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2022年12月01日08:24

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11月の読書記録

先月は6千頁行かなかったけど、そこそこ読めたか。ナイスの数もそれなり。今年も残すところ後わずか。頑張って読もう。

2022年11月の読書メーター
読んだ本の数:15冊
読んだページ数:5293ページ
ナイス数:210ナイス

https://bookmeter.com/users/4147/summary/monthly/2022/11
■僕の樹には誰もいない
ああ、松村雄策はもうこの世にいないんだな…と改めて思わされた。一読して、かつて『アビー〜』や『岩石〜』に感じていたコクのようなものが薄れているように思えて、正直食い足りなさを覚える。しかし、自分の年齢への言及や死を意識する記述の割合が多いのに、「ああ、やっぱり…」と気づかされる。とりわけ、体力減退についての記述を読むのが辛い。そして、最後に収められた亡くなる数ヶ月前に出た文章では、これからも書き続けると意志を表明しているのに、せめて後数年は生きていて欲しかったという気になる。さようなら、松村さん。合掌…
読了日:11月28日 著者:松村 雄策
https://bookmeter.com/books/20168973

■名著のツボ 賢人たちが推す!最強ブックガイド
一作品につき紹介文が数頁ほどなので、サクサク読み進めることができたが、作品の読みどころについて語った賢者の言葉を著者が紹介するという体裁を取っているのが、本書の特徴であり、個人的に物足りないところ。できたら、全編賢者の言葉にして欲しかったかな…と言うのは著者に失礼か?紹介された本の半分程が既読本だったが、特に中国文学に疎いな…というのが発見と言えるか。とりあえず『三国志演義』あたりから攻めてみるか。それから賢者に比較的若い女性が多いのに時代を感じた。その流れで(?)『第二の性』を初めて読んでみたくなった。
読了日:11月26日 著者:石井 千湖
https://bookmeter.com/books/18304118

■全世界史 下巻 (新潮文庫)
もしかして人間って戦争をするのが、デフォルトなのかも…と思えてしまうくらいに、戦争の記述が続くのに驚愕。何かと問題はありながらも、七十年以上の長きに渡って戦争をしないでこれた日本という国が色々な意味で特殊なんだな…と再認識。著者が世界史プロパーではないために、内容に偏りがあるのでは…という懸念もなくはないが、膨大な参考文献を鑑みるに、確固とした知識を得た上での記述であると納得できる。逆に全くの偏りのない世界史なんて無味乾燥で面白みにかけるだろうし。本書を足台にして、他の世界史文献を紐解くのが良いのかも。
読了日:11月24日 著者:出口 治明
https://bookmeter.com/books/12922584

■花火・来訪者 他十一篇 (岩波文庫)
「夏すがた」まで読み進めるに至ってようやく既読本であると認識できた(笑)。それはそうと、解説にもある通り、明治初期から戦後十数年を生きて、その時代の変遷を目にしながら、常に世間と一定の距離を置きながらも、その一方で俗世間と意識的に戯れているかのような作品を紡いできた著者の独特のスタンスに驚かされる。一見、たわいもないように思える男女同士のやり取りの奥底に潜む感情の機微や悲哀、人間のどうしようもない愚かさ。怒涛のような歴史の流れに翻弄されるより、そのような人間の営みを描くことを自らの使命としたということか。
読了日:11月22日 著者:永井 荷風
https://bookmeter.com/books/13875321

■全世界史 上巻 (新潮文庫)
単行本で読了したものを文庫本で購入して再読。初読の時と同じく、とりあえず世界史の流れを把握するのには良い本だと再認識。また、混迷を極める昨今の世界情勢を理解するため、世界史を学ぶことがいかに重要かということを改めて痛感。過去に今と全く同じ事例があったわけでは、もちろんない。ただ、人間が行う営みや、政治的意図や野望というのは、基本的にあまり変わらないなと思わせる。また、各国の歴史的背景を知ることで、現在の政治的動きを見る目も当然変わってくるはず。ただ、個人的には著者がキリスト教にやや辛辣なのが気になる。
読了日:11月21日 著者:出口 治明
https://bookmeter.com/books/12922583

■現代小説の方法 増補改訂版
講演集ということでサクサク読めるが、しかし、スッと飲み込めるようなものでは決してない。著者自身、喋りが下手だと言っているように、流暢とは言い難い語りのうちに、表には現れてこない重層的な何かが潜んでいるように思われ、本来ならそこを注意深く読み込んでいく作業が必要ではないか?と思わされる。とりわけ興味深く思えたのは、やはり車についてのくだり。ネットやスマホの時代に、このような言述はどれだけの説得力を持つのか?しかし、この観点から小説を改めて論じることには意味があるのかも。未消化感強いので、再読が必要かも。
読了日:11月20日 著者:中上健次
https://bookmeter.com/books/19943263

■禅と日本文化 新訳完全版 (角川ソフィア文庫)
訳文のためか、著者独特の鮮烈な文体を味わえないという憾みは残るものの、それでもやはり豊穣な内容と独特の魅力に満ち溢れた一冊。とりわけ読み応えがあったのは、解説でも言及されている剣術について論じた章。人を殺す技術である剣術が芸術である。にわかに信じがたい…もしくは今日では問題になりかねない言述だが、その是非はともかくとして、著者の深い知見から出たものであることは確か。また、実際に剣道をやっている人でこの箇所を読んだ人がどれだけいるのか?ということが気になる。禅に対する見方に根本的な揺らぎをもたらす一冊。
読了日:11月19日 著者:鈴木 大拙
https://bookmeter.com/books/20095787

■宗教を物語でほどく アンデルセンから遠藤周作へ (NHK出版新書)
またもや登録する段階に至るまで既読本だと気づかなかった(笑)。著者が本書で述べている通り、既成の宗教を信仰する人が少なくなっている代わりに、宗教性を帯びる作品は今も書かれ、また読まれている。その事実はやはり大きく重たいと実感。初読の時には『深い河』に改めて興味を抱いたが、今回は一般的にはあまり知られていない「人魚姫」のラストが印象的。全く救いがないと思われていた人魚姫も実はそうではなかったんだな…と。それと気になったのは西加奈子の『きりこ〜』。ヘビーでありながらも、どこかほのぼの感があるのが印象的。
読了日:11月15日 著者:島薗 進
https://bookmeter.com/books/11128600

■新装版 海と毒薬 (講談社文庫)
悪くない作品。読む者の心を深く抉るだけの力を持った作品であることは確かなのだけれど、中途半端なところで終わった感が否めないのも事実。特にF大での解剖事件の後、どうやって勝呂は作品冒頭で描かられるような境遇に至ったのかが、語られていないのが、個人的に大きな不満。そこはあえて読者の想像に任せるという作者の意図が働いていたのか。また、勝呂の対となる戸田の精神形成史にはかなりの嫌悪感を覚えた。上田看護師とヒルダとの対峙も中途半端なままという印象が拭えないし。個人的には上田女史には、幸せになって欲しい気がした。
読了日:11月11日 著者:遠藤 周作
https://bookmeter.com/books/3036189

■スピノザ――読む人の肖像 (岩波新書 新赤版)
その思想についてそれ程深く理解している訳では無い。それでもなぜかその存在が気になり、折に触れ、関連書の類を読んでしまう。自分の中でそんな位置を占める不思議な哲学者スピノザ。実際、彼に関する著作は、本書でも言及されているドゥルーズのそれを始めとして独特の魅力を放っているものが少なくない。本書もスピノザの著作を年代順に解説しながら、同時にスピノザの数奇に満ちた生涯にも触れているためか、四百頁以上の大部な書でありながらも、割に一気に読了してしまった。幾度となく禁書になりながらも、読まれ続けた魅力は何なのか。
読了日:11月09日 著者:國分 功一郎
https://bookmeter.com/books/20234300

■純粋理性批判 6 (光文社古典新訳文庫 Bカ 1-7)
三分の二くらい読み進めたところで、その後長らく放棄。また最初から読み返すのも何なので、半ば強引に読了した感が。なので、その百分の一も理解できていないはず。それでも、興味深く思えた箇所、妙に引っかかった箇所が随所に見られたのは、やはり古典たる所以か。個人的にはキリスト教神学と関連するくだりがとりわけ興味深く読めた。しかし、いかんせん個々のタームの理解があやふやなままで読み進めてしまったというのに一抹の不満が。細部を気にせず一気に読むという読み方と、徹底的に細部に拘る精読を駆使して読むべき本だな…と痛感。
読了日:11月08日 著者:カント
https://bookmeter.com/books/4095186

■極楽とんぼ 他一篇 (岩波文庫 緑 60-6)
もしかすると、これって理想的な人生かも?とふと思った。良家に育ち、持ち前の世渡りの上手さと人好きのする性格で、何だかんだとお気楽のうちに一生を終える「極楽とんぼ」の主人公、周三郎。人間生きていれば、多少の不幸な目、理不尽な目に遭うこともある。しかし、この小説の主人公はそうしたことも、のほほんとやり過ごしている感が濃厚で、結局こういう人が勝ち組になるのか?と思ってしまう。植木等演じる平均の原型というか。併録の「かね」は、一見そのまま地味な一生を送ると思われた主人公がまさかの危険な冒険を重ねるのに驚き。
読了日:11月05日 著者:里見 トン
https://bookmeter.com/books/504803

■アナーキズム―名著でたどる日本思想入門 (ちくま新書)
何となし傍流左翼思想的なイメージが強いアナーキズムという思想。しかし、それはナショナリズムと同じくらい多種多量な形態をとり、様々な思想に近づいたり、潜在的に存在しうるという事実に驚き。国家も権力もない完全な平等な世界というのは、一度は誰しもが夢見るものかも知れない。しかし、それはまさしくどこにも存在しえないユートピアであり、それを実現しようとすると限りなくディストピアに近づいてしまうというアポリアを孕む。その決定的なアポリアが故に、アナーキズムという思想は、様々な形態を取りつつ、生き続けている気がした。
読了日:11月04日 著者:浅羽 通明
https://bookmeter.com/books/553413

■友情の文学誌 (岩波新書)
明治から昭和初期にかけて、文豪達が織りなす様々な友情のあり方。ネットはおろか電話も普及していない時代だからこその、現代ではあり得ない濃い関係性に改めて驚かされる。そして、その友人同士の濃い交わりには、少なからず同性愛的な要素を孕んでいるのが興味深い。また、その関係性には書簡のやり取りが大きな要素を占めているのも、この時代ならでは。郵便物が届くのに現在とは比べ物にならないくらいに時間がかかったはず。それをひたすら待ち、そして返事を返す。時間空間の感覚に今とは格段の違いがあったのだろうと想像させられる。
読了日:11月02日 著者:高橋 英夫
https://bookmeter.com/books/70503

■恋ごころ 里見トン短篇集 (講談社文芸文庫)
なぜこの作家をこれまでスルーしてきたのか?ついそんなことを思わされた。端正で品格のある文章。特に技巧を凝らしたとも思えない、何気ない表現が妙にグッとくること数知れず。また会話文にも独特の躍動感があり、つい引き込まれてしまう。ストーリーの構成も卓抜しているし、今日あまりに顧みられることのない感があるのが、不思議でしょうがない。個人的にとりわけ印象深かったのは「やぶれ太鼓」か。人好きのする性格であり、潜在能力も決して低くはないのに、怠惰な性格が災いして、今一歩のところで尻すぼみになる。それはそれで人生か。
読了日:11月01日 著者:里見 トン
https://bookmeter.com/books/232563


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