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2008年05月13日01:01

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SSRIの恐怖ーー世界ではすでに問題化されている

池田小事件の犯人、米国の銃乱射事件の犯人、共にパキシルの常用者だったことは知っている人は知っている事実である。

 Charles MedawarらのMedicines out of control?(邦訳『暴走するクスリ? 抗うつ剤と善意の陰謀』)という薬害を告発する有名な本がある。
 抗鬱剤(プロザック・セロキサット・パキシルなど)を主とする「気分をコントロールする薬剤」の広告・規制・処方と使用に関する研究報告。人々が企業と医療専門家の持つ影響力に不健全に依存していることを描き出している。
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1章 暴走するクスリ?
2章 鎮静剤地獄
3章 精神安定剤
4章 うつ病にうち勝つ薬剤
5章 秘密主義から常識の回復へ
6章 製薬企業の特性
7章 病気への誘導
8章 依存症に陥った医薬品規制
9章 科学的に試験され、承認を受けるということ
10章 医原病
11章 これまでに分かったこと


 また、さらに有名な本としては、David HealyのLet Them Eat PROZAC(邦訳『抗うつ薬の功罪 SSRI論争と訴訟』)がある。
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 SSRIがうつ病患者の自殺衝動を強めるという副作用のリスクは1990年に最初に研究論文で報告されたが、2004年以降に米・英・EUの薬事監督庁が製品への警告表示の指導等、対応をとりはじめるまで、産官学にまたがる関連業界から、リスクの存在自体が実質的に否定されつづけた。
 この本では、ビッグ・サイエンス化する医薬品の開発および許認可プロセスの現状と、そこに複雑にからむ産官学の利害構造など、副作用の過小評価につながる数々の誘因のディテールがきわめて具体的に語られている。

 SSRIの功罪の多角的分析・訴訟の詳細等のミクロな情報と、生物学的医療の時代の死角を照射するマクロな視点との、二つの次元で核心を語る貴重な証言である。実際、原書の刊行後に、SSRIの副作用や臨床試験データの扱いに関して、主流の見解は著者の主張する方向へ大きくシフトした。


 また、以上を総合するような視点を提供する書籍をついでに紹介しておく。
拙過去日記でもたびたび紹介しているが、世界的医学雑誌New England Journal of Medicineの元編集長でPh.D・M.Dも持つMarcia AngellによるThe Truth About The Drug Companies(邦訳『ビッグ・ファーマ 製薬会社の真実』)である。
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 俗に「ピカ新」と言われるような画期的新薬は、実は米国でも登場しなくなってきており、僅かな構造改変に過ぎない新薬を開発・認可してきている状況や、従って「開発に長期間を要し、多額の開発費がかかる」という紋切型が実はもはや大嘘で、「学会丸抱え招待」を初めとする医師などへの様々なキックバックを含んだ広告宣伝費に巨額の投資がなされており、それが経営を圧迫している実態を数値でも証明しており、米・医薬品企業の実態が暴き出されている。
 多くの有名医薬品の開発実態が暴かれているので、医師・薬剤師・看護師はとりわけ興味深く読めるはずである。
 なお、Amazonに引用されている、京大医学部・福島教授の紹介文もぜひお読みいただきたい。

「性善説」の甘ちゃん医療関係者にはもちろん、一般の市民にこそ、ご一読をお勧めする。医療にも「公共事業」があるのだという感覚を市民にも医療関係者にもしっかり持っていただきたい。

 身を捧げて医療現場で頑張る良心的な医師やナースやコメディカルがいる一方で、患者さんを食い物にして平気な連中がいる。
「専門家支配」により素人にとってブラックボックス化している領域で、そういう構造を知らない市民(それには医療従事者も含まれる)が多いほど、それにつけ込む連中が出てくるのは厚労省も例外ではなく(AIDSやC型肝炎やポリオワクチン騒動を見よ)、残念ながら国交省の役人どもの世界だけではないのだ。

 例えば、世界的にはエビデンスの全く無い抗生物質の術前術後ダラダラ投与(世界標準では術中1回)で年間いくらのムダな医療費が使用されているか。そんな、耐性菌を増やすだけの日本独自のムダを無くせば、後期高齢者に負担など迫る必要はないのである。国際基準を無視したメタボ検診も然りである。

 そうしたムダをまったく放置してメスを入れぬまま現状の医療費に対して、今後高騰する一方だと詐術を使い、次には消費税増税も視野に入れた負担増を市民に強いようとしている厚生族は、ムダな道路建設を見直さず道路特定財源を恒久化したがる道路族と全く同じ精神構造なのである。それは、国民の福祉=健康を食い物にして平気という、同様の利権構造を有している。

 あと、日本の医療問題を考える時には、必ず「海外ではどうなっているのか」を調べて確認する事が、日本の医療を相対化する為には必要である。これらの海外書籍の翻訳を読む事を、そのとっかかりにしていただければ幸いである。

 日本での「問題」が海外では問題にすらなっていない、あるいは大昔に解決しているのならば、翻って、では、なぜ日本ではまだ大騒ぎしているのかと考えると、日本独自の「構造」が唾棄したくなるほど見えてくる場合が多い。

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抗うつ剤SSRI 実態把握を要望
http://news.mixi.jp/view_news.pl?id=485344&media_id=2
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