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2024年05月25日23:17

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散策雑感・「キリンが来た道〜麒麟児 長次郎の歩み〜」

5/31までやっている日本獣医生命科学大学付属博物館の企画展
https://www.nvlu.ac.jp/universityinstitution/news/20231023-01.html/
それを記念したキリン講話会が4/13に行われました。
https://www.nvlu.ac.jp/universityinstitution/news/20231023-02.html/

博物館設立以前から大学にあり来歴不明だったキリン標本が、上野動物園に初期に飼育されていたものとわかり、その経緯を特別展で公開しています。

武蔵境駅南口を出て、線路に沿って東に進むと見える古風な建物が博物館で、後背の敷地建物が大学です。
博物館は無料ですが、三日前までに予約が必要です。
元々は麻布区役所だった建物を移設しており、階段五段分くらいの高さの基礎の上に木造建築があります。
L字型の建物で角の外側から入館、左右の突き当たりに上り階段があり(通用口もあり)、メインの展示場は左手2階です。

1階は通路左右に部屋があり、左手中程に定期交換展示室。主にパネル展示です。この建物が登録有形文化財になった事と整備状況、そしてコウノトリの剥製とコウノトリの巣を模したサークルが床に描かれていました。

2階に上がると通路は内側になります。右手側階段を上がると今回の主役、キリンの全身骨格とクジラの全身骨格があります。以前一緒にあった剥製は修復のため別途保管中です。メインの会場は左手側。中央近くは日本獣医生命科学大学の140年歴史。ここは撮影禁止です。

その隣がメインとなる展示室で里山の動物。里山の変遷のパネルと里山の動物剥製が展示されています。で、ここに今回の企画展のコーナーが設けられています。なお他の部屋は立ち入り禁止。
国内におけるキリンの来歴、キリンという生き物を骨格から見るなどパネルが、また上野動物園のキリン舎の配置図、当時の絵はがきなどが展示されていました。

講話会は中庭の向こうA棟1階です。300人ほどが入る演者の左右にスクリーンがある横長の大きな会場でした。同窓会も兼ねているのかな?(休憩時間などに互いに挨拶をしている年配者が多かった) 満員御礼です。

まずは博物館館長による挨拶。
最初はキリンの来た道と日獣大博物館 石井奈穂美。今回の発見を主導した方ですね。
学内では有名な標本なんだが、長らく来歴が不明だった。日獣大そのものが6回も変遷しているし、初期のモノだと今みたいにデータベースも整っていないため。
何で来歴が分かったかというと古い子ども向けの雑誌にそれらしい記事が載っていたことを学生が発見。そこで一般向け雑誌や新聞記事を精査したところ、昭和初期に上野動物園に来た二代目キリンの息子と認定されました。

その後、郡司芽久のキリンの進化。
まずキリンは1種9亜種なのか4種なのか。
キリンがキリンになったのは700万年前なのね(ヒトとチンパンジーが別れた頃)。キリン科は1700万年〜1400万年前に成立。
オカピはキリンの祖先に近いと思っていたら最初期で分かれているのね。キリン科は初期に首が長くなる系統と長くならない・太い系統に分かれ、多くの絶滅種がそれぞれの間に居るらしい。現生の二種のツノは大きくないが、過去には結構大きい種(シバテリウム)もいる。

質問コーナーでは毎度おなじみなぜ首が長くなったのかの質問が。
マルクス的な高いところの餌を食べたいからは否定され、教科書的には首が長いのが餌を取れるので生き延びたと言うのを紹介し、近年出てきている性淘汰説・オスが首をぶつけ合ってアピールする内にも紹介。そして首が長いんじゃ無く足が長いから説。足が長くなる方が先行、水を飲むのに困るので首が伸びた(首が短いモノが淘汰された)と言う説です。キリンが水を飲むシーンを見ていると前足を広げて飲むんですね。首が長くなるならもっと延ばせば良いのにor足が短く方が楽じゃない、と言うことで。
あと野生化のキリンがよく食べるのは肩の位置辺りで高いところのを好んで食べているわけでは無い。

個人的にはこれが有力なんです。何でかというとキリンとオカピの走り方を見ていると他の植物食動物と比べてぎこちないんですよね。700万年前というと草原化が進んだ時期です。森から追い出されたキリンは草原に適応した肉食獣、ライオンやチーターにとって群れない、足が遅いでは格好の餌食になる。走方を変えないで早くするにはスパーンを広げるしか無い。足が長いのが生き延びた。そして首が長ければ水を飲みやすいし、発見も早いのでなお有利。

休憩を挟んで、川田伸一郎の明治時代のキリン標本。今回の企画展に合わせて剥製の修復や骨格の点検についての知見。鉄骨の骨組みに木製の型をつくりそれに皮をかぶせているなど手が込んでいるそうです。

国内動物園のキリン個体管理は清水勲。亜種認識すら無かったので、九州のマサイキリン以外血統上はっきりせず、雑種かと思われるのが結構居る。鑑定には金が掛かるし、成獣の移動は困難と言うことでそのままの状態。

最後に野生キリンのくらし 齋藤美保。たしかダーウィンが来た!でやっていたキリンの保育園の話。キリンは基本単独生活で子どもが生まれた時にだけちょっとした群れを作り、子どもを預け餌を食べに行くという生活をする。数年による観察で、そのメンバーは不定である事が分かる。子育てシーズン内でもメンバーの出入りがあるとの事。

最後は学長による閉会の挨拶。標本のこれからについて。現在角が逆向きに付けられているのを直すのかどうか、保存場所はどうするのかなどのアンケートを募集。

大変興味深い講話会でした。次回は何時有るのか分からないし、何を扱うのかも分からないですけど、チェックを入れておきたいですね。

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