夏の終わりの水蜜桃

外に出ると一気に体から汗が噴き出る。額から胸元、そして腿まで

まるでホースで水をかけられたように。

こんな夏は今まであったのか、、私の記憶の中には無いような気がする。
この夏は桃の菓子をを幾度となく作り、その度に多めに買った桃を冷たく冷やして食べたのだけど、こちらもまた、こんなに桃を食べた夏はあっただろうか。

今日は知り合いに桃の菓子を届けに、午前中とは言え既に暑い中を歩くと、ふと「桃と言うより水蜜桃だな」と思った。子供の頃は桃とは言わず水蜜桃と言っていた。お出かけした先で丸ごとお皿に乗せられた冷たい水蜜桃をナイフとフォークで綺麗に皮を取り頂いたものだ。
今年の桃はその水蜜桃とよく似ていた。

もちろん生が1番美味しいのだけど、菓子にするときはお砂糖とレモンを足してコンポートにしたり、更にミキサーにかけてゼラチンを混ぜてゼリーにと無粋な加工をする。

生がおいしいんだけどなぁと呟きながら

夕方の買い物で果物の陳列棚をみると、水蜜桃がたくさん並んでいた棚はシャインマスカットに取って代わり、水蜜桃が申し訳なさそうに端っこに数個だけ置かれていた。

名残の水蜜桃を冷たく冷やして食べようと手に取った。

また来年になったら会えるね。