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車は杵築市に入った。
ここは大田地区。さらには沓掛(くつかけ)という、ゆかしい地名となる。
そして、清水寺までの道はわかりにくく、険しい。
ほんとに公道なのか? 私道ではないのか? というレベルの急勾配を登る。
最後に来たのはいつだったか。よく覚えていたものだ。
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清水寺は、一種、異色だ。
寺の建物といえば、「伽藍」だと思いたいが、
ここではトタン屋根の印象が強い。
──だから、建物はどうでもいい。
清水寺の名にふさわしく、ここの庭に霊水が湧いて、池を満たしている。
それが、この寺の存在価値だ。
霊水がある寺を、国東にあと二つ知っている。
文殊仙寺と両子寺。
しかし、それらは「湧く」というより「滲みだす」ものであり、希少価値が付加されてしまっている。
──ここ、清水寺は、
地域住民が何本ものペットボトルに入れて持ち帰るほどである。
堂々とタダで。
ほら、「清水」を苗字とする鏡子さんも水筒に詰めている。
「水は最強なのよ。なんだかんだ言っても、水がなければ生きていけないのよ。
・・・・・・仏なんて、いなくても生きていけるでしょ」
──鏡子さんにバチが当たるのはいつだろう。
それはともかく、穏やかな時間が水とともに流れていく。
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