生きてるだけでありがたい

金曜の夜や雨の日の状況だけをみて、タクシーが足りていない！とか言い出すマスコミや世の中の人たちに、
平日の夜に暇しているドライバーの現状を教えてやりたいねこきちですこんばんは。
お客に飢えて目が血走ってるアホ運転手が多いので危険です。

さて、いつも通り病院からお客さんを乗せた夕方の話。
特に変わった様子もなく、少し細身のおじさん。
送り先も自宅で難しい場所でもなかった。
ご乗車ありがとうございますから、最寄りの駅まで渋滞もなく普通に。

駅から自宅前まで少し細目だけど難なく通れる道を案内してもらって、普通にお会計。
「カードでお支払いしますね。」
といいつつ鞄から財布を出し、
おもむろに１０００円札を１枚置いた。

カードでって言われたのに現金が目の前に置かれたので一瞬「？？」となったところに
「これはお礼ですから。」
といわれ、ああチップってことかと理解。
最近は電子決済が多くなったのでチップもらうこともあまりなかったのだが、
１０００円はちょっと多いので、
「いえいえ、そんないただけませんよ。」
といったのだが、
「いや、もらってください。私は、この半年で１００回くらいあの病院に通っていて、いつも送ってもらって感謝しているんですよ。」
「１００回ですか！それは多いですねえ〜」
「もうあと何回通うかわからないけど、生きているだけでね、ありがたいんですよ。」
そういって支払いはちゃんとカードで済ませてくれた。
「だからね、いろんなことに感謝をこめて、お礼をするようにしているんです。」

こんなのはもう断れないので。
「ありがとうございます。また何回でも、乗ってください。」
そういうと、
「細い道なのに家の前まで送ってもらってすみませんね、気を付けて帰ってくださいね。」
ぺこりと頭を下げて、家に入っていった。


その日の夜、１０時を過ぎたころに新宿西口から乗せた酔っ払い３人の男。
「歌舞伎まで」
まあ歌舞伎座ではないよね、はいはい
スマホで電話をかけ始めて、
「今から行くけど、ｘｘちゃんいる？？え？やめちゃったの？じゃあフリーになんの？じゃぁ頼むよ。ダメなんだったらお前指詰めろよ！はぁ？なにいってんだよ指詰めろつってんの、しょうがねえな、じゃあ指は許してやるよ、ああ、絶対だぞ、いますごい勢いで向かってっから、名古屋から！歌舞伎のどこっていえばいいんだ？ｘｘビル？あー運転手さんｘｘビルってわかる？あーじゃあそこでまってて。」
電話を切って、あとの２人にむかって、
「現金いくら持ってる？１０マン以上はあんだろー、カード？ふざけんなよ。」
「いつも現金１０マン以上持ってったらそれ以上かかんじゃん。」
「カイエンとか乗ってるくせになにいってんだよ。」
「あのプリウスどうしたんだよ、今も乗ってんの？」
「地下駐車場でかびてるわー」
「わはははは、まじかよ、すてちまえよー」
「あー運転手さんここで清算するわ、いくら？８００円？じゃあ４マンで領収書切ってよ。」
「お前むりゆうなよーわはは、じゃあいくぞ、わははは」

いつかこの人たちも、何かに感謝しながら病院に通う日々を迎えることがあるのだろうか。
ふふふ、人間って（笑）