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2023年11月23日07:24
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時間と空間
中上健次『日輪の翼』（河出文庫）を読んでいる。
ツヨシをはじめとする若者たちが冷凍トレーラーにオリュウノオバ、サンノオバ、キクノオバら7人の婆さんを載せ、熊野の路地（被差別部落の謂である）から東へ向かうロードノベル。
いとうせいこうの解説を読んでいたら時間と空間に想いが至った。
地球から離れていけばいくほど地球に近づくとは、大江健三郎『セヴンティーン』にあるところ。映画『猿の惑星』も同様だ。
アインシュタインの相対性理論 ー 空間は湾曲している ー に、これは基づくのだろう。
一般に、時間をかけたら距離が稼げる。人間の歩行速度は平均で4km／hであるから、1時間歩けば4km先に到達できるはずだ。
ところが空間が曲がっていると、1時間歩いても出発点に戻ってきてしまう。「U」の字の道理である。
しかして相対性理論的にUの字は時間と空間を規定するが、故郷を離れて遠くへ出た若い頃。それから数十年、望郷の念が強まるのも回帰・Uの字が為せるわざ。
数十年の時間が経って、また戻る。
こと若い頃の�犲�由意志�爐覆漂戸佑棒曚い發里覆里世�、兆の単位にわたって日々更新されている細胞から成る我が身体。そこで自己同一性とは何か。「自分が自分である」とは？
シャッターを高速で切り、運動の過程を詳らかに捉える連続写真。そこに写った一瞬一瞬は細胞的には�猜未亮�分�爐覆里世�、ひとつひとつの動きを貫くその
「ベクトル」
のみが、自己を自己足らしめているのかも知れない。
雨月物語を書いた上田秋成は、カフカよろしく作品を全て井戸に投げ捨てた。ある江戸の作家が「この作品はあなたが書いたのでしょうか」。こんな問い合わせをしたところ、それを取り次いだ友人に、彼は絶交を申し渡した。
ただ伝言しただけで。
極端にも程があるが、「精神の運動こそ大切で、作品などはその過程で生じたゴミに過ぎない」。こう言ったのはヴァレリーだったか。
作品なぞ、核融合の過程においてはしょせん核廃棄物なのだと。「過ぎちまった事は、何もなかったのと同じでござんすよ、おたえさん」（木枯し紋次郎）。
行くも帰るも虚しいことだ。ただ、精神の運動こそが自分を自分足らしめている。もしそうだとするなら、逆に神の絶対性が浮き彫りになってくる。
なぜか。神に相対性理論は通用しないからだ。というより、神ご自身が「曲がった空間」の創造主だから。
論理学の試験に、こんな出題がある。
「神ご自身が持ち上げられないほどの重い岩を、神は創造できるのか」
重い岩を造るのは容易い。創造主にできない事はない。
ここでパラドックスが生じる。「神ご自身が持ち上げられないほどの不可能性」vs「すべてを創造できる、神の絶対的なパワー」。
春頃からずっと考え続けているのだが、俺に答は未だ出せぬ。しかし二律背反を解くには別の1点に第3軸を置き、そこから矛盾する2点にアプローチすれば良いように思う。
とまれ神は、Uに留まる事はない。むかしいまし、今いまし。
「わたしはアルファであり、オメガである」（ヨハネの黙示録）
ーーー
曲はジョニ・ミッチェル姉さんで ー Night Ride Home（車に乗ってお家へ帰ろう）
https:/
ツヨシをはじめとする若者たちが冷凍トレーラーにオリュウノオバ、サンノオバ、キクノオバら7人の婆さんを載せ、熊野の路地（被差別部落の謂である）から東へ向かうロードノベル。
いとうせいこうの解説を読んでいたら時間と空間に想いが至った。
地球から離れていけばいくほど地球に近づくとは、大江健三郎『セヴンティーン』にあるところ。映画『猿の惑星』も同様だ。
アインシュタインの相対性理論 ー 空間は湾曲している ー に、これは基づくのだろう。
一般に、時間をかけたら距離が稼げる。人間の歩行速度は平均で4km／hであるから、1時間歩けば4km先に到達できるはずだ。
ところが空間が曲がっていると、1時間歩いても出発点に戻ってきてしまう。「U」の字の道理である。
しかして相対性理論的にUの字は時間と空間を規定するが、故郷を離れて遠くへ出た若い頃。それから数十年、望郷の念が強まるのも回帰・Uの字が為せるわざ。
数十年の時間が経って、また戻る。
こと若い頃の�犲�由意志�爐覆漂戸佑棒曚い發里覆里世�、兆の単位にわたって日々更新されている細胞から成る我が身体。そこで自己同一性とは何か。「自分が自分である」とは？
シャッターを高速で切り、運動の過程を詳らかに捉える連続写真。そこに写った一瞬一瞬は細胞的には�猜未亮�分�爐覆里世�、ひとつひとつの動きを貫くその
「ベクトル」
のみが、自己を自己足らしめているのかも知れない。
雨月物語を書いた上田秋成は、カフカよろしく作品を全て井戸に投げ捨てた。ある江戸の作家が「この作品はあなたが書いたのでしょうか」。こんな問い合わせをしたところ、それを取り次いだ友人に、彼は絶交を申し渡した。
ただ伝言しただけで。
極端にも程があるが、「精神の運動こそ大切で、作品などはその過程で生じたゴミに過ぎない」。こう言ったのはヴァレリーだったか。
作品なぞ、核融合の過程においてはしょせん核廃棄物なのだと。「過ぎちまった事は、何もなかったのと同じでござんすよ、おたえさん」（木枯し紋次郎）。
行くも帰るも虚しいことだ。ただ、精神の運動こそが自分を自分足らしめている。もしそうだとするなら、逆に神の絶対性が浮き彫りになってくる。
なぜか。神に相対性理論は通用しないからだ。というより、神ご自身が「曲がった空間」の創造主だから。
論理学の試験に、こんな出題がある。
「神ご自身が持ち上げられないほどの重い岩を、神は創造できるのか」
重い岩を造るのは容易い。創造主にできない事はない。
ここでパラドックスが生じる。「神ご自身が持ち上げられないほどの不可能性」vs「すべてを創造できる、神の絶対的なパワー」。
春頃からずっと考え続けているのだが、俺に答は未だ出せぬ。しかし二律背反を解くには別の1点に第3軸を置き、そこから矛盾する2点にアプローチすれば良いように思う。
とまれ神は、Uに留まる事はない。むかしいまし、今いまし。
「わたしはアルファであり、オメガである」（ヨハネの黙示録）
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曲はジョニ・ミッチェル姉さんで ー Night Ride Home（車に乗ってお家へ帰ろう）
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