Aimerさんの楽曲の「BlackBird」を考察しました。
(かなり主観が入っているので、気に入らない人は聞き流してくれたら幸いです)
私は数あるAimerさんの楽曲の中で暫定的1位な曲です。(3位以下はいつもグルグル変わってしまうんです)
そもそもAimerさんの声でロックサウンドと言う組み合わせが好きなんですよ。
さてはて、始めていきましょう。
正直「Black Bird」は、「嘘」とか「海の底」とか「消えていきそうだ」とかネガティブなワードが散りばめられていてAimerさんらしからぬ曲と感じます。
ただ、「歌詞に書かれている言葉の意味」を直接伝えるタイプじゃなくて、「歌詞に隠れた意味」を伝えるタイプの曲が多いので勘繰ってみました。
この楽曲は映画「累(かさね)」の主題歌になっていて、原作の漫画の世界観と同じようなダークな雰囲気で周到されています。
キーワードになるのが「醜態」と「変身」
映画(漫画)の主人公は、生まれながらに化け物のような容姿で周りの人間に笑われ、蔑まれ、父親にさえ「醜いものに価値はない」と言われながら生きてきました。
その主人公が、母親から譲り受けた口紅を使うことで人と顔を入れ替えることが出来る能力を知るのです。
楽曲のイントロがストリングスで始まり、まるで「演劇の開演」のような展開が映画とリンクします。(漫画の中では舞台演劇が、絡んできます)
そして1番の歌詞では
「醜い容姿で誰にも相手にされなかった。それでも、いつか報われる日が来るのだろうか?」
と切に願う様子を歌っています。
ただ、「醜い」という直接的な言葉ではなく
「Black Bird(黒い鳥・パッと思いつくのはカラスですかね)」
と歌っています。これは「外見だけが注目されて、それ以外の部分があまりに軽視される」って事をつなげて表現してると思います。
締めくくる言葉が
「愛されるような 誰かになりたかっただけ」
2番の歌詞を紐解いていきます。
冒頭の
「あなたの眼なら 歪んだ世界の何もかもが どんなにキレイだろう」
ここでドキッとさせられたのが、「あなた」の歌い方。
恋愛とかの曲の敬愛する相手・想いを寄せる相手に言う「あなた」とは違ってここでは
「普段から妬んでいて羨む眼差しを送っている相手」
を皮肉るように言う「あなた」
「キレイでいつだって友達に慕われてる、あなたにはわからないでしょうけどね」
と言う時の「あなた」な感じ。
やっぱりAimerさんらしくないんですよね。
2番の歌詞では「変身」の能力を手に入れたあとの世界線で展開していてサビに向かいます。
「ふいに消えていきそうだ 急に光りだす景色
真っ赤な太陽 羽根を溶かすの I fly」
キレイな顔を手に入れて主役として舞台に立ち、照明(太陽)を浴びる光景。醜かった黒い羽根も照明の熱で溶けていくようだ。
「こんな声の鳴き声なんて 誰も気づいてくれなかったよ」
演技力や発声では、誰でも惹きつける才能があったのに、歌詞の1番で海の底(水中で誰にも声が届かない世界)にいて相手にもされなかった主人公が、照明を浴びてその才能を知らしめる場面。
「まっ黒焦げに身を焦がして 愛を抱きしめるようなあなたになりたかっただけ」
浴びたことがない眩しい照明や歓声をその体に焼き付けて「愛される」という感覚を知る主人公の様子だと解釈しました。
1番の歌詞で「醜さで不遇な目にあってきたこれまで」を描き
2番の歌詞で「変身で美しくなって脚光を浴び愛される」事を描いて対比しています。
ただ2番のサビが終わると歌詞には、なっていないのですがAimerさんの「叫び」が入ってるんですよね。
この「叫び」が
『初めて愛される感覚を得た喜びの叫び』
なのか
『別の意味の叫び』なのか?
その答えになってると思えるのが最後の最後のフレーズ。
「愛されるような 誰かになりたかっただけ」
このフレーズの意味として改めて考えたときに言いたかった事が…
「誰かに愛して欲しかった」
だとしたら、直接的すぎるなと思うんですよ。
同じフレーズでも、1番のサビ終わりと最後のサビ終わりでは意味が違うんじゃないか?って感じたんです。
というのも、楽曲が展開していって状況が変わっていくのに、主人公の心境が変わらないなんて変じゃないですか?
2番の歌詞で変身能力で美しくなって「愛されるという事」を知った主人公は、同時に堪らなく虚しくなったんだと思うんですよね。
例えば
・頑張ってダイエットをして痩せた!
・メイクを勉強してキレイになった!
・(語弊があるかもしれませんが)お金を貯めて整形してキレイになった!
そんな「継続していける美しさ」ではなくて、変身の能力は「たった1日限定の仮り初めの美しさ」でしかないんです。
その美しさに歓声が上がり照明が当てられているだけ。
「本当の自分を愛してくれているわけではない」
と気づく。まさに「愛される『ような』」状態。
それに対する叫びなんだと思いました。
「真っ暗闇で声を枯らすよ I cry」
て歌詞は真っ暗闇で美しいか醜いか?分からない状況で、才能ある演技の声だけを聞いて判断して欲しい!て気持ちのあらわれなんですよ。
「まっさかさまに幻(ゆめ)の淵へ I fall」
ちなみに漫画の主人公の名前は『淵 累(ふち かさね)』ていうんですよ。だから、能力を使って「幻の淵」に落ちていくって解釈しました。
「愛されるような 誰かになりたかっただけ」
この締めくくりの言葉には、1番のサビと同じなのに通して聴いていくと、楽曲の本来の意味が込められてるんじゃないかと思いました。
「誰かになりたかっただけ」
まるで叱られたときに言い訳をする際に出る、投げやりで本気でそうなれるとは思ってなかったよ。というような口調。
「変身して本気で誰かに愛されるなんて思ってもみなかった。愛されるってのを経験したかっただけ」
のような。でも言葉の裏を返した意味は
「『愛されるような経験』が出来るなら、誰かになってみたい。でも、『ちゃんと自分には戻りたい』そして、そのままで愛されたい」
て聞こえてくるんですよね。
めちゃくちゃポジティブじゃないですか!?
歌詞の一つ一つは、ネガティブだったりするし伴奏もダークな原作に倣うように影を感じさせてるけれど、最終的に言いたいことは…
「ありのままで愛されたい」
伴奏や歌唱・歌詞とテーマのギャップがたまらないんですよ!
勝手な私の考察でしかないんですけど、そう考えたら「なんてスゴイ楽曲なんだ!」と思えてAimerさんの曲の中で暫定1位を維持しております。
以上Aimerさんの「Black Bird」の考察でした。
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