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2024年11月13日10:35

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内藤総研11月12日

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━2024.11.12━
 イスラエル首相 ポケベル作戦への関与を認める
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 レバノンで、ことし9月17日以降、レバノンのシーア派組織、ヒズボラ(ヒズ
ブッラー)の戦闘員らが持っていたポケベルなど通信機器が次々と爆発し、ヒズ
ボラの幹部・戦闘員および一般市民に多くの死傷者が発生し、9月27日には、ベ
イルート近郊のヒズボラ本部への空爆により、ヒズボラの最高指導者ハサン・ナ
スララ(ナスルッラー)書記長が死亡した件について、イスラエルのネタニヤフ
首相は、10日の閣議で、「ポケベルの作戦とナスララの殺害は、国防当局幹部ら
の反対にもかかわらず実行された」と発言し、関与を認めました。

 というわけで、ヒズボラ関連の切手ということで、2008年3月10日、ヒズボラ
の軍事作戦顧問として数々のテロ事件を立案・指揮していたイマード・ムグニー
ヤがモサドによって殺害されたことを受けて、ヒズボラの支援者であるイランが
発行したムグニーヤの追悼切手をご紹介します。切手では、ムグニーヤの背後に
は、黄色のヒズボラの旗も見えます。
(画像はこちらから
【https://naitosoken.cd-pf.net/thread/6732b6c87e8fac19ba0005d5】)

 ヒズボラは、1982年に結成された急進的シーア派組織で、イラン型のイスラム
共和国をレバノンに建国し、非イスラム的影響をその地域から除くことを目標に
掲げ、イランとシリアから組織的な支援を受けてきました。

 その初期の指導者、ムハンマド・ファドルッラーは「数の上では常に多数派を
占めている弱者が信仰に立脚して不退転の決意をもって強者に抵抗する」ことを
主張。“神の道のために努力する”というジハードの理念を武装闘争の理論と一
体化させ、“殉教作戦”という名で特攻攻撃(いわゆる自爆テロ)を正当化。彼
の理論に基づき、1983年10月23日、ヒズボラはベイルートの米海兵隊本部に爆弾
を満載したトラックを突入させ、イスラム武装勢力として最初の自爆テロを行い
ました。

 9月27日に殺害されたナスララは、1992年、前任者が空爆で殺害されたことに
伴い、ヒズボラの第3代書記長に就任。ナスララ統率下のヒズボラは、軍事攻撃
を継続しつつも、議会政党として“レジスタンスへの忠誠”を結成し、1992年の
選挙で8議席を獲得したのを皮切りに選挙での議席獲得実績を重ね、2005年7月に
は連立内閣にも参加します。さらに、2022年には15議席(128議席中)を獲得し
て暫定政権の与党の一角を担うようになりました。

 また、独自の放送メディアを持ち、社会開発計画を実施することで数十万人規
模のデモを組織する能力を有するまでに成長。現在、ヒズボラの指導部はイスラ
エルの攻撃によりほぼ全員が殺害され、組織としての指揮命令系統は破壊されて
いますが、ヒズボラの戦闘員は現在なお万単位で残っており、組織そのものが消
滅したわけではありません。

 ヒズボラは、イランの強い影響下にあり、イランにとっては一種の“別動隊”
のような存在でもありました。今回ご紹介の切手もそうした事情をうかがわせる
ものとなっています。

 ヒズボラの活動は基本的にイランの意思・方針に忠実で、イランの方針に反し
た行動をとることはほぼありません。近年では、イスラエルとの全面戦争は避け
たいとのイランの意を汲んで、ヒズボラによるイスラエルへのテロ攻撃は“イス
ラエルが本気で怒らない程度”に限定されており、2023年10月、ハマスによるイ
スラエルへの大規模攻撃が開始された際も、(言論上の表現こそ過激だが)行動
そのものは比較的抑制的なものでした。

 2024年6月、ナスララが「レバノンに戦争が押し付けられた」場合には「(イ
スラエルの)柱を揺るがす」と演説すると、6月23日、イスラエル首相のネタニ
ヤフは、ガザ地区での戦闘について、「(南西部の)ラファでの戦闘の激しい局
面は終わりに近づいている」と述べる一方、「激しい局面が終わった後、北部に
部隊を再配置する選択肢もある。防衛目的もあるが、住民を帰還させるためでも
ある」と発言。その趣旨は、南部で国境を接するガザ地区の紛争は一段落したの
で、北部国境のレバノン方面に注力するということですが、北部の情勢が緊迫す
れば、実質的に戦闘が終了した(とイスラエルは判断している)南部での兵力を
北部に振り分ける、すなわち、レバノン情勢に対処するためガザでは休戦に応じ
る可能性もあるという内容でもありました。

 一方、ナスララはガザでの停戦が成立するまではイスラエルへの攻撃を継続す
ると述べていましたが、これは、停戦が成立すればイスラエルへの攻撃も停止す
るということでもあります。

 こうしたやり取りを経て、2024年7月27日、イスラエル北部やゴラン高原など
複数の地域で、レバノン方向からロケット弾が相次いで飛来し、死傷者が出たの
を機に、イスラエルはヒズボラに対する攻撃を本格化させ、9月17日以降のポケ
ベル作戦、さらには同27日のナスララ殺害を経て、同30日、2006年以来、18年ぶ
りにレバノン領内への地上進攻を開始しました。

 前回、2006年の紛争の際には、国連の停戦決議により、ヒズボラはレバノン南
部、リタニ川の北側に撤退し、川の南側にはレバノン国軍が駐留してヒズボラの
軍事展開を終わらせることが盛り込まれていましたが、これは現在に至るまで実
現されていません。したがって、今回のイスラエル軍の進攻も停戦決議を履行さ
せ、国境地帯からヒズボラを排除して“緩衝地帯”を作るための行動とするなら
、一応の名目は立つことになります。

 ただし、このことは、今後、ハマスが人質を解放し、ヒズボラがリタニ川以北
に完全撤退すると、イスラエル側は戦闘を継続する大義名分を失い、停戦に応じ
ざるを得なくなることと表裏一体の関係にあります。客観的に見れば、イスラエ
ルにとっては、ハマスとヒズボラの戦闘力が壊滅状態になっている現状からも、
2025年1月20日、米国での新政権発足が作戦を終了させるための好機になると思
うのですが…。

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