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2024年01月11日23:49

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2つのパンと砂時計(小説コンテスト参加中です)

いつも有難うございます

冬の季節
アドベントはすでに始まりを告げている…

ほんの少し昔の話
欧州の雪深き森の国の物語

少年は一年前に幼なじみの少女を失った

厚い氷の湖に落ちるはずはなかったのに

湖はひび割れて
少女を凍てついた水の中に飲み込みこんだ

嘆きの中でも時間は過ぎ去り

少年はいつものように
教会の慈善の手伝いをしていた…

仕事の一つとして

浮浪者を一人、慈善院に連れて来て
施設の与えられた食事以外に
ボンヤリと呆けた顔をした
哀れな浮浪者…

彼に
そっと…少しだけ自分自身の食事用のパンやスープを与えたのだ…


そして…数日後の事…

ある日の夕暮れに
慈善院の裏庭で雪の降り積もる中で
彼は立つていた

彼は少年を見つめる
まるで、数日前と違う男のようだった…

男の金色の瞳は生気を得て
輝いていた…

彼は少年にそっと話かける
「少年よ
優しき者よ…その善行に贈り物を授けよう…」

懐から取り出したのは
砂時計

廻りの木彫りには
異国の文字に飾り縁取り

砂は虹色の光りを放つ
不思議なもの

「これは時の砂時計
ただ一度だけ、時を戻してあげよう…」

浮浪者の姿をした者
長い銀の巻き髪に シワに刻まれた高い鼻
彫りの深い顔立ち

そして金色の眸(ひとみ)を輝かせ
静かに笑う

「あの時間だ…そう
そなたの大事な少女の時間だ
少女が自らの時を終わらせた時間…」

アリスンという名前の
可愛らしい少女

いつも笑いながら、飛び回ってた明るい少女

森の奥の慈善院に
頼まれたクリスマスの祝いの為の御菓子に品物を少々、籠に詰めて

小さな子供達に病で苦しむ者達の処へ…

アリスンは…近道に
いつものように

凍りついた湖の上に歩いて通り抜けようと
https://kakuyomu.jp/works/1177354054898313224/episodes/1177354054898313317

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