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開催終了2月のお題【バレンタイ】の投稿

詳細

2007年01月31日 17:48 更新

1月のお題【初夢】にご投稿、ご感想いただきありがとうございます!
【初夢】はみなさんの独創性が強く出たものが多くとてもうれしく思ってます。

さて2月のお題ですが、【バレンタイン】に決定しました。

管理人自体は【バレンタイン】で受け取った経験が少なく悲しい限りなのです・・・^^;

今回も一応の文字数制限は5000文字で行きます。
内容に関してはバレンタインが関わっていれば何でもアリ!

あと、期限ですが2月14日過ぎても問題ないです。3月になるまでが一応の期限ということでお願いします。

みなさんの投稿お待ちしております!

コメント(8)

  • [3] mixiユーザー

    2007年02月10日 22:04

    タイトル【 - bitter - 】

    美沙のあんな様子は初めて見た。
    いつもの”しっかりもの”は見る影もなく、辺りをキョロキョロしていて、どこか怯えているかのようにさえ見える。
    しっかりしろよ。見てるこっちの方が落ち着かなくなってくるだろ。・・・いや、オレが落ち着かないのはこの間からか。


    そう、1週間前、美沙に相談されてからというものどうも落ち着けない。よく見知ったあの二人のことだからだろうか。

    哲はオレの親友でまだ今なんかより全然小さいガキの頃からの仲で、よく二人で美沙をからかって怒らせて遊んでいた。
    そうオレたち三人は遊ぶときはいつも一緒だった。
    そして高校になった今も、そのままエスカレーターみたいに一緒の学校にいて、オレにとっては家族とかよりもある意味近い位置にいる二人になってる。

    そんな二人のうち片方がもう片方に恋心を持っている。そのことを本人の美沙に相談されたとき、オレは応援したい気持ち以上に困惑した。
    恋愛経験が無いオレはどう言ってどう行動するのがいいのか全然わからなかったんだ。自分なりに相談には乗ったけど、正直その一言一言には全然自信がなかった。

    そんな美沙の話を聞いている中で”哲が美沙のことをどう考えてるか?”ということをなんとか聞いて欲しいと頼み込まれ、オレは哲にそれとなく聞いてみることになってしまった。


    「なぁ哲。おまえ美沙のことどう思う?」
    昼休みにオレはそう哲に聞いてみた。この言い方なら哲の気持ちに関係なく聞ける。
    「はぁ?おまえ何言ってんの?」
    口から少し牛乳を吹き出してからこっちを変な目で見る。
    「いや、だから美沙のこと。どう思ってるかって。」
    すると哲は急にニヤニヤと気持ち悪い笑みを浮かべはじめた。
    「何だよ?気持ちわりいぞ。おまえ。」
    っていうかオレは美沙のことをどう考えてるかが知りたいんだよ。笑ってないでなんか言えって。

    するとオレの考えてることがわかったのか、哲は口にした。
    「オレはいいと思うぞ。」
    そう言った顔はまだにやけたままだった。


    オレは家に着くとすぐに美沙にメールを送った。

    ― 今日聞いたら、いいと思うだって。よかったじゃん。相思相愛だぜ(笑) ―

    オレが風呂から出てくると美沙から返信が着てた。

    ― ホントに!?すごくうれしい・・・色々とホントありだとう! ―

    ものすごい喜びようだな。2人がくっつくのはすごいうれしい。お互いが想いあってるなんていいことだ。でも、なんか取り残されたようで少し寂しい様な感じがする。
    自分で書いた”(笑)”が余計に寂しい。


    美沙が待ち始めてからしばらく経つと哲の姿が現れた。遠くで見ててとは言われたけど、さすがにこういうのを見るのは抵抗ある。なんか罰が悪い。

    お互いが向き合って何か話してる。離れていてさすがに声までは聞こえない。まぁ美沙が告白してるんだろう。大丈夫、相思相愛なんだから。

    哲を見ると何か頭の上の方に片手を回してる。照れてるのか?オレもそんな思いしてみたいよ。

    美沙が話し終わると顔を上げプレゼント用にラッピングされたチョコレートを持った両手を差し出した。さぁ後は受け取るだけだ!しっかり決めろよ、哲!

    しかし哲はどうしたものか、なかなか受け取ろうとしない。頭を掻きながら突っ立てる。
    まだ美沙の手は上がったまま。
    何してんだよ、ほら、早く受け取ってやれって。

    しばらくすると哲が動いた。
    哲は差し出された手の方をそっと掴み、首を横に振った。
    そして、その状態のまま何か口にして美沙を通り過ぎていってしまった。


    哲がこちらから見えなくなるのと同時に美沙は地面の上に崩れ落ちた。
    オレは何がなんだか分からなかった。とりあえず美沙の方に走っていった。

    「美沙っ!」
    息を切らしながら名前を叫ぶと、美沙は渡すはずのチョコレートを持ったまま泣いている。
    「なんで・・・だってアイツいいって言ってたのに・・・。」
    美沙は首を横にふるふると振って泣き続ける。どうしたらいいんだ?こんなときになんて言えばいいんだ・・・。
    頭の中をぐるぐると回っては見たもの結局どうすればいいか分からず、美沙のそばにおろおろと立っていることしかできない。

    「そっそうだ。美沙ちょっとここで待ってて。」
    オレはまた走り出した。哲の方へ。アイツは確かに”いいと思う”と言ってたんだ。だから、きっとこれはなにか間違いで・・・。

    そんなことを考えながら、廊下、下駄箱、と走っていくと学校の校門の前に哲はいた。

    「哲!」
    大きな声で哲の名前を叫ぶと哲は目を大きく見開いてこっちを見た。
    「お前・・・どうしたんだよ?」
    「どうしたじゃねえよ!なんで、なんで振ったんだよっ。」
    哲の大きく開かれた目は、細張り表情は強張る。
    「なんでお前知ってんだよ?」
    問い詰めるはずが、何故かこちらがそうされてしまった。妙に息苦しい視線を浴びせてくる。
    「なんでって・・・美沙に相談されてたんだよ。そのこと・・・。」
    正直、言った方がいいのか戸惑ったけど、オレ達3人の中で嘘はつきたくない。
    「そっか・・・相談されてたのか。オレはてっきり・・・。」
    哲は視線を斜め下に逸らして、何か考え込むような表情を浮かべる。
    「お前そんなことより美沙の受け取ってやれよ!この前いいって言ってじゃん!なんでだよ。」
    「あれはそういう意味じゃねえよ。」
    「じゃあどういう・・・」


    「もういいよ・・・。」
    オレが哲に食って掛かろうとしていると、後ろから美沙の声が聞こえた。振り返ると美沙がそこにいた。
    「ありがとう・・・もういいから。」
    いつもみたいにニコッと笑ってはいるけど目は明らかに赤かった。全然もういいなんて風には見えない。

    すると美沙はオレの横まで、哲の前まで歩いてきた。
    「ごめんね。さっきは変なこと言って。」
    美沙はいつもみたいにしゃんと背筋を伸ばして精一杯の笑顔でそう言った。
    「ごめんな・・・。」
    哲は美沙にそう言うと、背を向けてそのまま歩き出していった。
    オレはそれを追いかけようとしたけれど、美沙に制服をつかまれ止められてしまった。
    オレは2人のやりとりが全然わからなかった。なんで2人とも納得してるのかちっとも・・・。

    「そうだ。このチョコ貰ってくれない?いろいろお世話になったし、捨てちゃうのもったいないしさ。」
    美沙はそう言って哲のために作ったチョコレートを差し出した。
    オレが受け取るのはものすごくおかしい気がしたけれど、受け取らないのは悪いような気がして、受け取ることにした。
    「ごめんな、何か力になれなくて・・・。」
    オレがチョコレートを受け取ると美沙はまた笑顔を浮かべてそのまま1人で歩き出していった。


    家につくとバックと制服の上着をベッドに投げつけて、その上にごろんと横になった。帰ってる間さっきのことがぐるぐると頭の中を回っていた。
    疑問ばっかりなのに2人は妙に納得してて、そして何より自分が何も出来なくて情けなかったこと。

    美沙がくれた、哲のためにキレイにラッピングされたチョコレートを手にとってみた。そのチョコレートがこの1週間の美沙とオレとのやりとりを思い出させる。
    きっと一生懸命想いを込めて作ったんだろう。計ったら100グラムにも満たないだろうチョコレートはズシリと重い。

    包装を空けると中には哲の顔をかたどったチョコレートが出てきた。それをしばらく眺め、手にとって口にしてみる。
    味はすごく甘くて濃い。哲はきっと喜んだだろうな。あいつ甘党だから。
    チョコを口に入れる度、舌に味が伝わるたびに胸が苦しくなる。いつのまにか涙が出てきていた。
    オレはそのまま泣きじゃくりながらチョコを食べた。

    初めて女の子からもらったチョコは、苦くて苦くて仕方なかった。


    ― END ―
  • [5] mixiユーザー

    2007年02月11日 04:08

    【バレンタイ】

     お題は「バレンタイ」と書いた。むろん「バレンタイン」の脱字である。
     配布資料の「タイトル」のことだが、誰も差し込まないものだからそのままにしてある。


     誤字脱字というものだって、深く考えてみるとギャグと同じで抗い難いサイレンのようなものだ。
     サイレンと共に笑い出すことだって、人生のうちに一度や二度はある。

     タイトルの決め方はいたって簡素で、いつもは仲のいい姉に相談などして決めている。
     今回もそうだった。姉は所在なげに私のアパートにいて、

    「二月だし、バレンタインとかテーマにしたらどう?」

     と言ったのだった。そのセリフで決まったようなものである。

     「うーん、でも、ありきたりだし」

     そう私が言ったのは、なにも反対しているわけではなく、優柔不断な性格の現れに過ぎないのだと思う。


     ともあれ、私はいとも簡単にそうして、同人に募る作品テーマを決めている。

     姉は胸元まであった髪を耳まで切り落として、まるで中学を卒業した時の、幼馴染の香緒梨の横顔に似ていた。
     でも香緒梨が失恋したのとは正反対で、姉は3年付き合った彼との結婚を半年後に控えている。

     姉はナイフとフォークのようにきっぱりとした人で、刺すか、切るか、そんな短い選択肢をぐいぐいと引っ張っていくタイプの強い女だ。
     そこをいくと私は小説を奪われてしまったら言葉を失ったのと同じくらいな無口で、能力や打算がなく、弱気で陰気である。
     これで姉妹だというのだから信じられないくらいである。

     私の運営する同人には姉も読者の一人に加わってくれていて、たまには鋭いコメントを寄せてくれる。
     姉は大切な同人仲間の一人でもあった。


     そこで私は、初めてのバレンタインの思い出を姉から聞くことにした。はっきり言って作品のネタにするつもりである。

     らしくもなくもったいぶって、嫌にモジモジしたあとで姉は思い切ったように口を開いた。

     「そうね、私の場合、初めてのチョコを渡した相手って実は男じゃなかったのよね」

     なにか面白い話がされる予感が胸にわいた。

     「男じゃなかったってことは、女性だったってこと?」

     「そうなの。へんでしょ」

     姉はそういってクツクツと笑った。

     「いつ頃?」

     「高校2年のときよ。昔近所に木村さんって子いたでしょ。あなたと仲良くしてた」

     私はハッとした。
     姉はかまわず続けた。

     「香緒梨ちゃん。あの子にせがまれてさ……。まあ私もちょっと興味あったしね、バレンタインのチョコ買うのって」

     姉は半ば眩しそうに目を細めた。

     「でも普通に結構あったんだよね。あの頃、女同士でチョコ渡しあうのってさ。だからまさか香緒梨ちゃんが本気だって思わなくって、困っちゃった」

     「付き合ってくださいとかって言われたわけ?」

     「言われちゃったわけよ。もう引っ越しちゃったから言うけど」

     私は手をかざして話を止めた。そんな話は聞きたくはなかった。

     香緒梨は確かにイタリアへ移住してしまい近所にはいないが、私とは文通もしているし、電話でも時折やりとりをする。
     姉の結婚式のことも話題にしていたのだ。

     私たちは沈黙した。初めて殺意を抱いたといってもいい沈黙だった。

     「ちがうの」

     姉は、しかし話をやめなかった。

     「あなたは気づいていなかったでしょうけど、私が髪の毛を伸ばし始めたのって、いつ頃からだったと思う?」

     意外にも姉の瞳が潤んでゆくのを目の当たりにした。

     「あたし香緒梨ちゃんのこと好きだったのよね」

     姉の言葉はしっかりとしていた。

     「でもあの子があんまり一途で可愛かったから、私が折れちゃいけないって思ったの。私はやっとあの子を振り切って、郁夫さんと結婚するのよ。あなたまだあの子と連絡とってるんでしょ? 伝えてくれないかしら、私が髪の毛を伸ばしていたわけを」

     「じゃあ、お姉ちゃんが髪の毛を切ったのは……」

     「あの子と同じ。……卒業したから切ったの」

     卒業式の前日に長い髪の毛を切り落としてきた香緒梨は、体育館に鳴り響く校歌斉唱の合唱の中で、歌っていたというよりもむしろ泣き続けていたのだった。
     誰に振られたのか、あるいは誰を想っていたのか彼女は何も言わないまま中学を卒業し、様々な事情を背に大陸の彼方へ去ったのだった。

     姉が私のアパートから出て行くと私は一層孤独になった。まるで二年も前から誰も私を訪ねてこないような寒い風に襲われた。
     結局私たち姉妹は、なにかを振り切ることに不器用な二人なのだと思われてしかたなかったからである。


     同人のタイトルを私はその夜書いたのである。

     「バレンタイン」とすると、それは私に鈍痛を食らわせた。かといって、私にはもう他にタイトルが思いつかなかった。

     もうこれ以上誰かに意見を聞きたくもなかった。私はもう誰の言葉も窺い知りたくはなかったのである。


     私は「バ」の文字をボールペンでグシャグシャっとやった。つぎに「レ」の文字をつぶした。
     「ン」も「タ」もつぶし、最後に「イ」をカラスのフンのように黒くした。
     そうして「ン」の文字が一つだけのこった。
     私の心境はちょうどそんな感じだったのであった。

     資料の「タイトル」のことだが、「バレンタイ」として印刷機をまわして配布した。
     誰も差し込まないものだからそのままにしてある。
     ノートに残してきた「ン」について指摘する人は、今日までのところ一人もいない。

     香緒梨は遠くヨーロッパへ離れてしまった。

     それを誰かが指摘しようものなら、そんなことはもう遥か昔にさんざん親から聞かされた小言のようなものであって、だから私は笑い飛ばしてしまうに違いなかったし、質問自体の滑稽さを一笑に付してしまいたかったのである。


    <了>
  • [6] mixiユーザー

    2007年02月16日 20:24

    【バレンタインは業者の陰謀だって】

    そう!あたしはバレンタインという日が大っ嫌いだ。
    なぜかって?理由は3つくらいある。

    一つ目は、あたしはなぜか同姓によくもてる・・・ほんとに・・
    で、嫌になるくらいチョコを貰う日だから。

    二つ目は、今まで付き合ってきた男どもの、くれるのが当たり前だといわんばかりの態度が気に入らない。

    三つ目は・・・あたしの誕生日なんだよ!バレンタインは!
    なんで、誕生日に人に物をあげなきゃならないんだ??
    てか、バレンタインだからって誕生日のプレゼントがチョコってどうよ?

    という理由からあたしはバレンタインが嫌いだ。


    高校卒業後すぐに地元の小さな商社に入社し、早4年・・・22歳になった。
    今年は彼氏もいないし、義理チョコを上げる気もないので、2月14日といえども普通の日と変わらない・・・

    「あ、早紀ちゃん。今日はバレンタインだねぇ誰かにチョコあげるの?」
    上司のセクハラ発言に「やるわけないだろじじぃ」と言いたいのを大人なので我慢し、
    「あげるような人いませんから〜」
    とにこやかに言ってやる。
    「あ〜早紀ちゃんは貰う方だったねぇ・・・今年も社内一じゃないの?」

    ・・・そう、なぜかすでに足元のバッグにカラフルにラッピングされたチョコが6個ほど入っていた。
    『山崎サン(ハート)私の気持ちです。食べてください!』
    なんて渡された日には・・・チョコに呪いでもかかってるんじゃないかと疑っちゃうよね・・・


    本日の業務が終わるころにはバッグの中にはチョコでいっぱいに・・・
    すでに数える気も起こらない・・・

    「あ〜もうっ!」
    むしゃくしゃしながら通勤に使用しているスクーターに乗ろうとしてたら声をかけられた・・・

    「あの・・・山崎さん」

    振り向くとそこには隣接する銀行の・・・たしか窓口にいたような・・・
    線の細い優しげな男がいた。

    「なんでしょう?」
    「あのっ・・・今日お誕生日でしたよねっ・・・これっ・・・中に手紙入れたので読んでください〜〜〜」

    そいつはあたしに髪バッグを押し付け、早口にぺらぺら〜って話して去っていった・・・

    お前は・・・女学生か?

    あきれながらも中を見ると手紙とプレゼントらしき包みがある・・・大きさと重さから中身はチョコではないと判断・・・

    ニヤリとしてしまう・・・久しぶりに男からプレゼント・・・
    それも誕生日に!
    これはロマンスの匂い?

    家まで待ちきれずに開けてみる・・・
    可愛らしいバレッタが入っている・・・
    もろあたし好みだ・・・

    手紙も見てみる・・・


    なんか・・・可愛いんですけど・・・
    好みじゃないはずなんだけど、なんかいいわ

    明日声かけてみるかな?

    とりあえず、帰ってゆっくりお風呂に入って考えよう。
    スクーターを飛ばしてうきうきと帰った。
                <終わり>

    ||||||||||||||(* ̄ロ ̄)ガーン||||||||||||||||
    久しぶりに書いてみたらだめだめな感じに・・・
    ごめんなさいです〜
  • [8] mixiユーザー

    2007年02月19日 21:22

    「バカップル誕生」

     数?の授業が終わると、男子がいっせいに学級委員に群がっていくのが見えた。
     何だって御義理にあんなに必死になるんだかとは思うものの、男子には男子なりにバレンタインには思うところもあるのかもしれない。
     今の私ほどじゃないとは思うけど。
     私のクラスでは義理チョコは誰かが集めて学級委員に渡すことになっている。
     別に特別なルールじゃない、ただ、みんながみんな男子全員の義理チョコなんて用意してたらきりがないから御義理は一括で済ませちゃおうってだけの話。女子一同より、ってわけだ。
     男子は男子で、それが誰の義理チョコか当てるので盛り上がってるみたいだし、結構画期的なシステムだと思う。楽だし。何より、本命を作ってきた子達だって余っちゃったのを簡単に処分できるし、渡す勇気もないのにチョコレートを準備する言い訳にだってなる。
     そこまで考えてから、鞄の中に入ってるチョコレートのことを考えて少し憂鬱になった。義理で渡す分には良いけど、正直に言って余り美味しくできたとは思えないから。……作ったら踏ん切りがつくかと思ったけど、これはこれで新しい悩みができたりするものみたいだ。
     ため息混じりに、昼休みだっていうのに行儀よく席に座ってる孝太に目を向けると孝太は親友の圭介からとってきてもらった義理チョコを受け取っているところだった。
     誰の義理チョコかはどうでもいいみたい。もらう方も御義理って男子もいるわけ。
     相原孝太は、クラスでとりわけ目立つわけでもない、普通の生徒だ。背なんかも高いわけではないし、成績は中の上くらい。高校生になったっていうのに、まだまだ子供の面影を残したまんまの頼りない男の子って感じ。反対に佐川圭介はずっと大人っぽいし、話も上手で、高校生って言う限られた時間をフルに楽しんでいるっていうタイプ。一年生の時に髪を茶色に染めてきた時にはちょっとした話題にもなったっけ。それがまた似合ってるものだから、先生はぶーぶー言ってたけどクラスではおおむね好評に受け止められてた。要は、要領のいい得なやつ。
     その二人がどうしてあんなに仲が良いのかわからないけれど、アンバランスで目立つ二人だったから、私も自然と彼らを目で追っていた。
     で、めでたくその片方を好きになってしまったってわけだ。理由を聞かれても困る。でもあの二人、なんか良いなあって思う。
     そんな風に思っていたから、気がついたら私も彼らと友達になっていた。厄介なことに、普通の友達に。
     遠くから見ていただけのころのほうが、勢いで渡せてしまえそうなのに。
     どこにでもある甘酸っぱい後悔なんだけど、当人とってはこれはとても甘酸っぱいなんていっていられない問題なんだ。
     いっそ、たまたまでも孝太が私が作った義理チョコを受け取っててくれないかななんて弱気なことも考える。そうしたら、間接的には目的を果たしたことになるかもしれないし。このまま何も渡せないよりはずっと報われる。
     でも、そんな私の期待なんてお構いなしに、孝太と圭介の二人は示し合わせたようにチロルチョコなんて口に放り込んだ。
    「余りモノだからって義理チョコで手作りを貰っちゃうのも、なんか重いよな」
     なんて圭介が孝太に言っているのが聞こえる。
     あの馬鹿。余計なこと言って。と私は内心かなり圭介を恨んだのだけれど。
    「だよね、なんか悪い気がする」と孝太が応じてるのを見て、あー、義理で受け取ってもらうのは最初から無理だったのかと少し気落ちした。
     気がつくと二人を見ている自分に気がついて、私は軽く苦笑した。なんだって、こんならしくない悩みを抱えちゃったんだか。
    「あのさ、圭介」
     孝太が何か言いづらそうに圭介に話しかけるのが見える。
     なんだよ? と不可解そうに圭介が眉をしかめた。
     声をかけたまま、孝太は端から見て思わず手を差し伸べたくなるくらいもじもじとしていた。手なんかぎゅっと握っちゃって。言いづらいことなら、後で私が言ってあげようか、なんてできもしない親切まで考えてしまう。
     変な空気が、二人を包んでいくのが見えた気がした。
     思わず視線を周囲に向けると、気づかない振りをしているけれど、クラスメイトが興味心身に聞き耳を立てているのがわかる。自分のことはとても広くて高い手の届かない棚に放り投げて、趣味が悪い、と心の中で罵倒する。ほっといてあげれば良いのに、あんなにてんぱってるんだから。
     孝太もそんな空気に気づいたのか、意を決したように口を開いた。
    「これ、受け取ってほしいんだけど」
     握られていたのは、きれいにラッピングされたかわいい小箱、ご丁寧にメッセージカードも添えられて。
     圭介が冷や汗みたいなのをたらして固まっている。
     って、え?

    「え゛え゛ええええぇぇぇぇぇぇぇ!!!」

     クラス中に悲鳴とも嬌声ともつかない叫び声が鳴り響き、私はというと、驚きの余り椅子からずり落ちて、クラスメイトに指摘されるまで床にへたり込んで呆然としていた。
     こんなのって、あり?

     
     放心の限界を超えたメガ放心(圭介談)をしていた私に圭介が教えてくれた所によると、あのチョコレートは孝太の姉からのものなんだそうだ。
     こんなのってあり? っていう私の疑問は、とりあえずゴミ箱にポイってわけだ。
     ほんと、あの瞬間は史上最悪の失恋を経験したものかと焦ったけれど。
    「亜紀、すごい顔してた。シャメにとるんだったなあ」
     なんて笑う圭介を軽くにらむ。
    「あのシスコン、余計な演出をして渡すから俺が誤解を解いて回らなくちゃいけなくなったじゃねーか」
     言葉の割りにうれしそうに見えるのは、きっと圭介は本当にうれしかったからだと思う。孝太からチョコレートを貰ったことじゃなくて、孝太のお姉さんからチョコをもらえたことが。って、ちゃんと補足。でないとさっきから思考がなかなか噛み合ってくれない。
    「多分、孝太君にとっちゃ複雑なんだよ。友人と姉貴のことだし」
     にやにやを打ち消して、「そうかもな」と真剣な顔で圭介がうなずいた。
    「ところで、亜紀はチョコレート用意したのかよ?」
     ところで、なんていいながら圭介がいきなり聞きづらいことを聞いてくる。
    「な、何で私がチョコレートを用意するのよ」
     あのなあ……と半分あきれ、半分気の毒そうに圭介は言う。
    「さっきのリアクション。あれ見たらまるわかりだぞ、お前の気持ちなんて」
     とっさに周りを見渡すと、……クラスメイトたちが俯いて肩を震わせている。
    「気づいてないの、当人くらいじゃねーの。マジで」
     ……こんなのって、あり? 一度はゴミ箱に捨てた問題が、リサイクルされて私の手元に戻ってきた。
    「でさ、もし持ってきてるなら、俺が渡してやるよ」
    「え?」
     凹んでたせいか、圭介が何を言っているのかよくわからなかった。
    「だから、俺が代わりに渡してやるよって、どうせ今からじゃもう渡しづらいだろ?」
    「チョコを?」
    「何を聞いてたんだよ……」
    「持ってきてない」
     ろくなことになりそうになかったので嘘をつくと「うそつけ」と圭介は笑った。
    「義理チョコの中に亜紀の手作りチョコもあったろ。義理で手作り作るやつが本命持ってきてないわけないだろ」
    「ちょ、なんで私のチョコがどれかわかるのよ!」
     言ってしまってから、口をふさいだけど……後の祭り。
     クラスメイトがこらえきれずに噴出したのがわかった。
    「亜紀さんって、……天然だったのね」
     なんて余計な独り言まで聞こえた。
     とがめようとして振り返ると「……それにタフだわ」と、ありがたくないほめ言葉まで呟いていた。


     結局、チョコレートは圭介に持っていかれた。
     これだけめちゃくちゃになってしまうと、圭介の言うとおりに私はもうチョコレートを渡すことなんてできないだろうし、なにより……これだけ恥をかいたんだから、せめてチョコレートくらいは渡したい。この際、どんな結末になったとしても。
     良くも悪くも、というか私としては悪くも悪くも自棄になった。
     開き直ってしまえば、気になるのは圭介がどうやって孝太にチョコレートを渡すのかだった。
     うーん、と想像力をフル動員して、シチュエーションをこねくりだす。
     場所は……人気のないところならどこでもいいけど、屋上かな。
     圭介のことだからきっと、何てことなさそうに渡すんだろうけど。
     私の名前はきっと出すよなあ。亜紀から、とかいいながら渡すんだろう。 
     孝太はなんていうかな。
     喜んでくれたらいいけど……
     思わず複雑な顔をして「もらえないよ」と言っている孝太の顔を想像してしまう。
     うわ、きつ……
     この想像はやめよう。と固く決意する。
     教室をぐるりと一回り眺めてから、もう人も少なくなってきたので帰ることにした。
     渡したかどうか、聞くために待っているのもなんだか今更だし、またいやなことを想像してしまいそうだ。
     明日からがんばってね、と声をかけてくるクラスメイトを軽く手を上げて廊下に出た。
     とんだ一日だったなあ、と他人事のように振り返る。
     明日からは、もっと目立たないようにしよう。何事もなかったように、済ました顔で居よう。どんな結果であれ、もう今までどおりでいるわけにはきっと行かないのだし。……もしかしたら、と私が考えていると廊下をクラスメイトが走ってきて、私の顔を見るなり告げた。。
    「亜紀さん亜紀さん! 聞いた!? 圭介君が孝太君にチョコレート渡したって!!」
     ……
     …………
     ………………あの、馬鹿!
    「どこで!?」
     クラスメイトの言葉を待たずに、私は走り出していた。


     圭介と孝太が並んで校門を出て行くのが見えた。
     その背中に追いつけるように必死で走る。
     孝太の手には、受け取ったばかりの私が作ったチョコレートが見えた。
     孝太に届くように、大声で叫んだ。頭の中が真っ白になっていた。なりふりなんて構っていられなかった。
    「孝太君、それは私から!!」
     孝太と圭介が足を止めたのがわかった。
     ニヤニヤと圭介が笑っている。困ったように孝太が首に手を当てた。
     私が追いつくのを待って、周囲を気にしながら孝太が私に言った。
    「知ってるよ。……ありがとう」
     はにかんでそう言う孝太は耳まで赤くなっていて、「とりあえず、移動しない?」と私と圭介の言葉も待たずに歩き出した。
    「バカップル誕生」
     圭介が笑いながら孝太の後を追う。
     私は戸惑いながら、それでも、二人の後をゆっくりと追っていった。
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