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2023年09月27日15:02

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三島の子どもたち

鍛冶俊樹の軍事ジャーナル
(2023年9月27日号)
*三島の子どもたち
 日比野啓(ひびのけい)著の「三島の子どもたち」を読んだ。副題に「三島由紀夫の「革命」と日本の戦後演劇」とあるように、三島由紀夫を縦軸にした日本の戦後演劇史である。三島は自ら「小説家」と自称していたが、演劇家としても有能で50篇以上の戯曲は、日本のシェイクスピアと言ってもいいほどの力量を示している。
 本書は、三島が戦後演劇に残した足跡を辿り、つかこうへいや野田秀樹などが間接的にではあるが、三島演劇の影響を受けていたことを立証している。

 三島文学を論ずる評論は多いが、そのほとんどが小説を中心にしており、演劇・戯曲を中心に論じたものはあまり見当たらない。その意味でも貴重な一書と言えよう。
 三島の最後の戯曲は「椿説弓張月(ちんせつゆみはりづき)である。江戸時代の作家、滝沢馬琴の原作を歌舞伎の脚本に仕立てた作品だが、自決のちょうど1年前に国立劇場で上演された。
 これに出演したのが先日亡くなった市川猿翁である。当時三代目市川猿之助として出演し2002年の再演では主役を演じている。その猿翁が演出家の蜷川幸雄に「三島由紀夫さんは、歌舞伎のことを本当にはご存知なかったから、おかしいことや滑稽なことが多かったですよ」と語ったという。日比野は、これに反論する形で、戦後演劇の流れを再構成している。
 暑い夏もようやく終わり、間もなく読書の秋、芸術の秋がやってくる。秋の夜長の枕辺にお勧めの一書である。

 軍事ジャーナリスト鍛冶俊樹(かじとしき)
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