 三木英明

     韓国を代表する財閥グループ「三星(サムスン)」の元社長と食事をしていた時のことです。年初から民主党の大物政治家2人(あえて匿名にします)が、相次いで彼を訪ねて来て、異口同音に「韓国企業の強さの秘密を教えてほしい」と聞いてきたそうです。日頃、日本をライバル視する韓国の財界人です。さぞかし溜飲を下げた自慢話になるのだろうと覚悟していたところ、次に出てきた言葉は、「悲しかった」という意外な一言でした。

     びっくりして理由を聞くと、「若い頃から日本に追いつけ、追い越せを目標に、この30年間必死になって頑張ってきた。その日本の政権与党の幹部から、30年前、自分たちが日本で聞いたこと、学んだこととまったく同じ質問を受けた。まさに『日本』と『韓国』という主語を逆にしただけで、これがかつて自分たちが目標にした国の政治家からの質問かと思うと失望の念を禁じ得なかった」というのです。複雑な心境でした。

     ちょっと古い話で恐縮ですが、筆者が経済記者になりたての35年前、三星グループの創業オーナー・故李ビョンチョル先代会長は、霞ヶ関ビルに三星ジャパン会長秘書室を設け、1年の半分近くを日本で過ごしていました。滞在中は連日、政財界のトップと会合や会食を繰り返し、ときには年末年始を日本で過ごすこともありました。

     ある時、頻繁な来日の理由を聞いたことがあるのですが、実に明快でした。

     曰く、「韓国は日本同様、海外から資源を輸入し、それを加工して、欧米に輸出して成長する産業構造になっている。それならいっそのこと日本企業の成長ノウハウを見習うのが一番早い。しかも日本の書店に行けば『○○企業発展史』や『○○企業成功の秘密』といったビジネス書が7〜800円(当時)も出せば簡単に手に入る。これを見逃す手はない。だから自分は日本に着くと空港から書店に直行し、新刊書を最低50冊、多いときは100冊ぐらい買い求める」・・・と。

     たしかに当時、三星ジャパンの会長秘書室には黒沢映画をもじって「七人の侍」という、活動予算「無制限」の情報収集専門の秘書部隊が5、6人駐在していました。実は冒頭の元社長もその一人でしたが、彼らの業務は日本の役所、財界のあらゆる勉強会に出席し情報を収集するとともに、会長が買い求めてきた書籍を分担して読み込み、三星が学ぶべきポイントを1冊あたりA4用紙1枚にまとめることでした。

     会長は帰国便の機内で50枚〜100枚に要約されたビジネス書の概要を読み、特に興味がある本は改めて自分で読み直し、後日、本社の役員会でグループ各社の社長に事細かく指示したといいます。

     因みに現在同社のドル箱企業に成長した「サムスン電子」の誕生秘話も、東京で手にした『NEC成長の秘密』というビジネス書で半導体の可能性を初めて知り、半導体産業への参入を決意したものだそうです。

     「日本に追いつけ、追い越せ」から30年。今度は日本の経営者が韓国の書店回りをする番になってしまったのでしょうか。
    http://www.intecjapan.com/column/2012/05/01153536.html
  • [21] mixiユーザー

    2012年06月07日 00:45

    2012年05月28日
    【ソウルのお作法(28)】女子プロゴルファーと儒教精神
     プロゴルファーをめざす友人のお嬢さんが、4月からロサンゼルスの大学にゴルフ留学しました。そのお嬢さんからの第一報によると、同期のうちゴルフ留学の男6人は全員韓国人。女も3人のうち自分以外は韓国人で、いずれも親と一緒に来ているとのことです。

     最近よく「韓国プロゴルファー」の強さの秘密を尋ねられることがあります。「ハングリー精神」などいろいろな要因があると思いますが、私は、この「親と一緒に」というフレーズに何か大きな秘密があるような気がします。

     韓国にゴルフブームを巻き起こしたのは、1998年に「全米女子プロ」「全米女子オープン」の両メジャー大会を制した朴セリ選手でした。もちろんそれまでも国内にはいくつかトーナメントがありましたが、いずれも町内ゴルフ大会程度の規模で国民もそれほど関心を向けませんでした。それが朴セリ選手の2大メジャー制覇という快挙です。愛国心を高揚させるのにこれほど効果的なものはありません。さっそくサムスン電子がスポンサーに名乗りを上げるなど、ゴルフがスポーツビジネスとして一躍脚光を浴びるようになったのです。一説によると、この年だけでジュニアゴルファーが2千人も増え、その勢いは今も続いているといいます。

     国土が狭く海外進出に頼らざるを得なかった韓国経済同様、国内市場(ゴルフ人口、ゴルフ場)が小さいゴルフ界も活躍の場を海外に求めました。特に米国はツアー規模が大きく、注目度が高いことに加え、百万人以上の在米コリアンがサポートしてくれます。これを見逃す手はありません。高校野球がプロ野球の登竜門になり多くのスポーツパパが現れたかつての日本同様、韓国でも子供に英才教育をほどこすゴルフパパが多数出現したのです。

     しかしここで決定的に違うのは日韓の親子関係の「質」と「情」です。日本の教育現場から「スパルタ教育」という言葉が消えて久しいなか、韓国にはまだ「親は子供のためにすべてをなげうち、子供は親の命令に絶対的に服従する」という儒教精神に基づく絶対的な親子関係が存在しています。たとえば、いつも親が練習場につきっきりで、トイレ以外は遊べないように監視したり、パットを外したら晩ごはん抜きという罰則を科しても、子供は親に喜んでもらいたい一心で、一言も反抗せず一生懸命練習し、最後にはエリートゴルファーという称号を獲得するのです。このことが、いいか、悪いかは別として、少なくとも今の韓国には、日本の戦後教育が失った「親には絶対服従」という儒教精神がまだ色濃く残っているのです。

     ただ、光があれば影もあります。「ウリ(私たち)社会」の韓国では、身内から成功者が出ると親戚中がそれにぶら下がる悪しき風習がありますが、ゴルフパパもごたぶんにもれず、成功した我が子から投資分を回収しようと企てます。ある現役の女子プロは「プロになった瞬間、家族を養う“義務”が生じた」と告白しています。また冒頭にご紹介した朴セリの父親は、娘が稼いだ賞金とスポンサー収入の大半をギャンブルにつぎ込み、これを非難されると「娘のカネを親がどう使おうと勝手だ」とうそぶき、ひんしゅくをかいました。

     儒教精神がもたらす女子プロゴルファーの光と影。華やかさの一方でクラブ一本で親や家族の期待に応えたいというけなげな気持ちが、韓国プロゴルファーの強さの秘密かもしれません。
    http://www.intecjapan.com/column/2012/05/28100141.html
  • [22] mixiユーザー

    2012年06月27日 06:06

    2012年06月25日
    【ソウルのお作法(29)】経済成長の光と影

     国際通貨基金(IMF)の定例協議団は6月12日、今年の定例協議の結果を発表し、韓国の経済成長見通しを3.5%から3.25%に下方修正しました。韓国経済は2010年に急速な経済回復を実現し注目を浴びましたが、やはりその後の世界経済の低迷の煽りを受け、2011年以降は徐々に成長が鈍化し、今後もさらに鈍化する可能性があるとIMFはみています。ただ構造的には「いまや先進産業経済国になった」と一定の評価をし、同日に発表された日本経済に対する評価よりも比較的高評価で、韓国経済の元気ぶりを認めた格好になりました。

     とはいえ、物事には必ず「表と裏」、「光と影」があります。世界的な不況の中で、なんとか成長を維持している韓国経済ですが、経済成長を支える国民生活は「貧富の差」が拡大し、「サムスン電子の役員の平均年俸は109億ウォン(約7億3872万円)」という景気のいいニュースの一方で、「中産家族の生活費は最低169万ウォン(約11万5000円)欲しい」と、所得の二極化が実物経済に歪みを生じさせています。かつては80%に迫っていた「中産層」が、リーマンショック後の所得減少と不動産価格の下落、個人負債の増加などで65%まで減り続け、成長の裏で泣いている人々も増えたようです。

     サムスン経済研究所が6月初めに全国の1000世帯を対象に電話で聞いたところ、調査対象の相当数が1カ月の最低生計費(4人世帯)は169万ウォン(約11万5000円)が適正だと感じ、住居費や教育費、余暇、文化生活費などを含めた人間らしい生活を維持するために月300万ウォン(約20万円)程度必要と考えていることがわかりました。しかし実際には昨今の景気低迷で家計所得の伸びは鈍化し、逆に社会保障支出の増加などが影響し、理想の生活水準を維持するためには、貯金を食いつぶしていかなければならないようです。

     OECD(経済協力開発機構)が5月29日に発表した報告書によると、1998年に23.2%でトップだった韓国の家計貯蓄率(可処分所得に対する貯蓄割合)は、2011年は3.1%と、この13年間で実に20ポイント以上下落し、調査対象18カ国で最も大きい下げ幅を記録しました。ちなみに韓国に次いで下げ幅が大きかったのは日本の8.8ポイントですが、韓国の下げ幅はそれを2倍以上上回っています。これだけみても韓国経済がいかに蓄えを食いつぶし、外見を維持しているのかわかります。

     それを如実に物語ったのが、同じく5月にOECDが発表した「幸福指数」です。これは主要36カ国の所得、雇用、住宅など、生活環境と生活の質を数値化して測定した指標ですが、IMFでは「先進産業経済国」と高く評価された韓国が、幸福指数では36カ国中24位と下位に低迷しています。しかも学歴水準、学業到達度、治安などでOECD平均値を大きく上回り高い評価を受けた半面、労働時間、雇用、環境面でいずれも低評価だったというのも「光と影」のコントラストを浮き彫りにした皮肉な結果でした。

    http://www.intecjapan.com/column/2012/06/25170936.html
  • [23] mixiユーザー

    2012年10月15日 08:03


    2012年07月23日
    【ソウルのお作法(30)】殿様商売

     日中韓の国民性の比較で、会社を設立する時の“たとえ話”があります。中国人は、なにはともあれ電話を引き、とりあえず仕事を始めます。日本人は用意周到に準備を進め、計画通り着実に仕事を進めます。韓国人は?というと、事務所に社長用の大きな机を運び込み、権威の象徴といえる背もたれの高い椅子にふんぞり返って「さあ、これから何をしようか?」と考えると言います。実利の中国人、計画性の日本人、形から入る韓国人の三者三様の国民性をたとえたものです。実際、韓国には「始まりは半分だ」(スタートすれば半分成功したのも同じ)という格言があるほどです。

     ソウルで30年近く流通コンサルティングをしている方から、そんなたとえ話を彷彿させるような昔話を聞く機会を得ました。日本人で初めて、韓国の総合商社の流通部門の社長にヘッドハンティングされ、従業員3000人の会社を任された流通のプロです。大手総合商社から大型ショッピングモールの立ち上げの依頼が舞い込んだのは1997年のことです。ソウル近郊の新都市に大手財閥の名に恥じない超高級ショッピングモールを建設してほしいというものだったそうです。

     ところがこの社長さん、計画を聞いた途端、ある不安から何度も固辞したと言います。決して待遇が悪かったわけではありません。それどころか日韓の移動はプライベートジェット機、現地視察は高級外車とヘリコプター。社長室はロングパットの練習にもってこいの広さと、まさに至れり尽くせりの待遇だったといいます。

     ではなぜ?

     実は、「流通が儲かりそうだ」という理由だけで、総合商社が畑違いの小売業に新規参入する財閥独特の殿様商法、コスト意識に不安を抱き、二の足を踏んだのです。それでも最後は副会長が直々に出向いてこられ、三顧の礼で口説き落とされ、とうとう不安半分で引き受ける羽目になったそうです。

     引き受けた以上、全力を尽くすのが日本人の性。まずは小売業に対する韓国側経営陣の意識改革が必要と、日本チェーンストア協会の会長も兼務する旧知の大手スーパー会長を韓国に招いて講演をしてもらうことにしました。「スーパーの経営者は、1円、10円を切り詰める主婦の気持ちを裏切ってはいけない」と自らを厳しく律している会長の話を聞けば、韓国側の意識も変わるだろうと思ったのです。

     ところが韓国側にそんな思いはまったく通用しませんでした。相も変わらずファーストクラスに高級ホテルのスィートルーム。高級外車とヘリコプター。韓国屈指の高級料亭で宴会三昧と会社の威信をかけ、コリアンホスピタリティー全開で歓迎準備をしたのです。

     ソウルに着いた会長さんは露骨に嫌な顔をしたといいます。秘書を通じて2時間以内の移動はエコノミークラスで十分。店舗立地を見に行くのならヘリコプターより電車、車を乗り継いだほうが商圏がよくわかる。夜9時以降はプライベートタイムで宴会無用と韓国側の歓迎プランをことごとく却下したのです。同時に、殿様商法をよしとする経営者の姿勢が改まらない限り、「韓国で小売業は無理」と看破したといいます。

     後日、会長の不安は見事に的中します。翌1998年に韓国を襲ったアジア金融ショックで資金難に陥った親会社は、さっさと小売業からの撤退を決め、日本人社長が手塩にかけて育てたショッピングモールを外資に売却してしまいました。
    http://www.intecjapan.com/column/2012/07/23111536.html
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