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2023年03月24日07:39

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「人つくり」

 親と子、教師と生徒、上司と部下、監督と選手、親方と弟子いろんな間柄で「人を育てたり、鍛えたり」します。「侍ジャパン」の栗山監督は年も離れた若者の中でご自分よりも実績のある選手たちをうまくまとめて、力を実力以上に発揮させて、「世界制覇」させてしまうところはすごいと思います。選手の実力を見極めて、的確に必要な場面にピースをはめていく。そうして選手が思い切り力を発揮して、最大の効果をつかみ取る。ピリピリせず、悠揚迫らず、眺めている。スランプ気味の村上選手を信じて最後まで使い続けることでここ一番大事な場面で大きな仕事をさせる。

 インタビューで自分の作戦を「自慢」するのを聞いたことがない。何時も選手をほめちぎる。栗山監督は現役のころ、今の選手に比べれば、そんな大きな実績があったわけでもない。それでも選手たちは嬉々として自分の仕事を成し遂げていく。選手からも機構からも栗山監督の批判を聞いたことがない。そうして大谷選手に決勝戦を前にして「明日は大リーグに対して抱いてきた憧れを忘れて、力いっぱい戦おうではないか」と言わしめて、死に物狂いの戦いをして、優勝をもぎ取った。そのあとはまるで甲子園の優勝のように、選手たちははしゃぎ、歓喜の胴上げに浸った。

 昨日の夕刊に宮大工の小川三夫氏の「私のリーダー論」という記事が目に入りました。奈良の薬師寺などを建立なさられた方だそうですが、宮大工になりたいという動機は「高校の修学旅行で法隆寺を見た時が原点です。今のような大工道具がない飛鳥時代にどうやって材料を運び、組み立てたのか、体一つであれだけの仕事をした根性に感服をしました。どうやって作ったのかは今でも思いつきません。大変な知恵を働かせたはずです。工夫しなかったらできません。これが出来れば他のことはなんだってできる、と高校生ながら思いました」。

 僕も修学旅行で法隆寺に行きましたが、「世界一古い木造建築で、お札の図柄になっている歴史的建造物なんだ」と思っただけで、東大寺大仏殿や唐招提寺や薬師寺などのお寺の一種だと思っただけでした。それを見て、自分が作ってやろうなどとは思いもしませんでした。それで、どうやってその技術を身に着けたかというと、「西岡常一棟梁から手取り足取り教わったことは一度もありません。ただ一度「カンナ」を引いて見せカンナくずはこんなものだと言われたことがあっただけです。私はそのカンナくずを部屋の窓に貼り、それを自分でも同じく出せるように刃物を研ぎ、修行しました」。

 「人を『育てる』というのは大きな間違いです。必要なのは「育つ環境を作る」ということだけ。上に立つものは自分の仕事を見せつけ、弟子からああなりたいと思わせることです。人によっては「こうやってやれ」「俺はこうやるんだ」と教えることがありますが、そうすると反発が起きる。教えるのではなく、うまく理解させていくのがリーダーに必要ではないでしょうか」。戦時中の教えに「指揮官先頭」という言葉があって、部下に命令するだけではなく、「言うて聞かせてして見せて、できたところをほめてやる」ことを基本としていました。しかし現代社会は「結果」を急ぎますから、じっくり育てる余裕がなく、つい「指示」「命令」「叱責」に走ってしまいます。

 「未踏に挑むからこそ、そこに知恵が生まれます。力のある人は力でものを動かそうとするので、力以上のものを動かすことはできません。力のない人はそこで知恵を働かせ、工夫をするから力以上のものを動かすことが出来るようになります。私はそのことの方が大切だと思います。飛鳥時代には材木を山から、切り出して現場まで運ぶだけでも大変なことで、多くの知恵を働かさなければできませんでした」。「木は一本一本、密度も節の位置もばらばらで、みな不ぞろいです。積み上げたり組んだりすることが大変です。鵤工舎の若い弟子たちも入社した時は不揃いでバラバラです。それを一つにまとめ上げます」。

 材木はモノを言いません。ごつごつした人材をフロリダまで運んで、未経験な相手との試合を組み立てた栗山監督の選手を開花させた「栗山マジック」にも宮大工以上の「知恵と工夫」がかくされていたのでしょう。中には思い通りにいかず、腹の立つ場面もあったでしょう。でも一度も叱ったり怒鳴ったりした場面は見かけませんでした。選手たちはのびのびと戦って「世界一」になりました。日本中に「現代の大和魂=侍ジャパン」をさわやかに見せてくれました。私たちも「栗山ジャパン」に学んで「子育て」や「先生と生徒」「選手と監督」「部下指導」などに大いに生かしていきたいものです。 
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