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2024年01月24日23:29

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『ミツバチと私』感想

〜自分の性自認に迷う子どもの葛藤と、寄り添う家族の姿をつづったスペイン発のヒューマンドラマ〜
〜夏のバカンスでフランスからスペインにやって来た家族。8歳のアイトールは自分の性自認が分からず、違和感と居心地の悪さを抱えて心を閉ざしている。母はそんなアイトールを愛しながらも、向き合い方に悩んでいた。ある日、叔母が営む養蜂場でミツバチの生態を知ったアイトールは、ハチや自然とのふれあいを通して心をほどき、ありのままで生きていきたいという思いを強めていく〜<映画.comさんより>

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白状しま〜す。1回目、しばし寝てしまいました。
目を覚まして「ヤバっ。やっぱり淡々としてたからな」と思った次の瞬間、めちゃめちゃ良いシーンが!
これはしっかり観るべき作品なんだと感じ、翌日、同じ劇場でリベンジ観賞あせあせ

危険・警告かなり内容に触れていますので、未見の方はご注意下さい。

今作、めちゃめちゃ良い部分と、ちょっと説明が足りないよ〜っていうのが、交互にやってきたというか。

始まってすぐ、家族はスペイン語で話しているから、スペインが舞台よねって普通に思ってたら、バカンスで列車に乗った際の車掌さんとの会話がフランス語。ん?ん?
で、大きな橋を渡る時「ここから南バスクなのね」みたいな台詞があって、私の頭は混乱。
あとで知ったのが、バスク地方の中には「フランス領バスク」があるっていうこと・・・。単に私の知識不足でした。

主人公の実際の名前がずっと出てこなくて、しばしココ(バスク地方で“坊や”を意味する)と呼ばれ・・・。
結局、アイトールっていう名前の男の子だとわかるんですが、アイトールはずっと元気がない。
自分の名前は嫌だし、髪は切りたくないし、着ている服もしっくりこない。
「どうして自分はこうなの?」
まさに、心と体が一致してない様子。

バカンス先で、皆でプールに行くんだけど、アイトールは会員証発行のための名前と性別を書きたがらない。
母親のアネが代わりに書いて、やっと中に入れても、水には入らずガウンを着たまま。

叔母が営む養蜂場でミツバチの生態を教えてもらうアイトール。
養蜂用の防護服を身に着けるのだが、その姿は、蜂だけではなく、あらゆるモノから身を守るかの如くに見えた。
叔母はミツバチを使って、針治療(のようなもの)をやって人々の身体を治しています。
叔母「ミツバチは人間にとって良いことばかりなの」

別の日、叔母がアイトールに話してくれたこと。
「養蜂家の家族が亡くなると、ミツバチの箱を叩いて、それを知らせるのよ」

同じ頃、アイトールはニコ(いとこ?)と仲良くなります。
ココ(アイトール)は、女の子になりたい男の子。繊細で悩みがち。
対してニコは、虫を平気で手づかみできる男の子のような性格の女の子。

アネの亡き父親は著名な彫刻家でした。
アネも彫刻家ですが、父親ほどの素晴らしい作品を作ることはまだ出来ていない模様。
アネはアイトールが悩んでいることは、薄々感じていたものの、アイトールの意思を尊重して「そのままでいい」と育てていました。
世間体はあるけれど、深くは考えず、どこか見て見ぬふりをしていました。
ゆえに、夫や親族と対立することも。
夫「そんな(女の子みたいな)服を着せるんじゃない。家の中だけならまだしも外はダメだ」
実の母親「(アイトールを)甘やかしている。線引きをしなきゃダメでしょ」
自分の作品作りに集中したくて、亡き父の工房を借りているのに、なかなか上手くいきません。

ある夜アイトールは、オネショをしてしまいます。
助けを求めた兄エネコは「またか!」と呆れるものの、助けてくれます。

アイトールはしっくりとくる自分の名前を探していました。
するとある時、教会で、自分の信仰を貫いた聖ルチアのことを知り、自分もそのように生きたいと思うようになります。
「私はルチア」

※予告編
https://youtu.be/Iw17a1cX_Ug

後半は、印象的なシーンがドンドン出てきました。

バカンス先に着いてすぐ「洗礼に絶対に必要な聖ヨハネの彫像が無くなった」という話が出てて・・・。

叔母がアイトールを連れてボートで川を探すんだけど、見つからなくて。

後半になって、ニコとココ(アイトール)が川で泳ごうと水着になるシーン。
ココ「(ニコに)その水着、かわいいね」
ニコ「取り替えようか?お尻がきつかったの」
取り替えている途中、ニコはココが男の子だとわかり・・・。
ニコ「クラスで、女性器がある男の子がいるの」
ココ「そうなの?」
泳ぎ疲れたあと、2人は横になるんだけど、その横には、何気に聖ヨハネの彫像(見つけたのよね)も並んでいるという!
上手く説明できないけど、このシーン、やたら眩しくて、感動した。

母親が美術の教職員の求人に応募するために、父のかつての作品を使ってしまい・・・のくだりが言いたかったことが微妙。
焦りを表したかったのかな?結局、受かったものの→辞退したのは、罪悪感からか?
アイトールのこと、そして自分のこと、すべて正直にっていうことだったかな?

終盤、アイトールは可愛いドレスを着ています。
でも、結局は、父親にとやかく言われ、脱ぐ羽目に。
親族の集合写真にも入らず、アイトールは行方不明に。
皆で「アイトール!」と声をあげて探し始めるのですが、エネコは「それじゃダメだ。ルチアぁあああ〜」と叫び始めます。
アネも続けて「ルチアぁあああ」
でも、他の人たちは「アイトール!」のまま・・・。

ルチアは、ミツバチの箱のところに来て、箱を木の枝で叩いていました。
おそらくそれは・・・「アイトール」とはもうお別れという意味だったと思われます。
そしてバカンスが終わります。

いやあぁああ〜、様々な心理描写が私好みでした!
ただ、如何せん、あれこれ説明不足。スペインでは誰でもわかることでも、外国人じゃ、わからないよ〜。
聖ヨハネや聖ルチアについてもっと知りたかったし、地元の子たちと炎にお祈りするのも、もうちょっと中身が知りたかった。
母親の心の動きも、もう少し欲しかったし、あと、そう、バカンスに行く時、アイトールの姉?みたいな人物も車に乗せるんだけど、違う家に住んでた?
どこかで「義理の姉」とか書いてあったけど、そういう説明は全く無かった気がする。
なんか、そう、ちょっとしたことで、私、考えてしまって、停滞してしまって・・・。
あと少しの工夫で、かなりの高得点になっていたはず。惜しい、惜しい。

アイトール役のソフィア・オテロさんは、とんでもなく素晴らしかった。
第73回ベルリン国際映画祭で、当時9歳にして史上最年少で最優秀主演俳優賞を受賞したというのも納得。

まあ、淡々としているので、ハマる人はハマるし、ダメは人にはダメかも。
私は好きでした。リベンジ観賞して本当良かった。アホだけど褒めてあげたい(笑)
何かが引っかかれば、是非ご覧下さいませ。4つ☆

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