中山市朗先生がオカルトエンタメ大学で語っていた「八甲田山の怪」を聞いた日の深夜に体験した話。
ふと目を開けると身体が動かない。
ベッドに横になったまま目だけを動かした。
誰かが立っている。
腰に軍刀を下げているのが辛うじて分かり、軍人だと思った。
低い声で繰り返し呟く声が聞こえた。
「……た……を念じよ」
声は途切れ途切れに聞こえ、辛うじて聞き取れたのはそれだけだった。
意識がなくなる刹那、右耳の鼓膜から「ウフ」という短い笑い声が聞こえたが、それは女の人の声のように聞こえたので別件だと思われる。
起きた後もしばらく耳の奥の残響が消えなかった。
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