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2023年09月25日01:37

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落語覚書/第三十八回亀戸寄席 橘家文蔵独演会

9月23日(土・祝)17時半開演@ 亀戸香取神社

文蔵「飴売り卯助」
文蔵「道灌」
仲入り
文蔵「試し酒」

亀戸寄席は3年ぶりの文蔵師匠。
地元の落語会って、会についてるお客さんがいて、地元の娯楽として誰が出るとしてもいつも聴きに行く会…っていうポジションかと思っていた。そういう意味では亀戸寄席は出演者によってほんとバラツキがあるなぁ。

●「飴売り卯助」
真っ青な着物にオレンジの襦袢と言う眩しい装いで登場!
鈴本の9月下席、先代「二代目橘家文蔵二十三回忌追善興行」を演った後のこちらだそう。高座に上がった時には、まだ頭の切り替えが出来ていない様子で、師匠の思い出を語り始める。派手ではないが、本寸法の噺をされる方だったようで、いろんな噺家がネタをつけてもらいたがった。志ん朝に電話で「寿限無」を語ったり、上方の米朝一門、果ては圓生にまで噺を教えたそうだ。

そんな師匠が松本清張の時代小説の一編を読んで落語にさせてもらった、という創作噺のノートとカセットテープが発見されたので「今日はそれをやる」と。

子供相手に飴売りをする卯助と十七になる娘のおかよ、長屋で貧乏暮らしをしている。それを見兼ねた若い知り合いの銀次は「そろそろ飴屋を引退して俺が働いている料亭『松葉屋』で働いてみないか」と持ちかける。それを機に、一生懸命に働く親娘。女将にも気に入られ、暮らし向きも楽になり、人生でいちばんの幸せな生活を送っていた。そんな暮らしに影を落とすのが、蛇のような性格の稲荷の親分という目明かし(十手持ち)。卯助の過去を探り、器量の良い娘のかよを我が物にせんと狙う。そんなある夜更け、松葉屋に押し込みが入って全員人質状態だと銀次が卯助の元へ駆け込んだ…。

身分を隠して慎ましく生きる無宿人の素性が思わぬところで発覚し、隠れて生きることが叶わなくなり否が応でも昔の姿に戻らざるを得なくなる。と言うのは、『鬼平犯科帳』に代表とされる池波正太郎の十八番だとばかり思っていたら、松本清張の『無宿人別帳』と言う短編集の中の『左の腕』がこの噺の原題だった。

人の良い初老の飴売り卯助と、蛇蝎の如く嫌われる稲荷の親分、追い詰められてついに隠していた姿を表す『裏卯助』の豹変ぶりなど、文蔵師匠の凄みある仕草に引き込まれてしまった。話す前に「笑いが一つもない」と言っていたが、後半は先代師匠の演出に耐えられず笑いを多少入れさせてもらったと照れた顔が印象的だった。

●「道灌」
打って変わって軽い噺をと言うことで「道灌」。若干、道灌の絵に辿り着くまでこんなに長かったっけ?と言うロングバージョン。まぁ、確かに軽い噺だけど、人情噺の後に前座噺って順番が逆じゃないの?なんせ、ここまで二席で1時間半なのだから!

●「試し酒」
仲入り後は着物を変えて、黒の「絽」?「紗」?いつもどっちか分からなくなるが、涼しげなお着物♪近頃話題の時事問題に絡めて初代『ゴジラ』のような妄想話。で、どうつながったかは忘れたが「試し酒」。「ちょっくら外で考えさしてくんろ」と言って帰ってきたところから、久造の様子が若干変わっていたことを見逃さなかった。そして一升大盃で呑み干すごとに、顔も声の大きさや喋り方も変わってゆくところが見事!扇子を開いて縦に持ち角のところからグビグビ呑んでゆくのだが、文蔵師匠の手が大きいせいかその持ち方では盃に一升入る大きさかしら?と思ってしまった。今まで気にしたことがなかったが。。


終わってみれば時間は8時前と、大サービスの文蔵師匠でした。
外に出ると、昨日までの真夏日続きが嘘のように、やっと九月の終わりらしい涼しさに。このくらいの気候が続いてくれると良いのだけれど、最近は春と秋の季節がないってからすぐに寒くなるのかしら?とはいえ日本酒の燗には早いようだから、久造が試し酒をやったのも冷が寒くないこのくらいの時期だったのかも?

次回は来年2月17日、古今亭文菊独演会だそうです。…好きです♪

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