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出版社からのコメント
2007年3月28日、東京高等裁判所は信じられないような「判決」
を下しました。
警察の責任を全面的に認めた一審判決を、事実上くつがえすような内容でし
た。
警察が殺害を阻止できた可能性は3割しかない、しかも被害者にも落ち度が
あった、被害者家族の警察への訴えも不十分だったなど、目を疑うばかりの内容
です。日本の司法判断はどうなっているのでしょうか。
被害者のご両親の手記である本書をぜひ読んでみてください。これほどまでの
悲痛な訴えを警察は一貫して無視しているのです。当該警察署だけでなく、ご両
親はほかの署や県警本部にも訴え出ているのです。それがことごとく無視され、
そして殺害に到ったということは火を見るより明らかにおわかりいただけると思
います。
審理はこれから最高裁判所に移ります。ぜひ多くの方に事件の実態を知ってい
ただき、上告審の行方を厳しく見守っていただきたいと思います。
内容（「MARC」データベースより）
優しく、人を疑うことを知らぬ息子は、凶悪な暴走族の少年たちに殺された。警察は動いてくれず、夫婦2人だけで必死に息子を探し続けた日々。栃木リンチ殺人事件の被害者となった青年の両親が悲痛な思いを綴る。
犯人をバットで殴りたくなる。また警察への不信が確信に変わった。
2019年11月4日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
本書は、
須藤正和が同僚の3人から1999年10月頭から1999年12月2日まで、2か月間連れまわされ、都度暴行され、計720万円をおどしとられ、あげく殺害される物語である。
序章 霊安室
第一部 正和 4章による構成
第二部 事件 7章による構成
第三部 公判 1章による構成
で成り立っている。
序章霊安室では両親が息子正和の遺体と対面。
第一部では正和の生い立ちを写真を交えて紹介。
第二部では犯人たちに監禁されてから殺害されるまで。
第三部では裁判から判決、その後までが記述されている。
犯人たちは日産の同僚社員で、たまたまロッカーが隣であっただけでターゲットになった。
正和の両親は息子を殺害されるだけでなく、マスコミ・警察・加害者の親・日産からも被害を受ける。
�．泪好灰漾Ю杵造鯔汁�族の一員で、仲間割れで起こったリンチ殺人のように報道された。（実際はバイクに乗るのさえ臆病なくらいだった。）
��警察：傷害・恐喝・暴行・強要・逮捕監禁を受けているにも関わらず、事件性が無いと捜査してもらえず。（いつからこれらの行為は犯罪で無くなったのか？また県民の身体的安全・財産を守るのも警察の仕事では？）
�２坦下圓凌董�名誉棄損で訴えると恫喝。謝罪もまともにしない。
�て�産：息子が行方不明であるにも関わらず、面倒ごとは御免と退職届を強要。
また犯人たちの恐喝の被害が720万円にものぼっている。ほぼ正和の友人からの借金で、そのうち請求のあった620万円を返済した。被害者正和は1999年10月頭から12月2日までおよそ2か月連れまわされて、両親その他友人に金の無心を強要されている。その間、暴行は熾烈極まり、熱湯を浴びせられて、重度の熱傷まで負わされている。しかしそれでも警察は動かない。しまいには警察に相談に行っているときに犯人から電話がかかってきて、父親の友人を装ってくれという暗黙の了解を解せず、石橋署の署員を名乗り、殺害されるきっかけまでつくった。当該署員はミスを覆い隠すため、母親が「金なんかあるか、このデレスケ野郎！」と言ったせいだと嘘までついた。実際は母親はこの時電話に出ていなかった。
秋田県警でもあることだが、警察は嘘をつく。秋田で起こった弁護士殺人の時も、警察が銃を持った弁護士が犯人だと思い、取り押さえたが、それは犯人の銃を奪ったもので、犯人は別におり、警察が羽交い絞めにしているところを犯人に刺された。それを犯人が刃物を持って襲い掛かってきて自分たちはよけたが、弁護士は刺されたと嘘をついた。
本件も正和の両親が嘘をついた、あるいは事実を誤認した可能性があるが、両親とこの栃木県警のどちらを信用するか？自明である。
これでは今後陪審裁判で警官が証言しても、「本件、警官が証言したが、警察は虚言壁があり、信用が無い。よって証拠能力としては却下」と判決文を書く事案が出てくるであろう。
両親は息子を取り返すチャンスは1度はあった。それは正和が友人のところに金を取りに来た時で、しかし、正和を取り返すとその友人がちくったということで加害者から報復されると懇願されやめたのである。
最後に裁判では加害者は少年法に守られているので、強盗殺人で起訴されず、殺人で起訴された。それがゆえに死刑を免れたと述べているが、それは事実ではない。
まず判例では、強盗殺人1人で有罪となっても、死刑になる確率は2パーセントくらいである。次に強盗殺人と認定されるには、判例・学説上、強盗の機会に殺人が行われることが必要である。本件須藤正和は2か月に渡って暴行・脅迫を受け金を取られており、強盗の認定に必要な、「通常人をして抵抗不能な暴行・脅迫をし、財物を強取した」は満たしている。しかし、本書を読む限りでは、強盗の前後密接した時間帯で殺害されておらず、強盗殺人は無理であろう。よって単純殺人罪が成立するのみである。
逮捕を免れるという身勝手で営利的な理由で殺害しているので被殺害者は1人だが、無期懲役が妥当であろう。また本書で延べらていていないが、加害者の実行犯の2人の内1人は途中で怖くなり、首を絞めるのをやめており、そこは量刑上考慮されるだろう。（実際に有期懲役に減刑となった。）
仮にこの犯人たちが成人であればどうなったか？
成人・未成年で成立する罪名は変わらない。
殺人・強盗・逮捕監禁・営利目的誘拐・暴行・脅迫・強要が成立するであろう。
殺人がこの中で一番重大だから、殺人罪で主犯及び実行犯が無期懲役となる。途中で殺害を止めた者は減刑し、有期懲役刑に。しかし、殺人罪以外の強盗以下の刑を科せられる。よって、有期懲役刑の最高は15年から20年（現在は30年まで可）に伸長される。
懲役17年が判例から言って妥当であろう。
これが成人の場合の科刑である。無期懲役は最短10年出所不可。現在の出所平均は30年といったところか。
これを少年法のフィルターにかけると、無期懲役は最短7年で出所可能。現在の出所平均の30年に少年も含まれているか未知数だ。しかし10年が7年に短縮されているので、その分、出所が早くなることは推測される。
有期刑は最長でも最高刑が10年、最短が５年と定められているので、懲役17年が、５年以上、10年以下の不定期の懲役刑となる。ただし少年法改正前の話で、現在は10年以上、15年以下の懲役刑である。
また実名報道されないという効用もある。
この限りでは両親の言う、少年法に守られた、は正しい。しかし、死刑になるかならないかは無関係だ。
また「私たち遺族の悲しさや無念さは、当事者になってみないとわかるものではありません。犯人やその家族たちは、うわべだけの謝罪ではなく、厳しい社会制裁を受け、私たち遺族以上の地獄を味わってはじめて本当の謝罪といえると思います。」には心を打たれた。生物は所詮他者がどうなろうと、どうでもよく出来ている。人権派と言われる人たちはこれでも報復感情を抱いて汚い、とでも言うのか？
よく両親は加害者に直接的に暴行等の犯罪を犯さないで耐えたものだと、敬服するものである。
本書は正和がが殺害された1999年12月から1年3か月後の2001年3月に刊行されているが、素早い行動力には敬服するし、溜まっていたものを吐き出さずにはいられなったのだなと思う。法律の知識が無いのに良くやったと思う。
しかし、うがった見方をすればこの両親も正和と同じく、優しさや遵法意識があったために正和を救えなかったとも思う。正和の友人が報復されるのも顧みず、正和取り戻しても良かったし、バットで少年を殴り殺しても良かった。（正当防衛が適用されない可能性もあるが）また警察が動かないなら、その上の公安委員会に持っていく、またはマスコミに正和が火傷を負わされたテープを出すという対応もあったと思う。本来なら犯罪に手を染めたく無いが、愛する身内を救うためなら、正規の手続きで法が救済してくれないのなら、自己の良心に従って行動するのもありではないか？それを本書を手に取った方に考えていただきたい。そういう機会がなく生涯を終えることを願っているが。
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