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2023年04月01日05:49

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3月の読書記録

先々月程には読めなかったけど、先月もそこそこ読めたか。先月はやはり柄谷の『力と交換様式』、それと『ベンヤミン・コレクション』に手こずっていた気がする。今月も頑張って読もう。

2023年3月の読書メーター
読んだ本の数:20冊
読んだページ数:6858ページ
ナイス数:193ナイス

https://bookmeter.com/users/4147/summary/monthly/2023/3
■未成年1 (光文社古典新訳文庫 Aト 1-22)
この『未成年』という邦題、実は「青二才」とか「未熟者」と言う意味合いの方が本来強いのではないか?と思わされるくらいに、主人公アルカージーの中二病的な言動にイラつかされる(笑)。新潮版の旧訳で読んだ時は、今一つピンとこなかったけれど、新訳で読み返すことによって、作品の魅力…とりわけ、佐藤優が五大長編の中でも、なぜ本作を特に推していたかが理解できたような気がする。とはいえ、そう言いながらも、他の長編の定石となっている読者をうんざりさせかねないあの過剰なお喋りや、デモーニッシュな人物がいないのは物足りないが。
読了日:03月31日 著者:ドストエフスキー
https://bookmeter.com/books/18907297

■ベンヤミン・コレクション〈2〉エッセイの思想 (ちくま学芸文庫)
内容の理解はともかくとして、「どうにか読み終えた」と言うのが正直なところ。何せ六百頁を超える大部で、内容は多岐にわたっているし、あまり有名でない文学者や芸術家の名前も頻出するうえ、著者独特の言い回しに煙に巻かれた気持ちになりながら、ただ字面を追っていただけと言う箇所も多く、包括的な感想を述べることなどとてもできない。それでも、何がしかの魅力、あるいは引っかかるものがあったのか、テキストの至る箇所に付箋を貼りまくっているのは、著者ならではの筆致がなせる技か。通読するのに苦労したけど、再読したい気になったし。
読了日:03月31日 著者:ヴァルター ベンヤミン
https://bookmeter.com/books/516701

■日本の歴史をよみなおす (ちくまプリマーブックス)
先に読んだ続編と同じく、大変興味深く刺激的な内容であり、同時にこれまでの歴史認識を大きく揺さぶるものである。がしかし本書が出て早三十年以上を経ても、ここで述べられていることが教科書レベルで浸透したか?というと、かなり疑問ではある。とりわけ印象深かったのは、現在では単純に差別の対象だと捉えられがちないわゆる「穢多非人」と呼ばれていた人達を始め、様々な下層階級とされた人達が多種多様なあり方をしていたという事実。それをそのまま教科書に掲載するのは難しいとは思うが、もう少しこのあたりのことを取り上げるべきでは。
読了日:03月29日 著者:網野 善彦
https://bookmeter.com/books/533013

■いちにち,古典 〈とき〉をめぐる日本文学誌 (岩波新書 新赤版 1958)
今でいう時計はもちろんのこと、恐らく今の感覚ではあり得ないくらいに夜や暗闇への恐怖や畏敬も絶大だったと思われる古典時代の日本。その時代ならではの時の流れに対する人々の感覚や思い、またそれ側した生活習慣…普段触れる事のないそうした古典時代の日本に思いを馳せることで、普段我々が見過ごしている季節や時の流れに通底する何かを気づかせてくれる機縁になるのではないかという気がする。個人的にとりわけ驚かされがのが、日本の至る所に古文書など紙に記された歴史的文献が多く残されていること。これは世界的にみてもかなり稀では?
読了日:03月28日 著者:田中 貴子
https://bookmeter.com/books/20538972

■続・日本の歴史をよみなおす (ちくまプリマーブックス)
本書が出て早三十年近く。今読んでも、かなり衝撃的な事実が並ぶその内容だが、果たしてここで指摘されていることが、今日どれまで浸透し、日本史の教科書に反映されているのか?というのが気になる。恐らく多くの人にとってとりわけ衝撃的だったのは、ともすれば侮蔑的なニュアンスが含まれていると思われがちな「百姓」という言葉には、多様かつ豊穣な内容が込められているという事実。しかし、現実には未だに百姓という言葉が肯定的に使われているとは言い難い。この辺り、日本史学会的には、今日どう受け止められているのかが非常に気になる。
読了日:03月25日 著者:網野 善彦
https://bookmeter.com/books/420422

■橋本治のかけこみ人生相談 (幻冬舎文庫)
個人的には、「人に相談したって、結局問題は解決しない」と思っているので、この手の人生相談に投稿しようと思ったことはないが、でも読むのは割に好きだ(笑)。ということで、読んでみたけれど、著者がしばしば指摘するように、相談者の質問文の内容が低レベルなものが多いのが気になる。たまには相談者を唸らせるような名文の質問文があってもよさそうなものなのに…とつい無いものねだりをしてしまう。後、相談者の女性の割合が多いのも、何だかな…感が拭えない。やはり男性は人に相談するのは恥だ…的な発想が根強いということなのか…
読了日:03月23日 著者:橋本 治
https://bookmeter.com/books/13333988

■パウル・ツェランと中国の天使
本編は一三〇頁程、文体は簡潔で、サクサク読み進めることができるかと思いきや、想定外の難物。とにかくストーリーらしきものが全く見当たらず、殆ど脈略が無いとしか思えない文章が延々と続くものだから、正直読み進めるのが辛かった…ただ、本書の主題でもあるパウル・ツェランの生涯と作品について多少なりとも知ることができたのは、有益であったけど。また、改めて読み直したら、新たな発見や楽しみ方があるのかもしれないが、当分、本書を手に取る気にはなれそうにない(笑)。それとコロナに時代の転換期の意味があるという記述が重たい。
読了日:03月21日 著者:多和田 葉子
https://bookmeter.com/books/20418694

■幕間 (平凡社ライブラリー)
再読では読み込み不足を感じられたため、再々読。さすがに前回より理解度と味わい深さは増したものの、それでもなお自分の理解度の浅さに思わず赤面した次第(苦笑)。初読の時は、今一つ引っかかりのない平坦な内容を感じたのは、一体何だったのか?と思うくらいに、様々な仕掛けや、登場人物の繊細な心情の機微が描かれているのに、改めて感服。そしてこれが第二次大戦開始時に書かれ、その影響がそこかしこに微妙な形で現れていること、そして本作を完成させた直後に著者が自ら命を絶ったという事実の重さについて考えさせられる。要再読。
読了日:03月20日 著者:ヴァージニア・ウルフ
https://bookmeter.com/books/15099663

■笑犬楼vs.偽伯爵
筒井と蓮實が面識を持ったのが、ごく最近だったということに驚き。しかも、その二人の対談の主題がいみじくも今月亡くなった大江についてというのだから…その対談を読んでいて、これは大江の訃報を受けてのものとつい錯覚してしまった。ほぼ同年代でありながら、その精神的文化的背景には大きな開きがありつつも、同時に時折大きく交錯するのが非常に興味深い。とりわけ、二人とも演劇に深く関わっていたというのは、特筆に値する事実。そして当人達にとってはできることなら、触れずに済ませたかったであろう愛息の死について語るのが痛ましい。
読了日:03月20日 著者:筒井 康隆,蓮實 重彦
https://bookmeter.com/books/20399568

■不定形の思想 (河出文庫)
これが五十年以上前に出たものだという事実に、複雑な感慨を覚える。一見、前時代的で、今では悪き意味でのリベラル左派のレッテルを貼り付けられかねない言述も散見されるが、同時にこれが半世紀以上も前に書かれたものかと驚きを禁じ得ない鋭い知見も少なからず見受けられるのだから侮れない。個人的には哲学の専門用語について画期的とも言える提言をした「哲学の言葉」がとりわけ興味深かったか。哲学の専門用語を巡る状況が、この当時から一歩も進歩していないという事実に嘆息。また、「ヴァイキングの歴史」は続編を書いて欲しかったか。
読了日:03月18日 著者:鶴見 俊輔
https://bookmeter.com/books/20148731

■力と交換様式
恐らく著者の仕事の集大成的な著書になるはず。確かに読み応えはあり、興味深い内容で、少なからず刺激も受けたのだが、でもその結論が、極論すれば果報は寝て待て的なものというのは、なんだかな(笑)。また、文献の引用の仕方とその解釈もかなり強引さを覚えるし、同じ主張や事実の繰り返し読む人によっては、眉を顰めるのでは…とも思ってしまう。しかし、逆に言えば、それが著者の持ち味であり、その強引な語り口が読者を引き込む要因になっているのも確かではある。その概要はある程度掴めた気はするものの、未消化部分も多い。要再読。
読了日:03月16日 著者:柄谷 行人
https://bookmeter.com/books/20234105

■そして、みんなバカになった (河出新書)
著者が令和の日本を目にすることなく、平成の終わりに亡くなったことの意味を改めて考えたくなる。大人になる仕方、成熟とは何かを忘れたまま、ただ何となく年齢を経てきた人間た大勢を占める今の日本。本書はそれらについて指南している訳ではないが、ただ、その事実を指摘し、それがどういうことを齎しうるかを示唆しているだけでも、大きな意味があるように思う。恐らくそういうことを指摘できる最後の世代に属するだろうから。また、著者の仕事量とその特異なスタンスに改めて驚愕。彼の仕事の歴史的価値は今後検証されていかねばならない。
読了日:03月16日 著者:橋本治
https://bookmeter.com/books/15547888

■文学は予言する (新潮選書)
ともすれば、浮世離れした人が書いたり読んだりするもの(ちとオーバーか?)と思われがちな文学という表現形態。しかし、つぶさに目を注ぐと意外な程、社会とリアルに密接し、時に普段は見過ごされがちな領域までも顕に移しだすという事実に改めて驚愕。いみじくもロシアによるウクライナ侵攻が泥沼化し、中米の対立も深刻化する中、ここ何年かの間に夥しい程に書かれたディストピア小説を紐解くことで齎されるものは小さくないはず。そして、今だ二次的な存在として扱われがちな女性の立場を告発する小説による警告も今後一層重要さを増すはず。
読了日:03月14日 著者:鴻巣 友季子
https://bookmeter.com/books/20388411

■楽園のこちら側
叶わない願いだが、もう少しこの路線ー十代のから二十代の青春像ーーで作品を書いてもよかったのでは?ついそんな気にさせられた。類まれな美貌と知性を持ちながら、今一つその能力を有効に活かせず、自堕落な生活に埋没しがちな主人公エイモリーとその友人達が織りなす刹那的な生活。もちろん、そこに文学や芸術への熱き想いや丁々発止の議論や恋愛劇が絡む…そこに次作の『美しく〜』へと通ずるものもあるが、あそこまで八方塞がりではないところに本作の妙があると思うのだ。また、シナリオスタイルの会話文がその後活かされ無くなったのが残念。
読了日:03月12日 著者:スコット フィッツジェラルド
https://bookmeter.com/books/10774611

■幕間 (平凡社ライブラリー)
以前みすず書房版で読んだものを新訳で再読。以前読んだ時は、今一つ起伏に乏しい平坦な内容という印象だったのだけれど、今回読み返してみて、自分の読みの浅はかさに深く恥いった次第。人の心理の襞に深く入り込んだその繊細で緻密な描写、随所に古典文学のオマージュをさりげなく挿入するその拓跋なセンスなど、読みどころ満載。また、初読の際も今回も全く認識できなかった同性愛的要素など、更なる謎かけ要素も含まれているのだから、恐れ入るという他はない。そして何より、迫り来る世界大戦への恐怖が、今日となっては、非常にリアルに映る。
読了日:03月10日 著者:ヴァージニア・ウルフ
https://bookmeter.com/books/15099663

■カート・ヴォネガット全短篇 3 夢の家
五百数十頁という大部でかなりお腹一杯に(笑)。単にヴォリュームという点だけでなく、内容も多彩。個人的には手塚治虫が描きそうな独裁政治の恐怖を描いた「エド・ルービー〜」がとりわけ心に突き刺さったか。八方塞がり状態からの主人公の逃亡劇。度重なる困難と最後のどんでん返しのハッピーエンド。数十頁程の掌編でありながら、長編小説に匹敵するくらいの凝縮された内容。この辺りは、著者の真骨頂と言えるかもしれない。この作品といい「サンタクロース〜」といい、著者は常に虐げられたものの側の視点に立ってるのでは?と思わされた。
読了日:03月07日 著者:カート ヴォネガット
https://bookmeter.com/books/13352034

■最後の大君 (単行本)
この作品が完成していたら…未完の作品を読むもどかしさと楽しみは、その完成形という見果てぬ夢を見るところにあるということを改めて思った。まず語り手が女性であることに驚かされる。これは著者の作品ではかなり異例なことではないか?しかも、その語り手が知り得ないはずの情報まで語ってしまうというのは、モノローグ形式の小説ではありがちなことではあるとはいえ、本作ではそのことがもたらす違和感が悪い意味で際立っているように思えるのは僕だけか?幾分食い足りなさ、読み込みの浅さを覚える。読み返すことによって味わいが深まるか。
読了日:03月06日 著者:スコット・フィッツジェラルド
https://bookmeter.com/books/19277790

■マルメロ草紙 -edition courante-
大正ロマン、夢二、中原淳一、『それいゆ』の世界か…ってよう知らんけど(笑)。とにかく著者としては珍しく外国(フランス)を舞台して、多くの単語にカタカナ表記のフランス語のルビが振ってあるのが、何ともそれ(?)ぽい。他の人も述べているように、かなり耽美的な空気が濃厚なのだが、それでも終盤にスターリン独裁下の過酷な状況や、この物語の聞き手である日本人女性のシビアな現実が語られているのが、一筋縄ではいかないところ。改めて著者の才能の多彩さに恐れ入る。これが最初限定150部しか出なかったのは惜しい。隠れた佳作。
読了日:03月04日 著者:橋本 治
https://bookmeter.com/books/18895139

■美しく呪われた人たち
五百頁近くにも渡って、自堕落と没落の話が延々と続くのに、かなりうんざり(苦笑)。西村賢太みたいに、短編とか中編くらいのヴォリュームで収めてくれれば、もう少し楽しめるのだが、ここまで陰鬱な描写が続くと、お腹一杯を通り越して、胸焼け状態…それでも読み進めてしまうのは、やはり著者特有の魅惑的な文体に惹かれてしまうためか…それにしても、いわゆるダメンズを描いた小説でも、多少は頑張りを見せたり光ったりする場面があるものだが、本書は本当にひたすらダメぶりを発揮するだけというのが、ある意味妙か。まさかのラストにアレ!!
読了日:03月02日 著者:F.スコット フィッツジェラルド
https://bookmeter.com/books/13701382

■高橋源一郎の飛ぶ教室: はじまりのことば (岩波新書 新赤版 1948)
著者がパーソナリティーを務めるラジオ番組のオープニングトークを活字化したもの…ということで一気読み。これまでにも著者の生い立ちは、エッセイなどで細切れに語られてきたが、本書ではいつになく詳細に語っているのが、印象的。ラジオという媒体がそうさせるのだろうか?中でもとりわけ心に響いたのが、両親のエピソード。画家を志した父親。女優を目指した母親。しかし、二人ともその夢を断念せざるを得ず、しかし、現実とはうまく折り合えず、夫婦仲も芳しい者ではなかったというのが、何とも切ない。後、著者の子供の成長の速さに驚き…
読了日:03月01日 著者:高橋 源一郎
https://bookmeter.com/books/20361872


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