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2023年08月01日07:28

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7月の読書記録

先月も6千頁いかなかったな。まあ大著平野啓一郎の『三島由紀夫論』を読了できたのでよしとするか。

2023年7月の読書メーター
読んだ本の数:14冊
読んだページ数:5784ページ
ナイス数:189ナイス

https://bookmeter.com/users/4147/summary/monthly/2023/7
■危機の読書 (小学館新書 436)
タイトルが示唆するように、今の日本の現状(もちろん日本に限ったことではないが)はますますのっぴきならない状況に陥っているんだな…と改めて痛感。とりわけ印象的だったのインテリジェンス小説『鳴かずのカッコウ』を扱った章だったか。こんな過酷な状況で働くなど、恐らく三日ももたないだろうな…と。それとごく短い頁数ではあるが、巻末の片山杜秀氏との対談も、何かと示唆的な内容。ロシアのウクライナ侵攻に関する報道がいかに当てにならないかを改めて認識。また、日本の皇室の存在意義に正面から疑問を投げかけているくだりも印象的。
読了日:07月31日 著者:佐藤 優
https://bookmeter.com/books/20127893

■上野千鶴子がもっと文学を社会学する
書評集。おおむね興味深く読めたが、タイトルに反して、文学作品の割合が少ないのが、ちと不満。介護職に携わる男性としては、やはり主に男性に関する文章を集めた三章と、老いと介護をテーマにした六章がとりわけ刺さったか。中でも息子として親の介護に携わることの意味について語った「『息子介護』に学ぶ」は、他人ではなく自分の肉親を介護する、それこそ自分が生まれた場所を洗うという立場に立たされたときのことをつい想像してしまった。また、「なぜ魔女のキキは〜」では、かつて『魔女の宅急便』を見て覚えたモヤモヤ感が少しクリアーに。
読了日:07月30日 著者:上野 千鶴子
https://bookmeter.com/books/20526194

■村上春樹の世界 (講談社文芸文庫)
いわゆるハルキストではないとはいえ、それなりに熱心な村上春樹読者だ自認してきたが、それでも本書でなされる読みの深さには少なからず理解しがたいものを感じたというのが正直なところ。とりわけ『世界の終わり〜』を論じた章は、作品そのものの記憶が不確かなこともあって、読み通すのにかなり苦労した。ただ、安部公房の『砂の女』を引き合いに出して論じているのが意外であるのと同時に新鮮だった。また、また、『ねじまき鳥〜』が後で書き足されたいう事実に驚き。続編が書き足されずに完結した『ねじまき鳥〜』は想像しにくいけれど。
読了日:07月30日 著者:加藤 典洋
https://bookmeter.com/books/15712627

■細雪 (下) (新潮文庫)
初読の時には、ストーリーに起伏が乏しいけれど、何ともいえない魅力に満ちた作品…という印象だったのだが、今一度読み返してみて、波瀾万丈…ではないにしても、思った以上にすったもんだのエピソードに富んだ作品だったということに驚き。そのすったもんだのエピソードを品よく淡々と綴っているのが妙というところか。中でも、とりわけ読者をヤキモキさせるのは、やはり雪子と橋寺との破談のくだりだろう。小説の話だとわかっていながらも、やりばのないモヤモヤ感にかられたのは僕だけではないはず。その雪子がラストで見舞われるものが意味深…
読了日:07月28日 著者:谷崎 潤一郎
https://bookmeter.com/books/576145

■属国民主主義論 この支配からいつ卒業できるのか (朝日文庫)
既読本であることに途中まで気づかなかった(笑)。ただし、これは増補版なので、読んで損した気にはならない。というより、旧版と新版との六年間という時間的隔たりが、殆ど感じられないくらいに、事態が停滞化しているという印象が拭えないのが何とも…政治の劣化、維新の躍進、安倍的なるものの継続、国民の幼稚化…現状のマイナス要素を数えているときりがないほど。このまま行き着くところまで落ちていかないと日本は、再び上向きになることはないのか?ついそんなことを考えてしまう。次に二人の対談があるとすれば、どんな内容になるのか?
読了日:07月25日 著者:内田 樹,白井 聡
https://bookmeter.com/books/19393711

■三島由紀夫論
それなりに三島の著作を読み込んできたつもりだが、それでも未消化感が強い。四十代で本格的に読み進めてきた自分と、中学時代から読み込んできた著者とは、その理解度が段違いというのは当然だとしても、それでも自分の読みの浅さに恥じ入ってしまう。それはともかくとして、類稀な知性を持ちながら、時に超論理、あるいは反知性的な傾向を露呈し、その天皇礼賛も、世間的な右翼思想とは違った奇妙な捩れを見せているところに、三島の一筋縄ではいかない複雑さを再認識。今一度、三島の著作を読み込んだ上で再読したいが、いつのことになるやら…
読了日:07月23日 著者:平野 啓一郎
https://bookmeter.com/books/20923356

■牙を研げ 会社を生き抜くための教養 (講談社現代新書)
内容はともかくとして、「ビジネスパーソンのために」という著者の謳い文句に、毎度のことながらイラっとさせられる。「ビジネスパーソンじゃないと読んではいけないのか?」と(笑)。後、果たして世のビジネスパーソンがここで紹介されている本を読み込むだけの時間と体力が果たしてるのか?という疑問もわく。個人的にとりわけ印象的だったのは、冒頭の旧日本陸軍の『作戦要務令』を扱った章か。人の良さとか、誠実さだけを売りにしては、この世知辛い世の中は渡っていけないのだな…と五十代半ばにして、青二才的な感想を抱いてしまった(笑。
読了日:07月19日 著者:佐藤 優
https://bookmeter.com/books/11670878

■らんたん
究極のシスターフッドの物語というべきか。著者の母校でもある恵泉学園創始者河井道とその協力者一色ゆりを巡って、明治、大正、昭和の激動の時代を描きつつ、夥しいまでの著名人との交流や確執を見事に描き切った大作といっていいかも。とにかく時に迷ったり、失敗しつつも、常に前も向き果敢に突き進む道の姿に胸を打たれる。そして、その道を時にハラハラさせられつつも、1番の理解者であり続けたゆり。巻末で、著者がフィクションであるとことわっているとおり、小説のまんまということはないだろうけれど、ある程度歴史の雰囲気を感じられる。
読了日:07月15日 著者:柚木 麻子
https://bookmeter.com/books/18647057

■細雪(中) (新潮文庫)
改めて本作の魅力を堪能。本巻というより、本作品の一つの山場ともいえる、昭和十三年の大水害の凄まじさには、息を呑むほど。あわやというところで、休止に一生を得た登場人物のサバイバル劇にははらはらさせられどうし。また、基本三女雪子の結婚話がメインだと思われがちな、本作だが、本巻では末娘妙子の恋愛話がメインとなっているのが肝か。その妙子の呼び名「こいさん」が妙にはまるのは、おそらく僕だけではないはず(笑)こいさんだけではなく、この当時の大阪の話し言葉になんとも言えない憧憬を覚える。女中、お春が程よい隠し味かも。
読了日:07月12日 著者:谷崎 潤一郎
https://bookmeter.com/books/576143

■基礎からわかる 論文の書き方 (講談社現代新書)
アカデミズムから離れて二十年以上にもなるのに、こんな本を手に取ってしまう自分が我ながらいじましい(笑)。とはいえ、著者後書きでも述べられているとおり、本書は学問とは何かという問いに幾度となく触れていたり、正式な論文というだけでなく、企業でのレポートを書く際にも参考になるということで、一般教養書としての性格も持つと言っていいだろう。ただ、論文は内容もさておき、形式が重要であるとありながら、しかもその形式が厳密には定められていないというのは、いかがなものか。それは人間が完全ではないということに通じるか。
読了日:07月11日 著者:小熊 英二
https://bookmeter.com/books/19681533

■伊藤くん A to E
最初はオラオラ系のダメンズのクズ男という印象だった伊藤君の芯の部分が徐々に曝露されていく話という塩梅。彼をとりまく数人の女性を通して語られる彼の姿はある程度共通する部分もありながら、時に大きく違っていたりするのが妙。それにしても、いくらイケメンでも、あれだけ薄っぺらで、しかも恋愛に精通していない彼が、モテるというシチュエーションが今一つ謎。それにあの雑な思考能力で国語講師をしているというのも解せない。一応、それなりに本は読んでいるらしいが、どんな読書歴かが気になる。個人的には修子に一番ひかれるかな…
読了日:07月07日 著者:柚木 麻子
https://bookmeter.com/books/7332806

■マジカルグランマ
七十代からのサクセスストーリー。途中、何度か挫折に近い経験をしながらも、しっかりと足場を踏み固めていく主人公正子の活躍に思わず手に汗を握る。世間が期待するようなマジカルな存在ではなく、自分らしさを尊重する…七十代からの開き直りぶりと、自らの道を切り開いていくそのバイタリティに賞賛の声をあげたくなる。かつてのゴミ屋敷住人、野口さんとは、七十代同士のボーイ・ミーツ・ガール的展開か?とちょっと期待したけど、あえてそうさせなかったのは妙。ラストの展開も、えー!!という感じだったけれど、正子さんらしさは健在。
読了日:07月06日 著者:柚木麻子
https://bookmeter.com/books/13636472

■細雪(上) (新潮文庫)
このあいだ読んだ『疎開日記』に触発されて、十数年ぶりに再読。初読の時は、トラブルメーカーという印象しかなかった蒔岡家の末娘の妙子が実が、ちゃんと手に職をつけた、次女幸子を嗜めるくらいのしっかり者だったということに驚き。また、本作品のいわばメインテーマである三女雪子の見合い話を巡るあれこれは、何とも言えずじりじりさせられる(笑)。それと、今では恐らく殆ど聞かれなくなったであろ大阪船場の上流階級の言葉や、廃れてしまった関西の文化の描写に何とも言えないノスタルジーを覚える。しかも、これが戦時中に書かれたとは…
読了日:07月05日 著者:谷崎 潤一郎
https://bookmeter.com/books/576141

■同調者 (光文社古典新訳文庫 K-Aモ 3-2)
かつて日本の同盟国だったのにも関わらず、第二次大戦当時のイタリアの状況について、殆ど無知だという事実を改めて認識。また、主人公が背負った十字架とゲスぶりと相反するように妻と義母からその人柄を大絶賛されるというギャップが今一つ腑に落ちない。また、新婚旅行の最中にもかかわらず、恩師クアードリの妻、ニーナに強く固執するという尋常ではない行動にも首を傾げる。エピローグからある程度バッドエンドが示唆されるが、エピローグでのどんでん返しには目が点。その安堵感から穏やかな生活が待っていると思いきや、あっけない幕切れ…
読了日:07月04日 著者:モラヴィア
https://bookmeter.com/books/20535222


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