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2023年02月27日00:39

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落語覚書/第36回 亀戸寄席「金原亭馬治独演会」

令和5年2月25日(土)17時半開演 亀戸香取神社

 三遊亭二之吉「十徳」
 金原亭馬治「真田小僧」
 金原亭馬治「棒鱈」
 仲入り
 金原亭馬治「百年目」

●三遊亭二之吉「十徳」
「吉窓師匠の一番弟子、一番なのに二之吉です。落語界の『ニノ』と呼ばれてます。」
つかみはまぁまぁ。まだ前座だそうだが、今日は軽くマクラをやるようで、若干緊張気味。いつも噺家さんのマクラを「温めてるねー」なんて見てるけど、お客をほぐすのって大変なんだね。二之吉くんは覚えたことを想い出しながら再生してるようで、ドキドキした。「十徳」は前座噺ではポピュラーなネタだと思うけど、最近聴いたことがなかったなぁ、学生時代に覚えたような気がするけど、こんな噺だったっけ?もう少し単純なくすぐりが一杯な噺だった気がしたけど。気がつけば拳をギュッとしてた。。

●金原亭馬治「真田小僧」
さて、聴きたいと思いながら、恥ずかしながら本日が初めての馬治。「待ってました!」見た目も話し方も割と地味目な感じ。坊主頭の前髪がふわっと遊ばせているような、切り忘れたような。二之吉くんと比べるのは失礼だけど、やっぱ真打の安心感。亀戸寄席を軽く持ち上げて→落語のはじまりの話→弟子と師匠の関係→自分の親とのエピソード→学校寄席→で、小児は真白き糸のよう→落語の定番小噺→真田小僧…ってな感じで、お手本のように自然に噺に入ってゆく。落語っぽ〜い♪変にくすぐりを入れた爆笑を狙うことなく、コンスタントに笑いを重ねてゆく落ち着いた芸でした。

●金原亭馬治「棒鱈」
そのままの二席目。
新婚時代は会場からも近い押上のマンションに住んでいて、亀戸でばっかり呑んでいたという。呑んで歩いて帰るとゆっくりと醒めてゆくのがちょうどよかったとか。酒の失敗は滅多にないが、浅草「神谷バー」で呑んだ電気ブランだけはいけないと、その時の失敗談。多少の脚色はあるのだろうが、今だったらちょっとした事件になってもおかしくない話。からの「棒鱈」。
ここに出てくる田舎侍が、落語の中でも五本指に入ろうかという怪人物!とにかく方言がどこの言葉か皆目検討もつかない。一説によると薩摩侍だとか。「赤ベロベロの醤油漬け」→マグロの刺身、「エボエボ坊主のそっぱ漬け」→タコの三杯酢、とか。名曲「百舌鳥(もず)のくちばし」に「12月の歌」などなど。意外と馬治の喉が聴かせることもわかった!

●金原亭馬治「百年目」
ほぼマクラもなく噺に入ったので、大きめの噺かしら?と思ったら「百年目」。江戸落語でやってる人をあまり見たことがないかも。上方では米朝なんかがたまに演ってた大ネタのイメージが。上方だとハメモノも楽しいけど、演るとなると大変だろうなぁ…と。

すーっと噺に入り込んでいると、大旦那に醜態を見られた治兵衛が頭を抱えているシーンで、ハプニング。何やら後ろの方がザワザワし出して、パタパタと会場後ろに移動する気配が。馬治も一瞬気にする様子だったが、また噺に集中する。張り詰めていた噺の歯車がちょっとだけズレた感じがした。。サゲが来て満場の拍手の中、それをゆっくり収める仕草の馬治。何か話そうとしている。後方に向かって「大丈夫ですか?」と気遣うそぶり。どうやら年配客の一人が倒れていたようで。振り向いても見えなかったが、高座からは見えていたのだろう。そうだったのか。不可抗力とは言え、ちょっとかわいそうだったなぁ。

ゆっくりと羽織をはおって高座を後にする馬治に、惜しみない拍手が贈られた。
一見地味に見える噺も、ちゃんと演じるのは並大抵ではない。
「素直に演じて面白い」が実は難しい。…と当日のチラシで広瀬和生も語っていたし。
流石、馬派の系譜を引く馬治師匠だなぁと感じるプログラムでした。


次回は、6月24日(土)久々の入船亭扇辰師匠だ!!
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