映画レビュー：雨を告げる漂流団地

前回レビューの「ペンギン・ハイウェイ」の制作会社の新作ということで見てみましたー

いまどきは上映と配信が同時とかってのもあるんだねー
Netflixでタダで見れるから見てみたー

子供たちが団地と一緒に海に漂流するお話…ってどんな設定！？
海に流される団地の絵面がシュール。
オリジナルなのかな？
前情報なしにアタック！


あらすじとしては

航祐とその幼馴染の夏芽が以前住んでいた団地に幽霊が出るという噂が立っていた。
その通称「おばけ団地」にサッカー仲間の太志と譲に誘われて、夏休みに探検に行くことに。
唯一、開いていた航祐が元住んでいた棟に忍び込んだ3人は航祐の祖父が住んでいた部屋で夏芽と遭遇する。
夏芽は思い出の詰まった団地との別れが出来ずに居た。
夏芽はこの廃墟となった団地に住んでいるという「のっぽ」の面倒を見ているという。
「のっぽ」に会うために屋上に登った4人だったがそこに「のっぽ」は居なかった。
そこに屋上ではしゃぐ4人を見つけたクラスメイトの令依菜と珠理も合流。
航祐の祖父の死とともに関係がギクシャクとしていた航祐と夏芽は屋上で祖父のカメラを巡って取っ組み合いを始める。
カメラを持って逃げる夏芽だったが足を踏み外してしまい、屋上から転落してしまう。
と同時に急な夕立が6人を襲うと夕立が去った後には景色は一変！
辺りは大海原に囲まれていたのだ！
地面に落ちたはずの夏芽はそれが海へと変わったことで一命を取り留めるがまだ助かったわけではなかった。
突然、「おばけ団地」とともにどことも知れぬ海に漂流することになってしまった6人。
元の世界へと無事に帰ることはできるのか！？


とこんな感じ。

このあと、食糧不足になって、流れてきた体育館に乗り移って食料をゲットしたり、仲間割れをしたり、団地が半壊したり、仲間割れをしたり、団地から脱出したり、仲間割れをしたり、観覧車が流れてきたり、みんなで力を合わせたり、仲間割れをしたりします。

仲間割れは主に自分から巻き込まれに来た令依菜が起こします。
コイツ、トラブルメーカーすぎる…
いや、真のトラブルメーカーは夏芽か？ いや、やっぱりのっぽか…


まあ、令和版「十五少年漂流記」だねー
みんな大好き「十五少年漂流記」！

タイトル的には「漂流教室」っぽいけど、あっちは大人が居たのに対して、こっちは子供たちだけだからやっぱり「十五少年漂流記」でしょう。

でもなんかすんごいツメが甘い…
随所に気になるところがあるんだよねー

まずは大量のブタメンとコーラ。
これ、どっから出てきたの？
夏芽が持ち込んだみたいだけど、箱買いとかありえるのか？
そもそも、片親で団地住みの時点でお金持ってなさそうなのに…

そのあと、体育館でリュックいっぱいの食料ゲットしたけど、7人じゃあ、持って2日分だろ…
それ以降は食料の話全く出てこなくなるし、お腹が減ってる描写もなし。
だったら、もっと大量にゲットでよかっただろ…

他にも意味不明なシーンは多い。
流れてきたデパートが団地にぶつかる以外にほぼ意味なしとか…
なんかゲットしたりすればよかったのに。

観覧車の唐突な草人間の登場に誰も驚かないとか。
そもそも、のっぽはなんでどんどん木っぽくなっていくのかの説明も最後まで見てもわかんなかったなー

ピンチとご都合主義が交互に押し寄せてくる！

2時間の映画なのに引き伸ばし？ってくらい同じことの繰り返し…
えっ！ また仲間割れなの！？ って感じ…

正直、開始40分でまだ続くのか…？ってなっちゃった…



うーん、20点ぐらいかなー
ぶっちゃけ、まったく面白くないねー
「十五少年漂流記」をモチーフにしてここまでつまんない作品作れるとか逆にスゴいわ！
ゴールディングの「蠅の王」読んだほうが100倍は楽しめるね。

見てて結構苦痛だったな…
とにかくキャラクターが全然成長しない…
まあ、小学生だし、時間もそんなに経ってないみたいだから当然と言えば当然なんだけど、見てるこっちとしてはいい加減に成長しろよなーと思っちゃう。

サバイバル感が全然弱いのも面白くないポイント。
全然ハラハラドキドキしない。

そもそもが登場キャラクターの大半が不快で感情移入できないのが致命的。
まともなのは太志と譲くらいか。
というか航祐と夏芽、あとつっかかり役としての令依菜、キーキャラクターののっぽ以外の3人はかなりモブだからなー
そのうえ、メインの4人が不快という…

令依菜の不快さは他作品と比べても群を抜いていると思う。
それでいて改心することもないし…
なんでここまで徹底して不快さを巻き散らすのか謎…

あと重要キャラであるはずののっぽがキャラが薄いのは痛すぎだよなー
そのせいで最後の別れのシーンも実に淡々としてたし。
中盤当たりで大活躍して、一同に認められるイベントでもあればよかったのになー
そうすれば最後のお別れで涙を誘うシーンになっただろうに、まったくそんなことはなかった…

それと終盤は夜の嵐なせいもあって、画面が暗くてすんげー見づらかった…


はっきりいって良いところがまったくない作品。
見どころもどこだかわからない…

子供が見たところで得るものがあるのだろうか？

「ペンギン・ハイウェイ」みたいに冒険したって感覚にもならないし。
というか「ペンギン・ハイウェイ」と比べても、比較にならないレベルの駄作。
原作なしでもイケる！とか勘違いしちゃったのかな…

「ペンギン・ハイウェイ」は突拍子もないように見えて、その実、すべてが計算されつくされてる作品なのにねー
こっちはとりあえず突拍子もない設定作っとけってだけで、それが全然解消されない。

例えば
・夏芽がかつて体験したときには時間が経ってないと言ってたのに今回は時間が経ってたこと。
（しかし、どれくらい経っていたのかは謎 再会した親の反応見る限り一晩程度かな？　そこもすんごいモヤモヤする…）
・草人間
（なんで団地や建物の付喪神が草人間？）
・なんで海なのか
・流れてきた建物の時間の経過
（これが超不自然… 最初に流れてきた体育館から食料ゲットしたけどなんで体育館に食料が残っていたのか？ 取り壊すなら当然中の物も片付けるはず。しかも自販機とかもあってどういう状況なんだ？）


いろんなことに説明がつかない。
というか答えが用意されているとも思えない。

まあ、この作品は見ないことをおすすめするね……