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2008年10月21日06:59

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「朝鮮伝道者 織田楢次」

 図書館本「朝鮮伝道者 織田楢次」を読了。戦前の朝鮮への日本人3大伝道者の一人(他の2人は、先駆者で今も水原地方で尊敬されている乗松牧師=スンソンモクサと、植民地政策に協力したので現地で評判の悪い渡瀬牧師。なお、朝鮮半島へのキリスト教伝道は、日本人は脇役で、欧米人による伝道が主だったことは言うまでもない)である織田の、在朝鮮時代の伝記を小説化したもの。小説としての出来は大したことがないけど、この時代の朝鮮に興味があったので読んでみた。なお、教団出版局から牧師ご本人の自伝(「チゲックン」)が出ているげな。

 身一つ(所持金は50銭)、言葉もほとんど知らず(知っていたのは「神様」という単語だけ)で安い貨客船で朝鮮に渡り伝道した、主人公の熱意と無鉄砲さと楽観性が素晴らしい。

 戦前の朝鮮で「罪を悔い改めよ」だけならまだしも、「敵を愛せ」だの「7の70倍まで許せ」などと伝道するなんて、スゴイなーと思って読んでいたら。どうも周囲の日本人牧師もそう思ったらしく、織田に対してそう忠告するものがいた。当時の日本人教会は、朝鮮人には伝道せず、日本人にだけ伝道していたそうな。さもありなん。

 でも、そこを挫けず朝鮮語を覚え、現地にとけ込み、半島北部のトラの巣穴に籠もり瞑想したり炭坑で働いて資金を稼いだりしながら徒歩や手作りの馬車で伝道し歩く前半部分がオモシロイ。嫌われ朝鮮人社会から追放されてもめげずに歩き、いつしか受け入れられる。

 神戸の聖書学舎で伝道法だけ研修して渡り、ソウルの東洋宣教会聖書学院(ホーリネス教会系)で牧師の資格を取ったげな。で、ソウルでホーリネス教会を開いていたけど、平壌での説教で「神道は偶像崇拝」「神社参拝よくない」と言ったことが命取り?になり、「独立運動を煽動した」と逮捕・拷問され、お情け釈放(日本人だから)後、事実上朝鮮半島から追放される。小説はここまで。

 まぁ波瀾万丈で、オモシロイ人。"生きて"いるなぁ、と羨ましくなった。まぁとってもタイヘンだったんでしょうけど。でもま「ここまでの強い信仰が、どこでどーやって生まれたのか?」と言った辺りがちっとも分からない・説得力がないのは、まぁ2流小説の限界か。

 あと、朝鮮総督・斎藤実が長老派のクリスチャンだった、という指摘はオモシロイ。キリスト教精神で?彼のあの植民地政策をやったとは... キリスト教は、毒にも薬にもなるのね。

 また、ホーリネス教会系の韓国人牧師が、日本に伝道に来て日本で教会を開くことが最近もチラホラあるけど、これはこの伝統なのかも?と思った。

 関係ないけど、当時のホーリネスの中田監督は、周囲の反対を押し切り、「イスラエルの回復こそが基督の再臨に繋がる」というユダヤ教的?な教義に急速になっていったそうな。そういや、知人のサナエモンさんは、そういう教義のプロテスタントに通っていたっけ。ホーリネス系なんでしょか?
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