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2007年04月24日06:07

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「ローマ人の物語 XV」

 図書館本「ローマ人の物語 XV」を読了。発熱でモーローとしているからあまり良く覚えていない(フン族が途中で消えちゃった... アッティラの死後、あの民族は何処に行ったの?彼らが居なければゲルマン民族の大移動もなかったはずなのに...)んだけど。すっごーく気が沈む巻だった。

 衰退期に入って、何をどう手を打とうと崩壊が止められないローマ。今までの巻では、自分が主要登場人物になりかわって「自分ならあぁするこうする」って空想しながら読むのも楽しみだったんだけど。この巻に至っては、もうどこをどうしようもない。国の根底から腐りきっている。皇帝も、貴族も、軍部も教会も...

 ホント、この本の著者(塩野七生)がキリスト教を嫌っていて元首制ローマ時代の多神教的寛容さを愛していることがよく分かる(某新聞のインタビューでは、ハッキリキリスト教が嫌いだと言っていたし)。キリスト教徒が"大帝"と呼ぶユスティニアヌスなんか無責任で悪質な無能力者扱い。コンスタンティヌス"大帝"も、保身のため(部下に暗殺されないようにするため)キリスト教を国教化したご都合主義な輩のように描かれていたし(キリスト教だと、王権=この場合は皇帝の地位、は神が授けたと解釈するので、皇帝が暗殺される危険性が減る)。

  # この本、今英訳されつつあるけど、こんなんでキリスト
  #教圏に売れるのかしら?

 ローマ衰退の原因は、この著者によれば
  ・ 無用な帝位争いを防ぐため、血縁優先とする。そのため
   時に無能な皇帝が就任してしまう
  → 軍の遠征時、無能な皇帝が指揮を執っていたのでは全滅
   の危機があるので、堪りかねた軍の上層部が無能な皇帝を
   暗殺し、自分達の一人を代表として皇帝に立てる
  → 権威がイチ軍人並しかなく、かつ非軍事的統治能力にも
   著しく欠ける皇帝が失政を重ねる
  → 失政に堪りかね、あるいは身近な人間が皇帝面している
   ことに対する嫉妬から、部下が皇帝を暗殺
  → この繰り返しで皇帝が頻繁に交替。政治的にも軍事的に
   も空白が出来、皇帝の失政も重なり国力衰退
  → 皇帝が暗殺されるのを防ぐため、キリスト教を国教化。
   また職業も代々で固定化。
  → 皇帝の頻繁な交替は防げたが、無能で現実認識能力に欠
   ける皇帝が長期執政することに。階級・職業も固定化の影
   響で有能な人材を生かせなくもなった。軍事は主にゲルマ
   ン民族の傭兵に任せる傾向も
  → キリスト教各セクト間の対立で、国内の統一が損なわれ
   た。むしろ同じセクトに属するゲルマン民族との間の方に
   よりシンパシーを感じるようになったり
  → そんなこんなで、ローマ軍のノウハウを吸収したゲルマ
   ン民族が力を付ける。彼らを軍事的に圧迫していたフン族
   もどこかに消えてしまい、ゲルマン民族を止められるもの
   はどこにも居なくなった
  → 最後のトドメとして、ビザンティン皇帝・ユスティニア
   ヌスが、観念論からイタリア半島に介入し長期戦争を巻き
   起こしたせいで、半島の住民の多くは死に絶え再起不能に
というカンジかしら。

 坂道を転げ落ちるかのようだわ... しっかし、このバルバリ(野蛮人)ことゲルマン民族が、今の欧米の金髪青眼の白人の祖なんだよねぇ〜なんか複雑。

 あと、関係ないけど、図書館ではこの本のようなベストセラー本は人気がない。なぜ?と不思議に思っていたけど、どうもベストセラー本は皆さん自分で買って読むみたいね。自分で買うほどじゃないけど、ちょっと読んでみたい、というクラスが図書館では人気があるみたい。
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