たまには嫌いなものも書く

何が嫌いって、真っ白で大きな球で咲くアジサイ、アナベルが嫌いだ。

たしかにきれいだよ。
花もひとつひとつが小さくて、密集していて、やわらかくて。
いかにも女性的でたおやかで美しい。

けれどね。

つる草でもあるまいに、無計画にみょろみょろと茎を伸ばした挙句、身の丈にあわないでっかい花球をつけるもんだから、花の重さで自立できず、結果的に花部分をアスファルトにこすり付ける体たらく。

純白の花が地面の泥水の中に浸かっている有様はなんともいえず情けなく、みっともないと感じる。
きたならしい。みじめったらしい。みすぼらしい。
嫌悪しか感じないんだよ。

まるで見栄を張りすぎて自滅していく人間を見ているようで気分が悪い。

ひっこぬきたいのはやまやまなんだが、アジサイはおかあが大事にしてたんだよな……。
入院中でも、アジサイは咲いたか、咲いたら写真を送ってくれ、とずっと言ってた。

アナベルの背後に、茎の強いピンクのアジサイがあるんだが、そっちは今年は花をつけないみたいだ。

アナベル、嫌いです。