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2022年12月31日15:19

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ある男

カチンコある男
 平野啓一郎の同名ベスト・セラーを映画化。監督は石川慶。
 文房具店で働く里枝(安藤サクラ)。離婚して子どもを連れて故郷の実家に帰ってきていた。そこに度々現れる大祐(窪田正孝)。絵を描くのが好きで、色鉛筆などを買っていく。最近この土地にやって来た彼は、何でも有名な老舗旅館の息子とか。里枝と大祐は次第に親密になり結婚、二人の子どもも生まれ幸せな日々を過ごしていた。しかし、ある日、大祐は事故で突然亡くなってしまう。一周忌を迎え、納骨のこともあり大祐の実家に連絡すると兄がやってくるが、仏壇の遺影を見て「大祐じゃない」と驚きの発言。大祐の正体は誰なのか。里枝は、離婚の時世話になった弁護士・城戸(妻夫木聡)に大祐の身元調査を依頼する···。
 城戸が調査する中で、様々な人と関わって、自分の存在を消したい、別な人生を行きたい、という人々がいることが分かってくる。城戸は在日三世なので、差別的な世間に対して心の奥底に怒りを感じており、城戸もまた別人として生きてみたい気持ちを持っているような感じで。1度でも社会から脱落したり罪を犯したりしたら最後、本人だけじゃなく家族までいつまでも汚名を着せられたりバッシングを受けさせられるような社会。それもまた差別。そんな社会に対する訴えも感じました。大祐の生い立ちとか、名前を売った人の事情とか、色々あるんだなぁと興味深く···。特に大祐は気の毒で辛かったです。短くても里枝との生活が一番幸せで、そんな時間があったことが救いかな···。
城戸の複雑な心情を妻夫木聡さんが鬼気迫る演技で体現されていて良かったです。ルネ・マグリットの「複製禁止」という二人の同じ男の後ろ姿の絵が出てくるのですが、顔が見えないけどそっくりな後ろ姿の男は象徴的。ラストも、こう来たか、と思って!面白かったです!
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