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2023年07月01日14:54

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原発雑考第420号の転載   脱炭素と人口減少対応、2022年度のわが家のエネルギー消費など

 原発雑考第420号の転載です。
2023・7・5
発行 田中良明
転載自由
連絡先 豊橋市富士見台二丁目12-8 E-Mail tnk24@tees.jp


脱炭素と人口減少対応

GX脱炭素電源法が成立した。この法律は脱炭素のためと称して原発に異様な肩入れをするものであるが、実際には再エネ利用の急速な拡大を妨害することになり、脱炭素を阻害することになる。このことについては前号で述べたが、それは既存の社会経済システム(原発はその象徴だ)の維持を前提にして脱炭素を追求しようとした結果である。
 岸田首相お声掛かりで人口減少対応として〈異次元の少子化対策〉を推進することも打ち出された。出産・育児支援を手厚くすることで出生率を回復し、人口減少に歯止めをかけようとする狙いである。
 出産・育児を手厚く支援することは大切だが、〈異次元の少子化対策〉には問題がある。まず、財源問題を含め、検討されている内容が出産・育児支援として必要かつ十分であるのかという点で多くの疑問がある。
 さらに、出生率の低下にはさまざまな要因が絡んでおり、出産・育児を手厚く支援しても人口減少を食い止められるまでに出生率が回復することはありえないことは明らかである。したがって、出産・育児支援の充実と人口減少を前提にした社会経済システムへの転換とを並行して進めることが必要なのである。しかし〈異次元の少子化対策〉は前者だけで、後者がない。これは致命的な欠陥である。
 こんなことになっているのは、人口が国力の源泉という時代錯誤の国家観に引きずられ、人口減少という避けられない将来を受け入れることができず、出産・育児支援を充実すれば出生率が回復して人口減少が避けられるという夢想に逃げ込んでいるからである。この夢想を信じた振りをすることで人口減少を前提にした社会経済システムへの転換という大難題に対峙することを回避したいという、戦線逃亡に等しい無責任な思惑もあるだろう。
脱炭素と人口減少対応という重大課題にたいする政府の方策は、既存の社会経済システムの維持を前提にしているがゆえに破綻を運命づけられている。


2022年度のわが家のエネルギー消費

 過去10年間のわが家の太陽光発電の発電量と電気・都市ガスの消費量は以下のとおりである。
年度   太陽光発電(kWh) 都市ガス(㎥)  原油換算したA
    発電量  消費量(A)  消費量(B)   とBの合計(ℓ)
13   2676   1621   300  681
14   2516  1548   283   647
15   2450  1658   284  673
16   2632  1546   244  600
17   2689  1609   281  659
18 2615 1569   284 653
 19 2636 1582 276 648
 20 2646 1623 285 675
 21 2664 1602 273 657
22 2605 1551 267 639
 太陽光発電は発電量が若干減った。近くの伊良湖の年間日射時間は、2021年 2244.7時間、2022年 2273.2時間であり、日射時間が多い2022年のほうが発電量が少なくなっている。わが家の太陽光発電装置は設置から22年経つので、機器の劣化が始まったのかもしれない。
太陽光発電装置の寿命は25〜30年程度とされているが、 発電量低下の主な原因は太陽光パネルの性能の劣化ではなく、配線の劣化であり、配線を更新すればリユースが可能である。それが無理な場合でも素材のリサイクルは可能であるし、省エネ・省資源のために行われねばならない。これらのことは20年前から指摘されていたが、1年前の本誌407号に書いたようにいまだにアクセスが簡単なリユース・リサイクルのシステムは構築されていない。太陽光発電ひいては再エネ発電全般にたいする国の取り組みの薄っぺらさを示す一つの例である。
 ところで、家庭で使用されるエネルギーの脱炭素というと電気のことをまず思い浮かべるが、都市ガスも脱炭素を迫られている。都市ガスの脱炭素にとって最大の問題は都市ガスの燃焼で発生するCO₂を回収することは不可能だということである。そこで都市ガス事業者と経産省が考えているのが、水素とCO₂を反応させて合成したメタンを都市ガスの燃料にすることである。
 このメタン合成に使われる水素は再エネ電力を使って生成した水素(グリーン水素)である。問題はCO₂で、大気中のCO₂を利用するのであれば、メタンの燃焼で発生するCO₂はもとは大気中に存在したものだから、CO₂が増加することはなく、カーボンフリー=脱炭素になる。ただし濃度の薄い大気中のCO₂と水素からメタンを工業的に合成する技術はまだ存在しない。
 他方で工場等で発生した濃度の濃いCO₂と水素からメタンを合成する技術はすでに存在している(製造コストは天然ガスから抽出する場合の数倍だが)。しかしこの場合は、もとは大気中に存在していなかったCO₂がメタンの燃焼によって大気中に排出されることになる。それでも工場等からCO₂が大気中に放出され、家庭からも天然ガスから精製された都市ガスの燃焼でCO₂が大気中に排出されている現状と較べると、全体としてのCO₂発生量は減る。したがってこれは減炭素ではあるが、脱炭素ではない。
 時間の壁もある。いますぐにこの技術が実用化されて減炭素に貢献し、脱炭素達成の目標年である2050年までにその役割を終えて、真に脱炭素の燃料に席を譲るのであれば、それなりの意味がある。しかしこの技術の実用化の目標は2050年であり、これでは脱炭素への繋ぎにはならない。
 都市ガスの脱炭素を達成するのはある意味簡単で、燃料を水素にすればよい。当面は化石燃料から生成された水素(グレー水素)を使い、順次グリーン水素に切り換えていくのである。EUはその方向を指向している。ただし燃料が水素に変われば現在の都市ガスの設備・機器を使うことはできない。これにたいしてメタンは現在の都市ガスと成分がほとんど変わらないので、現在の設備・機器をそのまま使うことができる。
 日本の都市ガス事業者が水素の使用に消極的なのは、それにともなう設備・機器の全面的置換を決断することができないからである。これは、電気事業者が電源を再エネ発電主導に転換する決断ができないのと同じである。
 現在すでに、暖房・給湯・調理などに使うエネルギーをすべて電気でまかなうオール電化住宅が存在するし、住宅太陽光発電と組み合わせればオール電化の弱点(深夜電力を利用して翌日夕方以降に主に使われる湯を沸かすので、使用量の予測が難しくて残湯や湯切れが発生するとか、静かで在宅者が多い深夜に稼働するので、近隣住民が騒音や低周波に悩まされることがあるなど)はいくぶん解消されることになるだろう。
 しかしそれでもすべての住宅に太陽光発電装置が設置されることはありえず、すべての住宅がオール電化になることもありえない。都市ガスは社会にとって不可欠のインフラであり続けるだろう。その都市ガスが脱炭素を放棄して減炭素でお茶を濁そうとしているのである。


雑 記 帳

 6月は梅雨。そして梅雨時の花といえばアジサイ。私はぼってりしたホンアジサイよりもすっきりしたガクアジサイが好きで、庭に植えてあるのもそちらだ。下旬になるとアジサイは終わり、夏の花のユウスゲが咲き始めた。
梅雨入り直後の6月2日、豊橋では観測史上最高の418.0ミリの降水があった。計測されたのはわが家の北8キロにある豊橋観測所で、観測所近くに住んでいる人の話では、ものすごい雨が終日降り続いたそうだ。しかし自宅に居た私にはそんなに降ったという感じはなく、家のまわりの側溝が溢れるようなこともなかった。実際、翌日テレビで見た推定降水量の細かな分布図では、私の住むあたりはそれよりもはるかに少ない降水量だった。
 もっともわが家は地形的に水害や土砂災害の危険性は皆無なので、このように安閑としておれたが、そういう危険のあるところでは自宅周辺の様子だけで安全か否かを判断するのは危険である。
 ツバメは6月になると確認されるヒナの数がだんだん増え、5日には6羽になった。ツバメは1日1個の卵を早朝に産むから、最終産卵日は3個の卵が確認された5月5日の3日後の8日ということになり、16日後の24日(卵の殻が庭に落ちていた日)に孵化したことになる。そしてその21日後の6月14日に6羽とも無事に巣立った。わが家の巣からの巣立ちは2015年以来で、一度に6羽は過去最高タイである。
 巣立った日は夜になってヒナは巣に戻り、翌朝、家の前の公園の上空を親鳥を含めて8羽でひとしきり舞ったあと、飛び去った。
万場緑地のネコ 第43話 5月末に万場緑地に長毛のオスネコが現れた。推定年齢は4〜5歳で、痩せて、毛がひどく汚れ、毛玉がいくつも出来ていた。捨てられて数週間は経っているようだった。弱っていたせいもあろうが、ほとんど動かなかったので、自力で万場緑地までやってきたとは考えにくい。どこかに一度捨てられ、そこからまた万場に捨てられたようだ。餌をよく食べ、次第に元気になったが、もとは飼いネコのようで(繁殖用のネコではないかという説もある)、長毛でもあるので、野外で生きていくのは厳しい。保護活動仲間が一時的に預かり、譲渡先を探すことになった。
 先月号に書いたチョビ失踪のあと、それまでチョビに守ってもらっていたサビ子が他のネコにいじめられるようになり、やはりいったん預かられることになった。そのほかにも居なくなったネコや、やってきたネコがいて、この春は出入りが激しい。

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