1月3日、火曜日、昼過ぎ。
香港産長編ドキュメンタリー映画『理大囲城』に続いて2作品を鑑賞。
ずっと前から楽しみにしていた【生誕80周年記念 クロード・ミレール映画祭】から『なまいきシャルロット HDリマスター版』と『勾留 HDリマスター版』を。
クロード・ミレール。ロベール・ブレッソン、ジャン=リュック・ゴダール、ジャック・ドゥミ、フランワ・トリュフォーらの作品に助監督や製作主任として就いた後、34歳で監督デビューを果たす。以降、<ヌーヴェルヴァーグの正統的後継者>と呼ばれ、長編&短編併せて22作品を世に放った。2012年、70歳で永眠。
●『なまいきシャルロット』
場内は7割程度の入り。良く入っていた。
1985年製作作品。原題は『L'Effrontée(生意気な娘)』。これの邦題を『なまいきシャルロット』としたセンスの冴え!
【夏のバカンスに沸く7月のパリ。13歳の少女シャルロット(シャルロット・ゲンズブール)は憂鬱な日々を過ごしていた。水泳の授業では飛び込みが出来ない。「気弱な子なのかな?」と思ったら、一方、家に帰った途端、父や家政婦、兄に当たり散らす。どうも、<思春期こじらせ女子>であるようだ。そんなある日、コンプレックスまみれのシャルロットは、街にやって来た同じ歳の天才ピアニストの少女と出会い、外の世界を夢見るが……】というスジ。
シャルロット・ゲンズブールは、本作で14歳でセザール賞の有望若手女優賞に輝いた。これは同映画賞の史上最年少記録である。また、家政婦を演じたベルナデット・ラフォンが同助演女優賞を獲得したほか、作品そのものもルイ・デリュック賞を得ている。
高校生の頃にレンタルビデオで一度観ているが、スクリーンでは初鑑賞。うーん! やっぱりスクリーンで観ると輝きが更に増すなあ。コレは紛うこと無き青春映画の秀作である!!
名手ドミニク・シャピュイによる撮影と、クロード・ミレール作品常連のアラン・ジョミイによる音楽も素晴らしい。
そして、なによりシャルロット・ゲンズブールが体現する少女像が良い! <可愛く不貞腐れ、背伸びをしつつ、それでもやっぱりまだ子どもで、繊細で……>という複雑な時期を見事に演じている。そこに見られる感情の揺らぎ、眩さ、そしてじれったさ。これはもう、クロード・ミレールの独壇場だ。新人を見出し、その才能を開花させる演出の妙! 地に足の着いた語り口! 瑞々しく端正な作品の佇まい! 実のところ、好みの女優では無いのだけれど、この作品の彼女は素晴らしい。また、シャルロットを慕う近所の病弱メガネっ娘を演じたジュリー・グレンも良い味。
どうせなら、同じシャルロット・ゲンズブール主演&主要スタッフを同じくする『小さな泥棒』も、本特集のラインナップに加えて欲しかったところ。
●『勾留 HDリマスター版』
1981年製作作品。
【舞台は大晦日の夜の警察署取調室。幼女連続レイプ殺人事件の重要参考人として容疑をかけられた公証人のマルティノ(ミシェル・セロー)。彼が犯人だと信じて疑わないアントワーヌ警部(リノ・ヴァンチュラ)は、マルティノを勾留して尋問を続ける。けれども、決定的な証拠が見つからない…… しかし、そこに公証人の妻(ロミー・シュナイダー)がやって来た。彼女はアントワーヌにこう告げる。「証拠なら有ります……」と。そして物語は思わぬ方向へ……】というスジ。
1981年度のセザール賞では主演男優賞(ミシェル・セロー)、助演男優賞(ギィ・マルシャン)、脚本賞、編集賞を、モントリオール世界映画祭では最優秀脚本賞を受賞した作品だが、日本では劇場公開されなかった。尚、国内版DVDがリリースされてはいるけれども、そのタイトルは『レイプ殺人事件』(再販時改題:『検察官 レイプ殺人事件』)である…… 酷い……(‐‐;)(←証拠にDVDソフトのジャケット画像を貼っときます……)
原作はジョン・ウェインライトによる犯罪小説。同原作は、2000年にハリウッド・リメイクされ、『アンダー・サスピション』の邦題で2003年に日本でも公開された。ジーン・ハックマン、モーガン・フリーマン、モニカ・ベルッチ、トーマス・ジェーンという豪華キャストだったけれど、コレは観なくて良いです。しょーもないから……
ほぼ取調室内で物語が進行する一種の密室劇。これはなかなかに面白い!! こういうのも撮れるんだ。幅が広いなあ、クロード・ミレールって。最後の展開に「……へ?」となる人も居るだろうけれど、そこはミステリアスなロミー・シュナイダーの貫禄勝ちというか、漂わせている妖気の濃さで、もう無理にでも納得しましょう、ハイ。伏線もきっちりと張ってあります、エエ。ミシェル・セローも良いけれど、個人的にはリノ・ヴァンチュラの渋さが素敵だったなあ。
おまけに、撮影が名匠、ブルーノ・ニュイッテン! 音楽が巨匠、ジョルジュ・ドルリュー!!
これで日本劇場未公開だったとは…… まあ、地味っちゃあ地味だけれども。でも、僕はかなり好きです、コレ。
上映後、場外に出たところで、顔馴染みのお姉さん(←マイミクさんの御友人)を発見っ♪ 新年の御挨拶。
MASA:「『勾留』観てたのー?」
お姉さん:「ううん。『勾留』は去年の内に観たー」
MASA:「面白かったよねー」
お姉さん:「うん。面白かったー。でも、アレって、結局はロミー・シュナイダーが○○を○○○○○ったって話よねー」
MASA:「そうそう。そこがエエねやんー。ところで、『銀河英雄伝説』は、まだ観てるのー?」
お姉さん:「観てるー。新作も旧作も映画館で掛かったら全部行ってるー。原作も全部読んだー。エラいの紹介してくれたわねー。お金が掛かってしゃあないわー♪」
MASA:「凄いなあ〜。僕、新作のシリーズは観てないー。ってか、『勾留』観たんだったら、なんで居るの?」
お姉さん:「次の、観るのー♪」
MASA:「ギョーム・ブラック監督の特集?」
お姉さん:「そうー♪」
MASA:[ギョーム・ブラックのって面白い?」
お姉さん:「んー…… 正直、あまり好きじゃないかなー……」
MASA:「……じゃあ、なんで観るの……?(苦笑)」
お姉さん:「他に観るのが無いからー。今日はね、どこそこでアレを観て、それからコレを観て、でもって今からソレを観るのー♪」(←年間鑑賞本数600本とか700本の人の凄み……)
MASA:「僕は東映の株主券で……」
お姉さん:「『スラダン』?」
MASA:「あ、あれは去年に観たー。今日は仮面ライダーを観てから、『理大囲城』を観て、『シャルロット』観て、ほんでから『勾留』ー♪」
お姉さん:「バラバラ、ね……」
MASA:「うー…… あー…… あ、ところで今月は下旬からアレが始まるじゃない? 【大映4K映画祭】。通うんでしょ、どうせ。だって……」
お姉さん:「雷蔵様がぁぁぁーーーーっ♪」
MASA:「やっぱり……(笑) でも、もう何回も観てるんじゃあないのー? 『薄桜記』とか『剣鬼』とか。あと、『大菩薩峠』とかでしょー」
お姉さん:「観るー! 雷蔵様がーーーーーっ♪」
MASA:「中島みゆきのとかは観ないの?」
お姉さん:「高いもん」
MASA:「じゃあ、【ゲキ×シネ】も観ないのね?」
お姉さん:「前の狐のヤツは面白かったー♪」(←観るのか、そうか^^;)
MASA:「『狐清明九尾狩』ね。アレ、面白かったよねー。最後、『もう終わりかなー?』と思ってたら、向井理が更にパワーアップしたキツネのバケモノになってー。って、もう開場したみたいよ。ほんじゃ、僕は今日はコレで帰るー。今年もよろしくですー」
お姉さん:「よろしくですー♪」
平和、である……(←しみじみ)
そこから駅に向かう道すがら、『宇奈とと』の看板を目にして、急に「あー、ウナギが食べたいー!」となったので入店。前日にYouTubeで視た『孤独のグルメ』の影響がモロに出た形。<うな丼+お新香+肝吸い>。店内に鳴り響いていたBGMがT.M.Revolutionの『HOT LIMIT』であった。真夏の歌じゃあないか……(^^;) ココは『WHITE BREATH』であろう、季節的には……
時計を見ると18時過ぎ。
数年振りに初詣でも行くかあ〜♪、となって、帰路計画を変更。乗り継いで南森町に出て大阪天満宮へ。三が日も最終日となると、<人の波>って程じゃあないなあ。いや、賑わってはいるけれども。それにしても、カップルとグループのはしゃぎっぷりが眩しいやら、羨ましいやら。10代・20代の頃は僕もあんなだったなあ。年末年始は十日戎まで引っ張って無茶苦茶にはしゃいでた記憶が有る。もう、あの頃のような元気なんて、無い……(←まあ、それが自然じゃろうて)
参詣を済ませて願い事をしてから帰り道。「ちょっと二駅分ぐらいはブラブラと歩いてみようかなあ〜」と思い、テクテクと天神橋筋六丁目方面へ。
あれ? まだ3日なのに古書店の『矢野書房』が開いてるぞ。なにか有るかなあ……?
相変わらずミステリ系に強いなあ。稀覯本が一杯有る。でも、そんなものは懐が許しはしない。あ! 『大島渚の世界』(朝日文庫:刊、佐藤忠男:著)が投げ売られている。コレ、読んでないわ。押さえとこう。デレク・ジャーマン監督の『ジュビリー』のパンフレットが100円だったけれど、コレは持ってたよなあ、確か。なのでスルー♪(←帰宅して確認したところ、やはり持っていた♪)
そして帰宅。
というわけで、2023年の映画初めでしたー。
以上ですー。
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