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2023年08月01日14:52

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アフリカ独立宣言

Chihiro Sato-Schuh
13時間 ·
【アフリカ独立宣言】
サンクトペテルブルクでロシア・アフリカ・サミットが開催されたその日、ニジェールでクーデターが起こって、大統領が軟禁される事態になっていた。ニジェールは、サミットに参加しなかった数少ない国の一つだったのだけれど、このクーデターによって参加が妨害されたわけではなくて、この大統領は、もともとサミットに参加する意図はなかったらしい。しかし、ナイジェリアの企業家はサンクトペテルブルクに来ていて、西側からものすごい妨害が来ていたけれど、アフリカは多極化の道を選んだのだ、とインタビューに答えて言っていた。
このクーデターが、どういう状況で起こったものなのかもはっきりしないうちに、西側諸国はクーデターを非難して、「ただちに大統領を解放するべきだ」と言っていた。サンクトペテルブルクのサミットでも、そのことについて議論されていたらしい。西側諸国が一斉に大統領を擁護しているのに対して、ロシアだけは判断を保留していて、「今、議論が行われている」とだけ言っていた。その反応を見ただけで、軟禁されたニジェール大統領というのが、実は西側諸国が据えた傀儡か、いずれにしても腐敗した人物なのだろうということは、何となく予想がつく。
西側諸国は、大統領が民主的に選挙で選ばれたのだから、それを軍隊がくつがえすとは、民主主義に反すると非難していた。確かに軍事クーデターは民主的な手段だとは言い難いけれど、しかし、「民主的に行われた選挙」なるものが、今日ではアフリカならずアメリカやヨーロッパでも、お金でどうにでも操作されているような状況で、「民主的に選ばれた大統領」というのが本当に正当な表現なのかどうかはわからない。そもそも現フランス大統領のマクロンやアメリカ大統領のバイデンは、「民主的な選挙で選ばれた大統領」なのだろうか?
2年前にミャンマーでクーデターが起こって、大統領のアウン・サンスー・チーが逮捕されたときも、西側諸国は一斉にクーデターを非難していたけれど、実はサンスー・チーは西側の利益に従って動く政治的工作員とでも言うべき存在だったらしい。大統領選挙で大規模な不正が行われて、サンスー・チーが選ばれたあとに、このクーデターが起こって、選挙で選ばれたばかりの大統領が降ろされた。選挙が外国から操作されていたら、これは要するに体のいい政権の乗っ取りなのだ。この場合、軍隊は憲法を遵守して国民のために国を守るために、その政権を停止して、公正な選挙が行われるべく監視する義務がある。つまり、これは「民主的な選挙で選ばれた大統領」を降ろした不当なクーデターではなく、憲法に基づいた民主的な軍事介入だったのだ。
ニジェールのクーデターに、そういう法的な根拠があったのかどうかはわからない。しかし、クーデターのあとで、ニジェールの人々がフランス大使館前の広場に集まって、「フランスは出ていけ!」と叫びながら、ロシアの国旗を掲げていた動画が、SNSで拡散されていた。そのことからして、軟禁されたニジェール大統領というのは、フランスの利益で動いていた人物だったらしいということが見て取れる。ニジェールはもともとフランスの植民地だった国で、独立国になったあとも、フランスが駐留し、フランスはニジェールの地下資源を植民地並みの安い値段で手に入れていた。つまり、独立国になったとは言え、事実上はフランスの植民地であり続けたのだ。その状態を保つために、フランスの思い通りに動く人物を大統領に据えていたということだったらしい。
西側諸国は、このような植民地状態を保つために、クーデターを起こしたり、反政府軍を組織したりもしている。本当に国民が選んだ大統領が、国民の利益を守って、植民地状態を変えようとしたりしたら、反政府デモが組織され、政府が入れ換えられることになる。この場合は、「独裁的な政府を覆した国民の民主化運動」だと西側諸国は言うのだ。2014年にウクライナで起こった暴力的な政権交代も、西側諸国にまさにそのように持ち上げられていた。実際には、武装したテロリストグループが入り込んで、暴力的に議会を占拠してしまうという政権乗っ取りだったのにだ。そしてまた、このテロリストグループは、アメリカ国務省が資金を出して組織していたものだった。
シリアでもリビアでもイランでも、地下資源を国有化して、国民の利益のために使おうとすると、西側諸国から独裁国家扱いされて、攻撃されることになる。そのために、反政府グループという名のテロリストグループが組織されて、政府軍と衝突するように仕向けられる。政府軍がテロ対策に出動したら、NATOが出動して、独裁政権から民主主義を守るためと称して軍事攻撃し、政権を入れ換えてしまう。そんな風にして、アフリカの国々は、植民地支配され続けてきた。
ロシア・アフリカ・サミットの最後のスピーチで、プーチン大統領が、多極的な世界秩序を守るためには、軍事的に戦う力もまた必要だというようなことを言っていた。アフリカの多くの国が、事実上、軍事力で植民地支配されている状況では、そこから解放されるためには、軍事的に戦う用意もなければならないというのが現実なのだ。プリゴジンの傭兵部隊ワグネルが、アフリカで軍隊を養成しているのを、西側諸国は、ロシアがアフリカを支配しようとしているみたいに言っているけれど、ロシアはアフリカの国の軍隊を養成することで、西側諸国が送り込んでくるテロに対応できるようにしていたのだ。
アフリカはもともと地下資源も農地も豊かなのにもかかわらず、世界で最も貧しい地域になっているのは、西側諸国が植民地支配して、搾取し続けていたからにほかならない。ロシアは、アフリカ諸国がこの状態から自立していけるようにと、長年の間、支援し続けてきた。サンクトペテルブルクのサミットに、西側からの激しい妨害をも乗り越えて、ほとんどの国が参加したのは、その信頼関係があったからこそなのだ。このサミットの終わりには、共同決議が全会一致で採択されたのだけれど、それは、国連憲章に基づいた国の主権や民族自決の原則を守って、内政干渉やテロ、経済制裁などに対して、共同で戦うといった主旨の、かなり長い詳細な内容のものだった。これはつまり、西側の新植民地主義からの独立宣言とでも言うべきものだ。サミットに集まったアフリカの参加者たちが、不思議な熱さを放っていたのを思い出して、まさにこのために、この人たちはあらゆる妨害を乗り越えてでも、サンクトペテルブルクまでやってきたのだということを理解した。そして、だからこそ、このサミットはありとある妨害を受け、それにもかかわらず空前の大成功を収めたということもだ。
そのことを考えるならば、このサミットに政府代表を送っていなかったニジェールで、まさにその日にクーデターが起きて、現職の大統領が降ろされるという事態になったのも、偶然ではなかったのだろう。ニジェールの人々も、他のアフリカ諸国とともに、多極化の道を選ぶのだということを、示そうとしていたように思える。
西側メディアは、ロシア・アフリカ・サミットが、大失敗に終わったかのような印象を与えようとして、発言の意味を引っくり返したり、ありとある虚偽を報道していた。しかし、あまりにも見事な成功だったので、失敗の印象を与えるような材料がなかなか見つからなかったのか、せいぜい「アフリカが穀物合意が再開されるよう要請した」というのを、アフリカがロシアを非難しているかのように書いていたくらいだった。アフリカは確かに穀物合意の再開を望んでいた。しかし、再開されないのは、西側諸国がロシアの穀物と肥料に対する経済制裁を解除しないせいだというのをアフリカ諸国はちゃんと理解していた。だから、「穀物合意が再開されるよう要請した」というのは、西側諸国に対する批判として言っていたのだ。そしてまた、「穀物合意が再開されないのは、西側諸国に責任があると、ロシア政府は主張している」とまるでロシア政府が嘘をついているかのように聞こえる言い方をしていた。
しかし、メディアがいくら嘘をついても、アフリカはもう多極化の道を選び、どんな妨害にもめげないで、どんどんネットワークを作り上げていっている。プーチン大統領は、アフリカは直に食料を輸出するようになるだろうと言っていたけれど、それはまったく現実的な予測だと思う。プーチン政権のロシアが、西側資本の政治介入を一掃しただけで、数年のうちに経済を立て直して、西側諸国を追い越す経済発展を遂げてしまったのも、西側諸国のグローバリズムという新植民地主義が、世界の貧困を作り出しているのに他ならないからなのだ。この搾取がなくなれば、最も貧しい国々であるアフリカも、たちまちのうちに豊かなところになるはずだ。
第二次世界大戦から80年ほどが経って、ようやく今、世界は植民地支配から本当に独立しようとしているようだ。
***
ニジェールのフランス大使館前でのデモ。ロシア国旗を掲げている(フランス国旗ではない)。
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