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2007年12月18日20:17

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書くまいと思ってたけど、もう我慢できない!

 異形コレクション「ひとにぎりの異形」(光文社文庫)読書中。

 本来、レビュー、感想と言うものは、読み終わった後に書くべきであって途中でするものではない、と思うのです。
 なにを当たり前の事を。と言うかもしれませんが、mixiのレビューコーナーに結構あるよね、そう言うの。

 でも今回は我慢できません。途中ですけど、書きます。読み終わったら改めてレビューも書きます。それ位今回は楽しい!
 
 さて、読んだ事ない人には一応。
 異形コレクションは主にホラーを扱った「短編・書き下ろし」の文庫本です。とは言っても「異形」を扱うのなら、それはホラーの必要はないのです。SFだって、料理だって、漫画だって「異形」ならばそれは「有り」です。なので、アニメのミスター味っ子は典型的な「異形」と呼べるでしょう。
 ・・・スマン。言い過ぎた。
 毎回編者の井上雅彦がお題を決め、作家陣が腕によりをかけた短編を寄稿して創り上げられて行きます。
 その際の決まり事として、「作家の知名度は関係なく、扱いは横一線。当然原稿料も皆さん均一」と言うルールがあります。駄作ならどんな有名作家でも平気で没にされるそうで・・・。
 そして集まった、同じテーマを元とした20数編の創作物が、500ページ超の単行本となって発表される訳です。
 この12月で11年目に突入するギネス級のシリーズです。
 
 そして今回、11年目の船出として最初に発売されたのが本書。テーマはショートショート! 掲載作家数81名!(加えて7名の絵描きが参加)呆れるくらいの文章量です。
 果たして作家陣の原稿料は幾らだったんでしょうか? 気になります。

 現在「闇の種族あれこれ」まで読了。まだ半分。もう嬉しくてたまらん!
 元々短編、掌編、ショートショートが好きで、「短編集」だからとこのシリーズを手に取った人間です。読んでも読んでも終わらない、この果てしなさはまさに至福。

 読んでいて感じたのは「ショートショートって、それ自体が『異形』やん」と言う事。面白い話であるほど、そのラストが「異形」。モチーフに突飛なものや怪物なんて要らない。話の構造自体が「異形」なんです。
 ここまでで特に良かったのは、福澤徹三「ごみ屋敷」。まさに先程言った事を体現しています。ありきたりの日常がひっくり返る、あの2行を読んだ時、僕はこの本の「モト」は取りました。

 他にも色々。駆け足に。
・白河久明「どこからか来た男」(これをトップに持って来たのは確信犯では?)
・田中啓文「あるいはマンボウでいっぱいの海」(田中啓文節全開。バ〜カ! お前なんて、お前なんて・・・大好きだ!)
・太田忠司「ATM」(堅い。僕はこういうのを読みてぇんです)
・渡辺浩弐「これは小説ではない」(星新一先生へのオマージュたっぷりのウェットな話。感涙必至か?)
・北原尚彦「ワトスン博士の内幕」(へぇ、星先生「シャーロック・ホームズの内幕」って書いてるんだ。今度読もう)
・安土萌「ハロウィーンパーティの夜」(なにこれ? すげぇ楽しい。ビジュアルが秀逸)
・中尾寛「よいどれの子」(痺れる余韻を残す。秀作)

 これからまだまだ楽しい時間が続くのですが、残念な事が一つだけ。
 従来のシリーズは作者紹介が扉絵の裏にあるのです。それは編者・井上雅彦自ら綴っているのですが、今回はそれが、ない。
 いや、あったらテンポが悪くなるのは目に見えているのですが。それでも伯爵の名調子がお聞きできないのが残念でなりません。巻末に少しだけありますが。

 こういうのをお腹一杯読んじゃうと、長編いらねぇじゃんと思ってしまうのが困り物。ハハ・・・。

 これを読んだ誰かが本書を手に取ってくれる事を願って、本の世界に戻ります。では。
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