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開催終了8月のお題【祭り・お盆】の投稿

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2007年08月01日 12:37 更新

夏といったらやっぱり”お祭り”ですよね〜。

祭りといっても色んな祭りがあるとおもいます。
地方でやっている小規模なものから、有名なものまで・・・。

今回はそういった祭りにまつわるお話を書いていただけたらと思います。

お盆で書かれてる方もいるようなので、そちらのテーマも用意しました。

投稿お待ちしております。

コメント(2)

  • [1] mixiユーザー

    2007年09月20日 14:32

    もう八月も半ば。規定どおりの夏休みを取れていた頃の私は
    その時期をいつも、母の実家で迎えていた。

    思い返せばもう数年前の話だ。

    【一期一会の道】

    「千尋、夜には出歩かないでよ。もうお盆なんだから」

    「分かってるよ、去年もそれで痛い目みたし、怖いもの見たさはあるけど、命は惜しいもの。」


    まだ日が沈むもう少し前に、私は玄関でサンダルを突っかけた。
    日焼け止めをぬる私を見て、母が釘を刺すように座敷から顔を出す。

    私の母方家系は特殊だ。
    祖父が子どものころに蛇を殺してからというもの、不思議なことばかりを体験する家系になった。
    祖父の話は、まあ今回は割愛させていただく。
    結果そのありがた迷惑な能力というにはまだ程遠い、何と言ったらいいのだろう
    変な体質とでもいうのか、そういうものが身に付いてしまっていた。
    おかげで私は一昨年辺りからお盆になると現れる影に、趣味の夕涼みにでては悩まされていたのだ。


    「怖いもの見たさ…ねぇ。」


    自分で呟いた言葉を、砂利道を歩きながら反芻する。
    たしかにオカルトは大好きだ。怖い話を友達にしては、怖がるのを楽しんではいたが…
    実際の私はそうとうな怖がりだった。
    不可思議なものを見るたびに、何度叫びそうになったことか。
    ぐるりと田んぼに張り巡らされた田舎道をまわり、舗装された道路も通り
    といっても、舗装されたのはきっと何十年も前なんだろう
    砂利道に比べたら足に負担はないが、結局は細かい砂がサンダルの中に入ったりして
    厄介なことに変わりはない。
    そして墓まで歩いていくと、私は先祖代々の墓に手を合わせた。
    ここは「本当の」墓場だ。都会にある霊園などとは違い、宗教には関係なく
    ここの集落の人たちが死ねば、みんなここに埋葬された。
    墓はもちろんのこと、その周りの草や道を整備するのも、ここに住む人たちの自主的な行動で成り立っている。

    都会とは何もかも違う空気に、私は心底ゆったりとした気持ちになっていた。
    一度行ってみると分かる。あのむせ返るような草の匂いと
    都会とは違ったカラッとした暑さ。空気が熱いと、空気に匂いがあると分かる場所
    ここはそんな場所だった。

    私は子どもの時から何気なくここに連れてこられ、とにかく色んな墓に参ることになっていた。
    幼い私には、それが誰の墓なのかもわからなかった。
    とにかく、この先祖代々の墓の場所だけ覚えていただけだったから
    今ならわかる、祖母の実家の墓などには、一人で行く時には参ろうにも参れなかった。
    なにせ小さな集落だ、苗字なんて数個に限られているのだから仕方が無い。
    私はきびすを返すと、ゆっくりと墓地を後にした。
    そしてまたのんびりと、砂利をけりながら家路へとつく。
    まだ日が落ちるには早い時間で、まっすぐに続くはずの道は陽炎でゆらゆらと歪んでいた。


    「あれ?」


    のんびりと、しかし黙々と歩いていた私は、はるか前方の不思議な光景に思わず足を止めた。
    誰かがこちらへ歩いてくるのが見えるのだ。
    しかし、相手は明らかに以上だった。


    「こんな昼間でも、幽霊って見えるときは見えるんだ。」


    いつもなら恐怖にすくむはずの私は、のんびりとそんなことを呟いていた。
    見れば相手はカーキ色の昔風のズボンをはいており、いかにも戦時中、といったように
    足には私の知るところではないあの包帯のような布を巻いていた。
  • [2] mixiユーザー

    2007年09月20日 14:32

    〜続き〜

    そして彼は、私が歩く砂利道ではなく、その脇の用水路を歩いてきたのだ。
    陽炎と共に、揺らめきながら。
    不思議と恐怖はなかった。
    中々近づかないその下半身だけの存在にもどかしさを感じるくらいに
    なんというか、私はその人に出会いたかったのだ。
    しかし


    「ちひろー!おばちゃんがアイス買ってくるってよー!!」

    「あ、母さん。」


    しまったと思った。
    一瞬視線を左手に見える家のほうで叫ぶ母に移してしまったのだ。
    再び視線を戻したとき、その人は既に消えていた。
    慌てて私がそのことを祖父に報告しに走った。
    なんとなく、なんとなくその懐かしさを感じる人が何者だったのか知りたくて
    頼みの綱はここでずっと暮らしてきた祖父以外にはいない。


    「おずんちゃん聞いて!さっきね、下半身しかない人が、お墓にあるってくの見たの
    カーキ色っての?オレンジっぽい茶色のズボンで、ふるーいズボンで」


    私のつたない説明を熱心に聞きながら、祖父はそうか、と一言言っておもむろに腰を上げた。
    すっかり曲がってしまった背中のまま、私に着いて来い、とまた砂利道を進みだす。
    その先にあるのは、祖父の姉が住んでいた家で、私があの人物を見たよう水路は、まさにその脇を通っている。
    始終無言で歩く祖父の白いTシャツの背を追いながら、私はあの人物が何者なのか
    なぜこんなにも懐かしいのかの核心に迫れることに内心喜んでいた。

    祖父の姉、つまり母の叔母の家には、もうながらく人が住んでいない。
    しかし、時々祖父が風呂を使ったり、テレビを見たりするくらいはするので
    心ばかりの掃除くらいはしてあった。
    といっても、歩き回れば足は真っ黒になるのだけれど。


    「おめさの言ったのは、多分この人でねぇか?」

    「わかんないよ、下半身しかなかったんだよ。ズボンの色と、足からして多分男の人ってことくらい

    。」


    玄関から隣りの座敷に移動した祖父は、曲がった腰を伸ばしながら仏壇横の壁に飾られている

    写真の一つを指差した。
    古ぼけた写真で、巧妙な絵なのか、本当に初期の写真なのか見分けが付かないような
    それぐらい年代を感じさせるそれには、りりしい顔つきで胸部から上を写している男性が写されていた。
    勲章のような飾りに詰襟からして、戦争中に軍人として撮ったんだろう。
    その姿はなんとなく勇敢で、眼差しはまっすぐに何かを見据えているようだった。


    「誰なの?この人」

    「ん?うちのあんちゃん(お兄さん)だぁ。
    戦争の後、北海道の開拓地さいって、そのまま戻らんかった。」


    祖父が言うにこの人は、戦争が終わってからか終わりごろなのかは定かではないが(祖父のなま

    りは強すぎて分からないところもあった)
    妻と連れ立って北海道の開拓地に夢を見て旅立ったそうだ。
    しかし寒さを凌ぐための酒を飲んだところ、酔っ払ってそのまま線路で泥酔。
    当時走っていた電車なんて速度がたかが知れているから、そのままゆっくりと体を切断されたそうだ。


    「あん人はずっと墓のこと気にしてたかんなぁ。気になって見にきたんかなぁ。」


    しみじみと昔を思い出すように語る祖父に、私は返す言葉がなかった。
    手を合わせる代わりに、ゆっくりとその写真に向かって頭を下げる。

    本来ならば会うこともなかった親類、それが彼の正体だった。
    その事実に私は言葉には表せない感慨を覚えて、何度もその写真を見上げては
    自分の浅はかさを反省した。
    怖いもの見たさだけではない、この体質は、出来なかったことを可能にしてくれた。


    むせ返るほどの暑い夏の一本道

    陽炎の中でであった先祖と

    そこはそう、一期一会の道。
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