mixiユーザー(id:2940502)

2026年03月24日07:06

60 view

水曜クビ×4日記1437:決断するとき


1980年代、アイルランド。
とある町で暮らすビル・ファーロングは、小さな燃料販売店を営んでいる。朝から夜まで石炭や練炭などを顧客の元に搬送する毎日だ。家には5人の娘と妻がおり、ささやかながら幸せな人生を送っていた。
そんなビルのお得意先に「マグダレン修道院」があった。〈贖罪と更生〉を掲げ、問題を起こした若い女性たちを収容しシスターたちが教育を施す施設だ。クリスマスシーズンのある朝、修道院の燃料倉庫に石炭を搬入しようとしたビルは、倉庫の隅でうずくまる少女を見つけて……


「決断するとき」


以下、神は憐れみ深くネタバレ深い。


引き算引き算引き算引き算
フォト


カトリックの黒歴史はいくつかあるが、マグダレン収容施設は有名な部類。本作は、この施設の闇を見て見ぬフリをすべきかどうかで悩む男の話です。

故意に、だと思うけど、非常に抽象的な作劇でしたね。施設がどのような虐待を行っていたかをビジュアルで見せることは一切ありません。あくまでビルの目線と少女が語る内容だけ。予備知識ゼロで臨むと「ここってそんなに悪いとこ?」と思ってしまいそう。単なる非行少女の更生施設…に見えるんですよ。しかしビルが請求書を口実に侵入してしまったときに聴こえる赤子の泣き声。それも、女性たちの居る部屋と別の場所から聴こえる泣き声…これでピンとくるわけです。強制的な母子分断、もっと悪く言えば養子縁組という名の人身売買ですよね。石炭部屋に少女がいたのは紛れもない懲罰。ビルが見つけてしまったことでかくれんぼ騒ぎだと誤魔化していくシスターの不気味さたるや、ですよ。
フォト


ビルの決断の軌跡というのもまた抽象的でした。過去…おそらく裕福なウィルソン家の使用人として住み込みだったビルと母親。母亡き後もその邸宅で生活できたビルは、マグダレン修道院に入れられずに済んだ、母と別れずに済んだことがどれだけ幸運だったかを思い知るんですな。ウィルソン家が売りに出されネッドとも会えないとわかり…つまり故郷が消えると知ったことが彼の背中を押し、極め付けで少女の名前…サラが引き金になりました。ビルの心情変化をセリフではなく表情で表すキリアン・マーフィーの演技、素晴らしかったですね。悔恨・罪悪感を手についた炭に喩えるかのような手洗いシークエンスも良かったです。考えてみると、「決断するとき」とは良い邦題。ほんとに主人公が決断するまでを描いただけですからね。彼の行動がどのような騒ぎを起こし彼と家族がどんな目に遭うのか、何一つ説明はありません。この映画、物語の背景も結末も、全て観客が持って帰って考える「宿題」にしているようです。アイルランドのガラパゴス的映画だけど、人権と正義について考えることは俺みたいなアホな日本人にもできます。ぜひ。
3 0

コメント

mixiユーザー

ログインしてコメントを確認・投稿する

<2026年03月>
日 月 火 水 木 金 土
1234567
891011121314
15161718192021
22232425262728
293031