・
すこいな、鏡子さんの足。
長崎市民の私に軽く追随してくる。
石ゴロゴロの登り坂を制覇する鏡子さん。
そして、不意に開ける視界。
日本を代表する磨崖仏──胎蔵寺・熊野磨崖仏。
いや、熊野権現社の磨崖仏というべきか。寺より神社のほうが断然、近い。
「バストショット」
写真用語まで知ってるのか、鏡子さんは。
そう、この磨崖仏は全身像ではない。
胸から上だけ。まるで証明写真の構図だ。
「全身を彫るのが面倒だったのか、挫折したのかは知らないけど、そのかわりに顔は丁寧ね。イケメン」
微妙なコメントありがとうございます。
★★
けっこう知られていることだが、仏像はなかなか見分けられない。
どんな印を結んでいるか、
何を持ってるか、
左右に誰を従えてるか、
何に乗ってるか、
どんな台座か、
などなど、状況証拠の積み重ねで特定しているのだ。
熊野の場合、剣(物的証拠)を持っている以上、不動明王ということにイチャモンはつけられないが、
顔が、変だ。怒ってないんだな、これが。
こんな大作なのに、もったいない。
B級ホラーになってしまう。
(罰当たるぞ)
大日如来のほうは──手も足もない。証拠品もない。
捏造のしようもない。(なんの話だ?)
薬師如来では? という説も古くからある。
どうせ大作を彫るなら、大日如来にするんじゃないの? という見解である。
まあ、とにかく、拝みます。
おん、ばざら、だどばん。
───
───
ログインしてコメントを確認・投稿する