18981227 NO5610 万民公同会への勅語
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012_0120_0150 駐韓日本公使館記録 12巻 一二. 本省往来信 (15) 万民公同会への勅語
文書題目 (15) 万民公同会への勅語
文書番号 発第八十七号
発信日 明治三十一年十二月二十七日 ( 1898年 12月 27日 )
発信者 加藤 全権公使
受信者 青木 外務大臣
(15) 万民公同会への勅語
発第八十七号
先月二十六日、皇帝陛下が敦礼門（＊敦義門＝西大門のことか）前に出御の上、公同会（コンドンフェ）と負褓商（プボサン）に親諭され、双方の軋轢を融和された当時、独立協会にだけは「その本部の建物の外で集会してはいけない」との条件を付したうえで存立を許可されていたところ、独立協会員は皇国協会員の一部と依然公同会の名のもとに運動を続け、鍾路（チョンノ）に集会して
「かつて上請裁可を得ていた六ヶ条の実施」、
並びに
「五凶すなわち趙秉式（チョビョンジク）、閔種黙（ミンジョンムク）、金禎根（キムジョングン）、兪箕煥（ユギファン）、李基東（イギドン)に対する厳重処分」
を政府に迫り、ついに本月十日には集会を鍾路（チョンノ）から光化門（カンファムン）前に移し、ここを根拠地にして政府各部に論難のために出掛け、甚だしきに至って、出勤途中の有司（＊役人）を囲んで対議することもあった。このため各部の主なるものはこれを避けて出勤しなかった。たまたま出勤があったとしても、わずかに会員の集会が始まる前、即ち早朝に乗じて出勤をしていただけである。
各地方より度支部に上納すべき税金を運ぶ道もここであり、このために全く遮断され、数日間はほとんど無政府の姿に立ち至っていた。
十九日には漢城少尹・李啓弼（イギョンピル）、警務使・尹雄烈（ユン・ウンリョル）が来てその解散を話し合ったが従おうとしなかった。ただ彼らが光化門前にいて長期間にわたって上納を遮断することは巡検・兵丁などの怨恨を買うきっかけになることを自覚し、再び鍾路に引戻した。
これより前に、会員などが拘留していた負褓商・羅某の供述により、閔泳綺（ミンヨンギ）・閔丙奭（ミンビョンソク）などが秘かに負褓商を隠していることを聞知し更に激昂の度を高め、ついに第四回の上疏をなし、閔泳綺（ミンヨンギ）・沈相�癲淵轡爛汽鵐侫鵝法Χ睫牲宗淵�ムミョンギュ）などの黜斥（チュツセキ ＊追放）を要請した。
ところが閔泳綺は直ちに辞表を捧呈し、それと同時に「民会が背き逆らっていることを詰責して、その悪事・反道徳の罪科を問う」ということになったのでまたまた輿論は沸騰し、二十一日になって会員は多数で高等裁判所に突然無断で入り込み、閔泳綺との対席裁判を要請した。
このようにして騒ぎは更に大きくなり、政府部内では兵力をもって最後の処置に出ようとする者がいたのだが、大いにその間違いを唱えるものがいて、遂に二十五日には宮中より次の勅語を発せられた。
「ああ、お前たちよ、間違いなく朕の言葉を聴け。先月二十六日に城門に立って親諭してからまだ日は経っていない。朕はお前たちに再びこの挙があろうとは思わなかった。
ああ、お前たちの罪をお前たちは知っているのか。
本部のある場所を離れて開会することには既に禁令がある。ところが随所に集まり留まることを知らない。その罪の一である。
独立協会は既に準許しているのである（＊万民・共同は正式に許可している）。ところが万民・共同と擅（ほしいまま）に名を連ねている。これが罪の二である。
勅を以って批諭して退去させているのにもかかわらず、全くこの命に従わず、いよいよ甚だしく抵抗している。これがその罪の三である。
「鼠に投ずるに暴を忌む」（君主の側にいる悪い臣下を除こうとして君主を傷つけてしまうことを恐れる）は古人の戒める所である。ところが日常茶飯事のように大官（＊王の臣下）を凌辱している。これが罪の四である。
君主の過ちを明らかにすることは人の敢えてしないことである。ところがそのような手紙を入れた函を外館（＊外国公使館か）に投じ、自らの罪を隠そうとしている。これが罪の五である。
民と官とはそもそも立場が異なっている。ところが官人を威嚇し、無理やり会に赴かせている。これがその罪の六である。
府部の行政はおろそかにすることは出来ないものであるのに、それなのにお前たちは官衙に乱入して官人たちを脅してその勤めが出来なくしている。これがその罪の七である。
裁判事件は力でもって対決することではない。ところが訴えることがあると称して群を成して事を始めようとする。これがその罪の八である。
兵を派遣し門を鎖せとの命令には理由があるのに、憤りを逞しくし石を投じて重傷を負わせている。これがその罪の九である。
何度も命令によって召されていたなら、彼はすぐに来て待つべきであったのに、彼は一貫してそれに反抗し、粗野な言葉でそれを扇動したのだが、これがその罪の十である。
強盗は逃げても許されず、皆それぞれに罰せられるべきです。それなのに彼は公の場で歩き回って雇われようとしている。これがその罪の十一である。
そのほかの些細な所犯はここでは取り上げない。
最初は、忠実で思いやりがあると言い良くないものは何もなかった。しかし、結局は天理にそむき、混乱し、罪悪感から逃れる場所がなくなり、恐怖を感じるようになったのであろう。朕がお前たちの父母になった今、お前たちが最初は良かったことを知るだけでよいのだ。だから、お前たちが前後に犯したすべての罪から免除する。お前たちは二度と呪詛せず互いに連れ合って引き下がれ。
ああ、お前たちの中に朕のこのような言葉を聞いて涙を流さない者がいるだろうか。以上列挙したところは罪に当たるべきか、そうではないか。お前たちは罪を免れるための言葉はないであろう。
国家には定まった法があり、天の怒りは厳しいのに霹靂(いかずち)のような罰を与える道がないわけではない。ただお前たちの本意を子細に極めて見ると、お前たちは自ら罪に陥ることに甘んじるものではなかろう。本来のそのままの良心が必ず発するにちがいない。
それぞれがかつての過ちを洗い流し、みな共に維新に参加せよ。
朕は再度は述べないであろう。」
以上は民会を解散させることが主眼であり、その罪を数えしかもこれを許して不問とされたのは、結局それぞれに解散後の安堵を得させ、それによってこの解散を容易にさせようとされたもののようで、ここに早晩民会処分が一段落を告げるであろうと思われます。
以上具報に及びます。 敬具
明治三十一年十二月二十七日
加藤 全権公使
青木 外務大臣 宛
＊西大門近辺図
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＊【投鼠忌器】ネズミニ トウゼントスルモ キヲ イム 《故事》ねずみに物を投げつけて殺そうとしても、そばにある器物をこわすのが心配で投げられない。君主のそばにいる悪い家来を除こうして、君主を傷つけることを恐れることのたとえ。〔漢書・賈誼〕
【投鼠忌器】ネス゛ミニトウセ゛ントスルモキヲイム - 広辞苑無料検索 学研漢和大字典 (sakura-paris.org)
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