「矛と盾」

　まいど喧しい「生成AI」の話ですが、それが大いに役立つと舞い上がり、世界中で「IT技術者」がリストラにあっていると言う事です。ちょっと待ってください。今年は「辰年」で龍の歳です。昔の人は「竜巻」を見て、その勢いのすごさに「あのなかに龍がいるに違いない」として何人かの絵師が想像の動物の絵をかきました。そうして干支の中に入れてしまいました。「生成AI」というのは、まだ「竜巻」を皆さんがご覧になっていらっしゃる段階で、それが実際に使われてみなければ「竜」がどんなものかわからない段階なのです。恰も「コロナワクチンと同じようなモノ」ではないかと思います。コロナワクチンは「接種を受けた人」も死んでいるし、「接収を受けなかった人」も元気な方もあります。しいて言えば、「未接種で人に迷惑にならないように接種義務を果たした」方も多かったのではないでしょうか。

　「生成AI」について、法規制を言い出す方もあると新聞に書かれていますが、その前にいろんな立場の方々がしっかりと議論していただくことが重要ではないか。そうしないと「EV自動車」の二の前になる可能性が高いのではないかと思います。ご存知のように「EVに補助金を出し、EV以外を規制し、カーボンニュートラルを推進してきた欧州は、今大きく政策転換し、ベンツもガソリン車に戻る決定をしました。同じようなことは、これから安易に「生成AIが言っているのだから」という形で突っ走ってしまうことが多くなると思います。

　その一つは、例えば10年後の状態を考えれば「データベース」の中には半分以上が「10年間の生成AIのよる実績データ」が蓄積され、恰もカラオケのマイクをスピーカーに近付けたときのように、データの「ハウリング」が起きてしまい、「常識」しか吐き出してくれないモノになりはしないかと言う事です。だって、仕事の殆どが「生成AI」で行われる時代になれば、従来のような「仕事を面倒がらずにイチイチ新しく改善しながら積み重ねていく結果出てくるデータ」の割合が減っていくことになります。

　極端な話「m-RNAワクチン」も開発期間を短縮して開発され、十分な検証も行われなかった結果、多くの後遺症に悩まされる方々を作ってしまいましたが、これが「データベース」に残れば、これが「標準」の一角に入ってくることになると思います。反対に先日申し上げましたように、「現代医学」が「結果に対する処置」に重点が置かれ、「原因に対して関連付けられるデータベース」が生まれてこなければ、永遠に「患者は患者で在り続けることになる」のではないかと思います。

　「生成AI」の普及の前に、世界中の人々の間でコンセンサスを取って、「不純な目的なものはデータベースから強制排除する」という前提が必要ではないかとも思います。例えば「有害食品添加物」の食事が食卓にも、レストランにも沢山出てきます。見た目で排除できませんから、まかり通っています。成分Aとか成分Bは単独では危険性は薄くても、A＋Bになれば毒になる場合もあります。ではこのような複雑な関係をデータに入れた場合、果たして「生成AI」は正しく機能するでしょうか。「フグを食べたら死ぬ」と分かっていても食べたい人がいる。ウラジミル・プーチンさんですね。「生成AI」が正しい答えを導き出したとしても、それ撃ち破って何かしたくなるのが人間です。

　アメリカがパソコンを作ったからBASICより優れたTORONを開発したが、排除されてWINDIOWSになった。半導体の生産技術を発展させて、「品質」「性能」「歩留まり」を向上させて米国製を上回ったら叩かれて失われた30年になった。オンボロの電機会社ウエスチングハウスを買わされた「東芝」が経営危機に陥って、今バラバラにされて虎の子の半導体を売却させられて「キオクシア」になった。こんなことがあってなるか！これをやっつけるような「本当の生成AI」は成らば欲しい。