播州脇坂藩の城外、桔梗ヶ原の馬場に物々しい竹柵が設置されている。ここはお上が許可した〈仇討ち〉の場所。既に見物人が集まり賑わっている。討ち手は奥野家の三男・辰之助というまだ少年のような武士。討たれる側は馬廻番の江崎新八である。
そもそも奥野家と江崎家の因縁は、くだらない口論から始まった。上級武士・奥野孫太夫が槍の磨き具合について新八にケチをつけたことから、新八が奥野家の槍を侮辱し言い争いに発展した。後日、手紙で桔梗ヶ原に呼び出された新八は、槍を手に襲いかかってきた孫太夫を斬ってしまった。この事件は、新八の兄・重兵衛と孫太夫の伯父・丹羽伝兵衛が目付に頭を下げ、両者乱心による斬り合いだったとして手打ちし、新八を山寺に追放する形で決着した。しかし孫太夫の弟・主馬が決着に納得せず新八を襲撃してしまい……
「仇討」
自分ちより禄の多い家の男兄弟2人と喧嘩になり、特に手練れでもないのに運だけで勝ってしまった江崎新八。その運命を描いた傑作時代劇。武士社会の前時代的制度に翻弄された気の毒な男の話ですな。逃げるか討たれるかの2択しかない究極の選択を迫られ、果たしてヨロキンはどう出るか⁈という部分で目が離せない展開です。新八を匿う寺の和尚がナイスキャラで、次男・主馬を演じた丹波さんもカッコいい。辰之助はまだ二十歳くらいの石立鉄男でした。
クライマックス、怒りを炸裂させるヨロキンの気迫に絶句。良かった。
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