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2008年05月21日17:16

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《ネタ》パロデー名作劇場(1)〜らえぎつね〜

インスピレーション元
「きつねのよめいり」(2008年05月17日)
http://mixi.jp/view_diary.pl?id=809154802&owner_id=1128415

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雲の上でふんわりぽんわり暮らしている一匹のキツネがいました。

その子の名前は、らえぎつね。

今日も、お日様の下で日向ぼっこをし、近くから雲のわたあめをちぎってははむはむと頂いたり。
「うみぃ。甘くておいしいですのー☆」

そしてころんと寝っ転がって、地上の世界をのんびり見ていました。

綺麗に咲き乱れる花畑も、そよ風に揺れる草原も、かもめが飛ぶ青い海も、みんなみんなお気に入りの風景なのです。
そう。
雲に乗って暮らしているので、あちこちの世界を見ることが出来るのでした。
ぽかぽかなお日様に暖められて、いつしか…
「くぅ〜…」
のんびりお昼寝。


そんなある日のこと。
地上から、なにやらいい香りが。
「くんくん…」
みみをぴくん!
「!」
しっぽぱたぱた!
「あままですのー!」

雲から身を出して下を見てみると、小さな村が見えます。

煙突から煙を出してる赤い屋根の小さなお店。
どうやら、お菓子屋さんのようです。

ひゅーーーーーーん!
落下傘代わりの傘を開いて、一気に降りてきたらえぎつね。
すとっ☆と着地。

匂いの元にたどり着いたようです。
「うわあ。おかしがいっぱいですの〜☆」
店先から店内を覗くらえぎつね。

クッキーにケーキ、プリンにゼリーにアイスクリーム、色々なお菓子が所狭しと並んでいます。

雲の上で暮らしているらえぎつねは、わたあめしか食べたことがないので、色とりどりのお菓子を見て、目を輝かせています。

カララン。
カウベルの柔らかい音が鳴り、扉が開きました。
じゃあ、お願いしますね、と妙齢のご婦人が出て行きます。
夕方までにケーキを用意しておきますと、店の女主人であるかっぷくのいいおばはんが、元気にあいずち。

そんな様子を気にもせず、らえぎつねは目を輝かせながら店内をキョロキョロ見回します。
今まで見たこともないお菓子が一杯です。
と、あたまを突っつかれる感触にふりむくと、
「わぴっ!」
そこには、にっこにこの笑みでらえぎつねを見下ろしている女主人の姿が。
「まあまあ可愛いきつねのお客様ね」
「あの、あの…」
「なにかしら?」
「甘いの、お菓子、いーっぱい欲しいですの!」
女主人は苦笑しながら、
「あらあら。食いしん坊さんね。でもお金はあるのかしら?」
「おかね?」
らえぎつね汗ジト。
慌てて葉っぱの束をわさわさ出しながら、
「おかねおかね、きつねのおかねですの!」
女主人はそれでもやさしい笑みで、
「ごめんなさいね、お金がないと買えないのよ。でも…、ちょっと待ってね」
店の奥で何かごそごそした女主人、らえぎつねの手に、
「はい、こんぺいとう。おまけであげてるやつをちょっとあげるね」
「こんぺいとう?」
らえぎつねの手には、数個の金平糖が。綺麗な色です。
「きれいですのー」
「そう。ア・バオア・クーじゃないのよー」
(注。形は似てるけどね(苦笑))

らえぎつねは女主人をじっと見上げて、
「あの、あの、おかね持ってきたら売ってもらえますのー?」
にっこり笑う女主人。


そして。
らえぎつねはあちこちでぱたぱた、色々な人のお手伝いをしました。
牧場で番犬の代わりをしたり、稲荷神社で油揚げの警備をしたり、料理教室で「きつねいろ」の見本になったり、うどんやできつねうどんを運んだりと、まさに九尾の大活躍。

「はい、少ないけど、お手伝い賃ね」
「ありがとうですの!」
手配師のおじさんから「らえぎつねちゃん お手伝い賃」と書かれた茶封筒を頂き、胸に抱いて大喜び。
「これであままが一杯買えるですの!」

てとてとと、にこにこしなら歩くらえきつねの頭の中は、お菓子で一杯です。
「?」
ミミがぴくん。
何か聞こえます。
見ると、道の先で、泣いている女の子がいます。
したたたと走って近づくらえぎつね。
オロオロしながら、
「だいじょうぶ?だいじょうぶ?泣かないで?泣かないで」

地面にへたり込んで泣き崩れている女の子のたもとには、落として崩れたケーキが。
女の子は泣きながら、
「ママにお使いを頼まれたの。ケーキを取りにいってって。いつもちゃんと出来てたの。でも、でも…」
らえぎつねは、肉球な手で、むきゅっ☆と女の子の頭を撫で、
「だいじょうぶ。なんとかなるなる!」

しばらくして。
村のお菓子屋に現れた、女の子とらえぎつね。
女主人は元気よく、
「あらあらまーまー。いらっしゃい。お菓子を買いにきたのかしら?あら、さっきの。お母さんから頼まれたケーキ、ちゃんと届けられたのかな?」
ぴくっと身を震わす女の子。
らえぎつねは女の子のてをぎゅっと握り締め、
「あの、あの、ケーキを、落として、それで、それで…」
「まーまー、それは大変だわ」
「あの、あの、さっきのと同じケーキを作ってくださいの!」
「それは構わないけど、でも…」
「お金ならあるですの!」
もさもさと懐(埋もれてた?)から取り出した「お手伝い賃の封筒」を差し出し、
「こ、これは…」
女主人は封筒をしげしげしく見て、中身を見ている。
「たりる、ですの?」
らえぎつねも不安げ。
「…いいわ、すぐ作ってあげる。待ってなさいね」
ぱっと表情が明るくなる女の子とらえぎつね。

その夜。
無事に女の子の家にお使いのケーキを届けたらえぎつねは、お菓子屋にいました。
出された紅茶を、両手でカップを持って飲んでます。
「うにゃあ、美味しいですのー」
「ホントはね」
女主人は苦笑し、らえぎつねの目の前にあるモンブランを指差しながら、
「あなたが差し出してくれたお金だと、これが1個買えるくらいしかなかったのよ」
所詮はきつねの子ですし、お手伝いですから当然ですわな。
「でも、でも、ならどうして…」
「ウチのお菓子欲しさに、働いてまでお金を作ってくれたなんて嬉しいし、それを、殆ど見ず知らずの子の為に必死になって使ってくれって言うんだもの」
女主人はにっこり笑い、
「こんな心優しいきつねの子なら、ちょっと位おまけしてあげるさね」


それからしばらくして。
らえぎつねは、雲の上に帰りました。
お土産で、背中に背負うほど一杯の金平糖をもらいました。

そして今日も、お土産にもらった金平糖をひとつ、食べます。
その時に、女主人のやさしい言葉が、女の子の喜ぶ顔が、お手伝いした人たちの感謝の想いが、見上げた青空に流れる時、嬉しさと一緒に涙が溢れるのです。

その涙が、地上に雨となって降り注ぐ。


雲のわたあめをはむはむし、金平糖を大事に食べながら、

「いつかまた、皆さんのいる所に行ってみたいですの」

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次回、パロデー名作劇場(2)へ



てか、仕事そっちのけで何書いてるんだか(爆笑)
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