ラクサンポ３１０

私の名前は川口民雄。子どものころから、周囲から浮いていた。学校の成績は低空飛行で、お情けで卒業させてもらった。小学校低学年のころからごく普通に生きられないと堪忍した。なんでみんなと同じことができないのだろうか。学校時代の運動会、学芸会、展示会、修学旅行で、周囲のクラスメートと同じ行動をとるのに、非常に神経を使った。仕事をいくつか渡り歩き、発達障害を支援するNPOで働いている。大人になって、検査を受け、検査の結果で、読み書きはかなり厳しいことがわかった。発達障害当事者は別に努力して、普通に見せようとしても、無理である。例え給与は低くとも、暮らしていければ、文句はない。この仕事は自分に向いているようだ。発達障害トラブルシューティングが仕事になった。川口と伊藤のzoom相談は続く。

伊藤
「成田空港の免税店に、雑貨を卸す問屋で働いていました。大卒から10年、働きました。予約、仕入等で失敗を繰り返したので、発達障害を疑い、病院で検査を受けました。発達障害に近い、グレーゾンと診断を受けました。診断後、会社に居づらくなったので、母親介護を理由で、辞めました」

川口
「そうでしたか。ご苦労されましたね」

伊藤
「お客さんと話をするのは苦になりませんでしたが。これ以上、私のミスで会社に迷惑をかけるのも、悪いので、思い切りました。会社を辞めて、半年経つと、さすが生活が厳しくなってきました。預金も底を尽きました。母の年金収入があると言っても、僕まで支えるのは苦しい。そこで、仕事を探していますが、なかなか見つからないもんで」

川口
「ヘルパーさんが来てくれるとしても、半日なら使えますね。テレワークができるといいですが、パソコンとネット環境はありますよね」

伊藤
「パソコンは有ります。ネット環境も、光回線はつながっています。私も同じ考え、いくつか、応募したんですが、なかなか条件が合いません。どうしたら、いいでしょうか」　

川口
「以前にテレワークの経験はありますか」

伊藤
「数回アンケートに答えて、謝金をもらった程度で。本格的にやったことはありません。
詐欺のホームページもあるんで、困っています」

川口
「できれば、経験のある仕事がいいのですがね。介護する時間と働ける時間を次回
までに私がわかるように、エクセルで表を作っていただけますか。それからですね」