【事件】 平和に暮らそうよ

先日、お仕事中に事件がありました。

僕は清掃の仕事をしています。営業時間外のお店に入って、床を洗い、ワックスを塗って帰るのが主な仕事です。

その日はカラオケ屋さんの清掃に入っておりました。仕事もほぼ終わり、片づけをしていたところ、一人の男性がトコトコと店に入り、何も言わずに上に上っていきました。(その店は2階建て)
片づけ中だったのでドアは開けてあったのです。
その店ではたまに時間外に店員さんがやってくることもあったので、その人も店員さんかと思っていました。

片付けも終わり、店員さんに挨拶して帰ろうと、上に上り、声をかけました。が、なんだかおかしい。どことなく知的障害の人の感じがする・・。おかしいなあと思いながら下に下りると、たまたま本当のお店の人がやって来ました。
「上に店員さんらしき人がいるのですが、本当に店員さんですか？」と聞いて、特徴を話すと、覚えがないと言います。

慌てて上ってみると、その人は部屋に入り、機械をいじっています。店員さんが話を聞いてみるのですが、何を言っているのか要領を得ない。店員さんがだんだん興奮して、詰問すると、その人はやおら逃げようとし始めました。
押さえる店員さん。それでも逃げようとする男性。

そのとき、われわれ清掃スタッフは3人いました。店員さんを入れて4人で押さえようとしたのですが、またこの人の力の強いこと。4人がかりでも引きずられてしまうほどです。

店員さんは興奮して、「家宅侵入だ。警察を呼んでください」と言いはじめました。本人は相手を押さえるのに必死でそれどころではありません。仕方なく僕が警察に電話しました。やれやれです。

「あーすみません、男の人が暴れているのですが。はい、特に武器などは持っていないようです。」

やがて、おまわりさんが全部で5人やってきました。5人がかりで押さえるのですが、まだ大暴れしています。おまわりさんもたじたじです。結局、拘束袋？みたいな物に入れられて、手錠まで掛けられて、パトカーに乗せられて、男性は連れ去られました。

われわれは約１時間遅れで帰途につきました。


結局、男性はたぶん知的障害のある人だったのでした。歌を歌いたくて、一度来た事のあるカラオケ店にやってきた。ドアが開いていたので入り、店員がいないことには気づかず、歌おうとして機械をいじっていたのでした。

ただそれだけのことなのです。店員さんが、あんなに興奮せずに座って話を聞いていれば、彼も逃げ出すようなことはしなかったでしょう。連絡先も素直に教えてくれたでしょう。家族に連絡すれば菓子折り持って引き取りに来てくれたでしょう。

我々も何もできなかったけれど、何もあんなにおおごとにしなくてもよかったのになあと、後味の悪い思いをしたのでした。