元祖インド料理

きょうのランチは創業以来55年、日本最古のインド料理屋さんである東銀座の「ナイルレストラン」へ。
実は私はかつてこの近くに勤務していたころ、足繁くこのレストランに通ったものでした。多い時には週に四回も行ったこともありました。平均週に一回と計算しても１０年で500回です。通い続けた年数はもっと長いので、多分700回以上は行ったと思います。私がエスニック料理にはまったのは、このナイルレストランがきっかけだったのです。
きょう一年ぶりに訪れたというのに、昔から顔馴染みのラジャさんは「やあ、タナカサンいらっしゃい」「メニュー見なくていいよね」と言います。彼は私が昔からこの店のキーマカレーが好物だということを覚えていてくれているのです。
実はこの店、行ったことのある人はご存知だと思いますが、ムルギランチという超ベストセラー料理があり、一元客の９割はなかば強制的(?)にこれを食べさせられます。これは、サフランライスに柔らかいチキンと野菜のカレーが乗っかっているこの店の名物料理で、「全面的にかき混ぜて」食べるよう命令されます。そして残したら「皿洗いヨ」という罰則まである(??)のです。
そのムルギランチは確かによく煮込んだクセになる味で、この店に来たらこれしか食べたことがないという常連客も多いんです。
私も初期のころはそうでした。
でも、ある日勇気を持って「メニューを見せて」と言ってみたのです。ムルギランチ以外のメニューを注文できるようになるには、常連と認められなければなりません。
それから、私は毎回のように違うメニューを食べ続け、ついに全メニューを食べ尽くしたのです。中には「とても人間の食べる物じゃないよ」と言われたブラックマサラという黒胡椒のスープもあり、辛くて死にそうになったこともありましたが、他のすべてのメニューにはまり込んでしまい、毎日のように通いつめたのでした。
時には「新しい料理を作ってみたから試食してみて」と言われてメニューにない試作品を食べたこともありました。
その当時、私が一番絶賛していたのがキーマカレーだったのです。

その後、勤務地が東銀座から変わったため、足が遠のいてしまいましたが、それでも、今でも覚えていてくれるのは嬉しいことです。

写真手前はキーマカレー、奥が名物のムルギランチです。