侍ツアー90分基本マニュアル
※60分は座礼と歩行を省く
〇準備(ツアー1時間前に本陣入り)
・着替え、照明調整、ツアーで使う道具準備(刀の確認/棒手裏剣など)、衣装準備(作務衣※上着のみ/袴/帯
・通訳がお客様を迎えに行ったら道場内の蛍光灯を消し、薄暗くする
・通訳が錫杖を鳴らした回数と同じだけ太鼓を叩く(準備がまだなら1回だけ叩く)
・太鼓を叩いたら床の間に向かって座って待つ(お客様に背を向けた状態となる)
〇オープンニング
師範:正面を向き座る(お客様、通司はしょうぎに座る)
通訳:号令「黙想・開目・正面に礼」
師範:客先を向く
通訳:号令「黙想・開目・師範に礼」
師範:ようこそお越し頂きました。師範の〇〇です。
これよりこの場を清めるために九字切りをおこないます。
皆さんは心を静めてお待ちください。
★九字切り
続きまして先祖に捧げる演武を行います。
★演武
(演武終了後)
ありがとうございました。
それではこれから着替えていただきます。どうぞお立ちください。
・蛍光灯をつける
〇着替え
・通訳と一緒にお客様の着替えをサポートする
〇刀の説明
・侍の最重要事項(最後か最初):刀は侍の魂、大切に扱う
・侍の最重要事項(最後か最初):小太刀は位の高い侍しか持てなかった
・刀の部分名称と役割の説明
・握るところを柄(つか)というhandle
・鍔(つば)はハンドガード handguard
・鞘(さや)は刀のホルダー scabbard, sheath
・紐は下げ緒(さげお)cordといい、刀を腰に差した際に落ちないようにするためや敵を捕まえた時、捕縛したり止血に使ったり、木と木に結び付けて着物をかけ簡易テントにしたりといろいろな使い方をする
・下げ緒を通す部分を栗型(くりがた)といい下げ緒を通す他に、栗型が外側に向くように帯刀することによって正しく帯刀をすることができる目安となる
・刀身の説明(刀を抜く)※刀身に触らない、息を吹きかけないこと
・日本刀は西洋の刀と違い、片方にしか刃がついていない
・刃がない部分を峰(みね)backという(峰打ちはここでする)
・先端を切っ先(きっさき)という
・切っ先から上1/3を物打ち(ものうち)といい、ここで斬る
・逆に刀身の下1/3の部分でガードする(鍔迫り合いはここでする)
・刀身に入っている溝は樋(ひ)といい、刀を正しく振ると切っ先音がする
・実際にやってみせる(切っ先音を聴かせる)
・最初は腕の力を使った間違えた振り方
・次に刀の重さと体重移動を使った正しい振り方
・刀身の下の金具を巾木(はばき)という(ここで刀身を挟んでいる)
・柄に刺さっている小さな木の杭を目釘(めくぎ)pegといい、これだけで刀身は止まっている(目釘を抜くと簡単に刀身が抜ける)
・目釘だけで止めることにより切った時の衝撃を吸収する(しっかり止めると刀が折れる)
・柄の金属部品を目貫(めぬき)ornamentといい、刀を握る際には右手でこの金具を隠すように握る(握ったとき鍔と右手の間に少し隙間が開くのが正しい)
・柄の白い部分は滑り止めとしてやエイの皮が使われている
・お客様に刀を持たせる
・注意事項を伝える(三つ)
・刀身には触らない(刀身は侍の魂である)
・息を吹きかけない(刀身を顔の前に持っていかない)
・刀を渡す時刃先を相手に向けない(相手を攻撃するという意味がある)
・(渡したら)この刀は稽古用の刃のない刀だが長さも重さも刃があるものと全く同じである
・(一通り見たらお客様から太刀を受け取り)小太刀の説明
・小太刀は太刀と作りは一緒(樋が入っていないだけ)
・先ほど言った通り、小太刀は位の高い侍しか持てなかった
・太刀はお城に入ったり、将軍に会うときには預けなければならなかった
・小太刀は預けなくてよかった
・護身のためと切腹(外国人にはハラキリの方が通じるかも)のために持っていた
・切腹は名誉ある死に方(位の高い侍しかできない)
・昔の日本人はお腹に魂があると考えていた
・侍の魂である刀でお腹の魂を解放することにより身の潔白を証明した
〇侍の礼法(座り方、正座の仕方、座礼の仕方(2種類)、立ち上がり方)
・座り方
・必ず左足の膝から床につく(座る途中で攻撃されても素早く小刀が抜ける)
・左膝→右膝の順で床につく
・着いたらかかとを立てた状態でお尻をかかとの上に置く
・お尻をかかとの上に置いたらかかとを下ろす
・足の裏は重ねない(重ねると敵に踏まれたとき立ち上がれない)
・座ったら袴をなるべく足元に寄せる(広がったままだと敵に踏まれて立ち上がれない)
・膝と膝の間をこぶし2〜3個分ほど開ける
・両手を太ももの付け根に指をそろえて置く
・この状態が正座の基本姿勢
・座礼の仕方(2種類)
・道場や将軍の前で使う座礼
・必ず最初に左手を床に置く(座礼中に攻撃されても素早く小刀が抜ける)
・左手→右手の順に床に手を置く
・指はそろえ、両手の親指と人差し指で三角形を作る
・その三角形に鼻を近づけるように深くおじきをする
・おじぎをしたら右手→左手の順に元に戻す
・侍同士の座礼
・床に手を置くところまでは同じ
・置いたら座礼する相手から目を離さずにおじぎする(深くおじぎしない)
・これは二つの意味がある
「相手の動きを観察する」
「相手に敬意を払っている(あなたは目を離せない(気が抜けない)ほどの強い相手であるという意味)」
・座礼したら手を元の位置に戻す
・立ち上がり方
・必ず右足から立ち上がる(立ち上がる途中で攻撃されても素早く小刀が抜ける)
・立ち上がったら右足を引いて両足をそろえる
〇侍の歩き方(なんば歩き)
・現代のように腰をひねって歩くと刀と手がぶつかる
・侍は右手と右足を同時に出して腰をひねらずに歩く
・実際には左手で刀をおさえ、右手は右腰近くに置いて少し腰を落として歩く
・なんば歩きは日本古来の歩き方で体重移動を使っているのでとても強い力が出る
・刀の斬り方も同じように体重移動を使って斬る
〇刀(太刀)の使い方
・刀は日本人にとって大事なもの&むやみに振り回さない
・刀礼
・左手:縦にして刃を自分に向けて左手で鞘下を持つ
・右手:甲側で鞘を支える
・刀を横にして目線の高さに上げ一礼(あげたまま体を使って一礼)
・右手を右腰に置き、刀を左腰に置く
・帯刀&抜刀
・左側に刃を上に帯刀
・右手をお祈りする形にして下から柄を支え、軽く握る
・円を描くように抜刀する
・上から柄を握ると刃が自分に向いてしまう
・構え
・相手の首元に切っ先を向ける
・右足を前に出し構える/右足の指先も敵に向ける
・力を入れて持たない
・力を入れると力強い相手にバランスを崩される
・力を抜くと刀を叩かれてもスプリングのようにもとに戻る
・実際に叩いて体験させる
・遠山の目付
・敵が斬りかかってきたとき相手の刀だけを目で追っていると反応が遅れる
・遠くの山を見るようにして敵の体全体を見る
・斬る
・構え→刀を上にあげる→左足を前に出す→右足を前に出すと同時に切る
・手の力は使わず刀の重さと体重移動(右ひざを曲げる)で切る
・体が倒れないように斬る
〇夕雲の型(刀の振り方の基本4つ)
・(納刀の状態から)相手の心臓を横から斬るように抜く(抜刀)
・腕の力は使わず刀の重さと体重移動(右ひざを曲げる)で斬る
・(上段の構え)刀を上にあげる→左足を前に出し足をクロスさせる→右足を前に出すと同時に斬る
・体は倒さず、まっすぐキープして斬る
・体だけターンして右斜め下から左斜め上に向けて斬る
・このとき右足も同時に一歩出す
・刀の刃を正面に向け、左斜め上から右斜め下に向けて斬る
・このとき左足を一歩出す
・刀は基本的に、ウエストをツイストせず体重移動で斬る
〇太刀受け流し(3パターンに分けてレクチャー)
◯(パターン1)避ける
・正眼(正面)の構え&刀を少し下ろし&相手に頭を狙わせる(上段に隙を作る)
・相手が頭を狙って斬ってきたら右斜め前に一歩入ってよける
・横によけると腹や足を切られる
◯(パターン2)受ける
・右斜めに避けると同時に刀で上段をガードする
・受けた相手の刀が自分の刀を滑るようにして受け流す&相手のバランスを崩す
・力を入れしっかり受けると力に負け斬られる
・力を抜き相手の力を水が板を流れるように受け流す
◯(パターン3)反撃する
・バランスを崩した相手の首を斬る
・左足で距離を調整して斬る
・刀礼
・左手:縦にして刃を自分に向けて左手で鞘下を持つ
・右手:甲側で鞘を支える
・刀を横にして目線の高さに上げ一礼(あげたまま体を使って一礼)
・刀を右手に持ち替えて、刀を右腰に置き、左手を左腰に置く
・刀を右側に置くのは「私は戦わないという(敵意はない)」という意味がある
〇棒手裏剣(小さな子など、刺すのが難しそうなら十字手裏剣でも良い)
・侍も手裏剣を使う
・持ち方の説明
・手のひらを平らにして人差し指と中指の間に棒手裏剣を置き、親指で押さえる
・指先から肘までが刀になったイメージをし、腕を高げ、まっすぐ振り下ろす
・膝&体重を使って投げる(腕の力は使わない)
・難しいので的(畳)の近くで打つ
〇エンディング
師範:正面に向かい立つ(お客様、通司は師範の後ろに横一列で並ぶ)
通訳:号令「正面に礼」
師範:客側を向く
通訳:号令「師範に礼」
師範:ありがとうございました。
◯お客様写真撮影
・最初はお客様のみ(お客様のカメラ使用)
・次に師範と一緒に撮る(お客様と通訳のカメラで二回撮る)
※通訳のカメラで撮るのは客数把握資料のため
・着替えのサポート・終了
・お客様を道場出入り口でお見送り
・終了
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