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2025年01月22日21:49

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春日部〜30〜合鍵

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Gacktの本【素晴らしきかな人生】
彼女が俺のアパートに置いていたもの…この辺りの本…ラルクのファンクラブ報とか…と少しの着替えぐらいか。
Amazonでほぼ新品ってのが売ってたので買ってみた。
未開封だった。
20年以上前の本なのにすごいな。要は残っちゃったって事なのか…

中身は若者の恋愛相談とかだったかな。今更読んでもアレなので開封せずに積んである。














『荷物取りに行く。ドアの外に置いといてくれてもいいけど』




彼女からのメールに、目から上が凍りついた様な…気がした。











本気かよ…








自分から別れ話ふっておいて焦る俺…





ダサすぎる…







こんな筈ではなかったのに





なんでこうなる…










『人生の失敗』







重い覚悟を乗せたメールが突き刺さる。










…なんでだよ。






なんで…そうなる?






折りたたみの携帯電話(J-PHONE)を逆向きにへし折りたくなる程の苛立ちと動揺を抑えて折り畳む。







…ガス台にカセットコンロ置いただけの殺風景な台所に1人で立ち尽くす。





アホみたいに立ち尽くす。















…。













しばらくして…外階段を揺らす気配。






シノブが…きた。







いつもよりもゆっくりと…彼女の足音が近づく。








止まって、ノックが響く。








合鍵があるのだから、勝手に入ればいいのに。








「おかえり」

俺が扉を開けて、彼女が入ってきた。




「ただいま」








…荷物を渡して終わりにするわけにいかず…








「入って」





居室に通す。














…。











「なんで…」





コタツテーブル…夏だから布団はない…。座ってもらい、問いかける。




彼女は俯いたまま黙っている。頬を覆う前髪で表情は見えない…







…いつもなら二人で美味しいものを食べるテーブルなんだけど









今は重苦しい空気だけが漂う。








「何で?」





どう話を切り出していいかも分からずに。





それでも聞かないわけにはいかない。






彼女は…俯いたまま…





だ。






「…」






やがて






  


「決めたから」




強い口調でようやく重い口を開いた彼女は、いつもよりか細く見えた。







「決めたって…絶対にうまくいかないって自分で言ってたじゃん」








「だけど…止められない…ごめんなさい」







「間違ってるよ…ずっと一緒って言ってたじゃん」






「分かってるけど…」






「だったら…」










…。















顔を上げた彼女はまっすぐに



俺を





見た…










「人生で出会う男の人の中でトネちゃんが私を一番大切にしてくれると思う…だけど」













だけど…?










…なんて言われたっけ…









…他の人も見てみたいとか…外の世界を見てみたいとか…そんな感じの事を言われた…気が…する…。








なんて言われたんだったか…意識が飛びそうだった…。






そんなん言われて…






…別れたいとか言われる意味が分からない…。









「そこまで思っているのに…俺と別れるの…?







その後…どうするの?










お前は何を言っているの…?」









何を言っても、駄目みたいだった…






彼女はけして、俺のそばに居続けるとは言わなかった…。








考え直すとは言わなかった…。









「後悔…しない?」






呟くように俺は問いかけた…







彼女を心配したのか…いや、自分の為に…










少しの沈黙…






彼女は…









「後悔しちゃいけないの?」




悲しそうな顔をして…





それでもまっすぐに…俺を見た。





大きな瞳が潤んでいる。








決意は固いらしい。













…話は、同じ所を回り続けた。







何を言っても、駄目だった。










…。










どうしようか…

















ああ…そうだ。











押し倒してみたらどうだろうか?








前回みたいに…唇を重ねて…体を重ねれば…思い出すんじゃないか?
















…二人が愛し合っている事を。












そうだ。










そうだろ?






意を決した俺は彼女の肩に手を掛けた。






「シノ…!」







いけ…!







…唇を奪え…!







もう一度…彼女は考え直す…。







…心を取り返せる。












そうだろ…?





















「…!」













乾いた音がした。








ばんっつって、かつーんって…














彼女が右手をテーブルに叩きつけたのだと俺が理解するのに1秒足らず…







二人は止まった。










テーブルの板と、彼女の手が当たる金属音に牽制されて…











…俺は動きを止めた。














…。










…金属音?















テーブルの板を手で叩いて…
















なんで金属みたいな音がするの?
















俯いた彼女が右手をどけた。







テーブルには…









銀色に輝く…合鍵と












指輪が残った。







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