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2023年01月01日04:33

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12月の読書記録

久しぶりに7千ページ行ったのが嬉しい。ナイスの数は今ひとつだったけど…後先月は5百頁を超える本の割合が多かったかな。今年も頑張って本を読もう。

2022年12月の読書メーター
読んだ本の数:16冊
読んだページ数:7000ページ
ナイス数:179ナイス

https://bookmeter.com/users/4147/summary/monthly/2022/12
■感情教育(下) (古典新訳文庫)
主人公が一貫してダメンズぶり、学習能力の欠落ぶりを発揮するのに瞠目(笑)。それと同時に八百年代のフランスがいかに激動の時代だったかを改めて痛感。このあたりはマルクスの『ブリュメール〜』を読み返す必要があるかも。その激動の時代に翻弄される登場人物たち。その多くは夢に敗れてしまう姿に人生の半ばを過ぎてしまった者としては深く感じ入るばかり。長いこと思い焦がれていたアルヌー夫人との再会と別離。時に仲違いをしながらも、結局離れられずにいた盟友デローリエと交わした回想。全てが儚く悲しく、そしてこの上なく美しい。
読了日:12月31日 著者:フローベール
https://bookmeter.com/books/9042776

■感情教育(上) (古典新訳文庫)
約20年ぶりに新訳にて再読。意外にというか、初読の時とそれ程印象が変わっていないというのが正直なところ(笑)。とにかく主人公フレデリックの優柔不断さと放縦で無計画な生活ぶりにイライラさせられることしきり。また、主人公だけでなく、殆どの男性の登場人物が多かれ少なかれクズ的要素を孕んでいるのは、ある意味リアルか。また、人間の価値が経済力で測られる傾向があるという世相は、後の資本主義へと至る萌芽が認められるような気がする。それから、民主主義や自由が、決して最初から自明のものとされていなかったという事実を再認識。
読了日:12月29日 著者:フローベール
https://bookmeter.com/books/8341501

■法王庁の抜け穴 (光文社古典新訳文庫 Aシ)
こんなにサクサク読み進めてしまえる作品だったのか!以前別の訳で読もうとしたが、20頁程で挫折。しかし、本書はほぼ一気読み。解説にもあるように、何かにつけシリアスというイメージがあるジッドがこれ程手に汗握る冒険活劇を描いていたとはかなり驚き。もちろん、ただの冒険活劇というわけでなく、様々な風刺や当時の社会問題が織り込まれているのが肝。思わぬところで思わぬ人同士が結びついたり、すれ違ったりするのが、殆ど都合主義ではなく、自然に描かれているのに驚き。個人的にアメデがあのような最後を迎えるのが、あまりに不憫…
読了日:12月28日 著者:ジッド
https://bookmeter.com/books/19196691

■マイノリティ・リポート―ディック作品集 (ハヤカワ文庫SF)
先に読んだ、『電気羊』に比べると、ややユーモアの要素が強いか。その傾向がとりわけ強いのが「水蜘蛛計画」。熱心なSFファンだったら、頻出する著名な作家の名前に思わずニンマリするに違いない。それに遠い未来でSF作家が預言者であり科学者と見做されるというのが、何とも言えずおかしい。また、短編集ではあるが、作品同士、若干重なる要素があり、それを見出す喜びもある。最も手に汗握らせられたのは、やはり表題作か。どんでん返しにつぐどんでん返し。味方と敵が判然としないままに逃避行を強いられる主人公の動向に瞠目すること必至。
読了日:12月26日 著者:フィリップ・K. ディック
https://bookmeter.com/books/555127

■笑いと忘却の書 (集英社文庫)
興味深く読めたが、当時の東欧の政治事情が深く絡んでいるのと、短編集でありながら、連作という性格を持つ上、著者自身をモデルとした語り手が作品に登場するというかなり複雑な要素を孕んでいるため、一読しただけではかなりの未消化感が残るというのが正直なところ。それでも各短編それぞれに味わい深いのも確か。とりわけ印象的だったのは、「リートスト」か。重要な単語でありながら、なおかつ外国語に翻訳しにくい「リーストスト」という単語。その単語を基調にしてやや複雑なストーリーで読者は半ばケムに巻かれた気分に。それが魅力。
読了日:12月24日 著者:ミラン・クンデラ
https://bookmeter.com/books/7540460

■地下鉄のザジ-新版 (中公文庫 ク 1-2)
一見、ごく単純なドタバタ喜劇だが、綿密に駆使した言葉遊びや説明の省略、一読しただけでは見抜けない登場人物の設定(これはこちらの読みが浅いだけかも)など、かなり侮れない代物。もちろん、大人たちを手玉にとり、悪口のかぎりを尽くす奔放なザジの言動を楽しむだけというのも大いにあり。それでも、それはザジ自身も身勝手な大人の犠牲になっているという要素もあるわけで、その辺りは一考に値するか。イメージ的には映画そのままだが、ストーリーはかなり違っていなような…ということで映画も見直したい。後、一部訳語に変更があるような…
読了日:12月22日 著者:レーモン・クノー
https://bookmeter.com/books/18506376

■アンドロイドは電気羊の夢を見るか? (ハヤカワ文庫 SF (229))
兼ねてから気になっていたタイトルの意味。「ああ、こういうことだったのか」と納得。限りなく人間に近い人造人間というのは、ある意味昔からあるSFのテーマではある(『未来のイヴ』が嚆矢か?)が、その殆どが独特の切なさを湛えているということを再認識(カズオイシグロの『わたしを〜』はその真骨頂か)。しかもそこに荒廃した世界を舞台にしたディストピア小説の要素が含まれているのがミソか。後半、二転三転する主人公ディックの心理描写が印象的。とりわけレイチェルとのごく短い邂逅が印象的。そして彼女が最後に取った行動が意味深。
読了日:12月21日 著者:フィリップ・K・ディック
https://bookmeter.com/books/577666

■ステパンチコヴォ村とその住人たち (光文社古典新訳文庫 K-Aト 1-24)
内容はおろか、タイトルさえ殆ど馴染みがない作品。いざ読み始めてみると、色々な意味で「ドストエフスキーってこんな小説を書いていたのか?!」と声を上げたくなる。バフチンがいうところのカーニバル的要素が充満した作品というべきか。作品の主要人物の殆どが道化的要素を持つ異色の作品。それでも後の作品への系譜的要素も少なからずあるのがミソ。元々道化的存在であったフォマーが尊大で傲慢な人間に豹変し、語り手のオジをさんざん愚弄し、それに対しひたすら憐れみを乞うオジを描いた場面の連続にひたすら苛々。しかし終盤の展開に驚愕…
読了日:12月19日 著者:ドストエフスキー
https://bookmeter.com/books/20126749

■保守とは何か (文春学藝ライブラリー)
もっと早くに著者の文章に触れておけばよかったと後悔することしきり。特に有名な「一匹と〜」は今読んでも…というか、今だからこその重い問題を投げかけていると思う。また、それだけでなく民主主義や平和主義など、左翼リベラルにとっては前提とされているような言葉への鋭い否に対して、これまで何ら有効な反論がされてこなかったというところに、今日の彼らの衰退や一般性を勝ち得ていない要素があると思われる。また、左翼リベラルだけでなく国粋主義にもはっきりと否を唱えているのが、印象的。そのバランス感覚が仇になった気がする…
読了日:12月16日 著者:福田 恆存
https://bookmeter.com/books/7386958

■キャプテンサンダーボルト
これまで何となしスルーしてきたことを強く後悔。あまりにエンタメ要素強すぎ感が否めないが、逆にそういうものだとして素直に楽しむべきか。とにかく息をつかせぬスリリングな展開に、頁をめくる手が止まらない。いみじくも著者と同世代ということもあって、どこかノスタルジーや共感を覚えてしまうというのも大きいか。軽薄お調子者で失言も多いのだけれど、どこか憎めない相葉と、常に理性的で誠実だが、同時に不器用な井ノ原のいわば凸凹コンビの連携が絶妙。また脇を固める桃沢と名犬ポンセとの絡みも味わい深い。何より伏線の張り方が秀逸。
読了日:12月14日 著者:阿部 和重,伊坂 幸太郎
https://bookmeter.com/books/8616084

■旧約聖書がわかる本: 〈対話〉でひもとくその世界 (河出新書 055)
創世記から順を追って旧約を解説したものと思いきや、テーマに沿ってテキストを選び解説していくというかなりユニークな旧約入門書。しかも、引用されているのが、従来の新共同訳ではなく、著者の一人並木氏による独自の解釈が入ったもの。また、その解説も、相方が小説家奥泉光氏ということで、形にとらわれないユニークなものになっている。僕自身、これまでそれなりに旧約を読み込んできたという自負があるが、ここまで深読みできるものか?ということに驚き。特に白眉と言えるのは、やはりヨブ記を扱った最終部。これだけでも読む価値ありかも。
読了日:12月11日 著者:並木 浩一,奥泉 光
https://bookmeter.com/books/20034365

■教育鼎談
何かにつけ否定的な評価を下されやすい「ゆとり教育」が実は子供の多様性を確保する画期的な試みだったという事実に驚き。また、日教組や左翼リベラルが、そうした新たな試みにダメ出しをしてきたという事実は、重く受け止めるべき。それはともかくとして、日本の教育には今も戦前の軍国主義教育が強く根付いていると感じてきたが、そのことを改めて痛感。今も体育教師が幅を利かせていたり、部活動における勝利至上主義が蔓延っているという事実からしても明らか。第二次安倍政権以降著しい右傾化の中で、教育の多様性確保の可能性はいかに…
読了日:12月10日 著者:内田 樹,寺脇 研,前川喜平
https://bookmeter.com/books/19507759

■なぜ古典を読むのか (河出文庫)
それなりに興味深く読めたけれど、殆ど知らない作品や作家が多く取り上げられているためか、今一つハマらなかったというのが正直なところ。また、タイトルに「古典」と冠してはいながらも、古典と言えるかどうか疑わしい作品もいくつか目についたし。そんな中でも、個人的にとりわけ興味が惹かれたのは、解説でも言及されていたヘミングウエイか。米文学の巨匠的な扱いを受けながらも、意外と今日顧みられていない感があるし。それから、西欧では高い知名度があっても、日本では殆ど知られていない作家がいるという文化的落差に改めて驚かされた。
読了日:12月09日 著者:イタロ・カルヴィーノ
https://bookmeter.com/books/4727955

■テクストから遠く離れて (講談社文芸文庫)
「隠喩」や「換喩」といった基本的なタームをちゃんと理解しないまま読み進めたという体たらく。とりあえず、作者不在のテキスト論に対して、著者なりのスタンスを示したものと理解したがどうか?解説で高橋源一郎が示唆している通り、本書はかなり難解な部類に入るが、徒らに難解なロジックを弄んでいるのではなく、著者なりに当時の現代文学と深く対峙した上で、このようなテキストの紡ぎ出したのだと思う。個人的には『海辺のカフカ』の読解がとりわけ興味深かったか。中条章平による『カフカ』への辛辣な批評が印象的。その評価は変わったか?
読了日:12月06日 著者:加藤 典洋
https://bookmeter.com/books/15633829

■幸福について (光文社古典新訳文庫)
このタイトル通り、幸福についての定義が得られかどうか疑わしいというのが正直なところ。かなり偏見や極論が目に付くのは否めないし、知性偏重や俗世間への強い蔑視も気になる。ただ、一読しただけではあまりに未消化部分が多い、含蓄に富んだテキストだという実感もある。人生の折り返し地点をとうに過ぎたものにとっては年齢について語った最終章がとりわけ心に沁みる。また、古典作品を取り上げながら、自分の意見を述べるというスタイルはモンティーニュの『エセー』を思わせるが、その『エセー』からの引用がないのが、ちょっと気になった。
読了日:12月04日 著者:アルトゥール ショーペンハウアー
https://bookmeter.com/books/12595430

■独学大全 絶対に「学ぶこと」をあきらめたくない人のための55の技法
よくこんな本が売れたな…というのが正直なところ。別に本書を馬鹿にしているわけではない。知的好奇心を抱き、何かを学びたいという気持ちはそれなりに普遍的なものである。しかし、本書に記述しているレベルまで「学び」を極めようとする人は結局のところ、いわゆるアカデミズム界隈に限定され、市井に生きる殆どの人に取ってはほぼ無縁の領域に属するのではないか?一方で、もともと本を読むのが苦手と自認していた著者が、ここまで膨大な書籍を読み込み、このような独学手引き書を上梓したという事実に驚愕。ある種の天才なのだと思うが。
読了日:12月01日 著者:読書猿
https://bookmeter.com/books/16354922


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