8/11(木・山の日)
第1章 地球外文明の数を見積もったドレイクの方程式について
21世紀、目覚しく科学が進歩するにつれ、SFの世界だった地球外生命体について、我々は考えるようになった。横浜国立大学の小林憲正教授は、テレビにも積極的に登場し、生物学の観点から、人々の疑問に答えている。彼自身は、広い宇宙のどこかに知的生命体が存在するのは間違いない、と断言していた。
宇
地球は、太陽系で唯一知的生命体が誕生し、自分たちのルーツを確かめるため研究に励んでいる。広大な宇宙空間にも必ず自分たちと同じく高度な文明を持つ星が存在すると確信し、電波を使って交信を図るようになった。知的生命体が暮らす惑星は、恒星から程よい距離にあり、液体の水に恵まれた環境だと、科学者の考えは一致する。地球に似た惑星と生命が誕生する領域を「ハビタブルゾーン」という。
写真=太陽系のハビタブルゾーン 掲載元 天文学辞典
https://astro-dic.jp/habitable-zone/
時代を追うごとに、宇宙の理解が深まり、ハビタブルゾーン内を公転する惑星でも、生物の進化は偶然の産物との見方が強まった。地球の生物は、衛星の月や、仲間の惑星木星に支えられていたのである。太陽系の惑星の配置が変わり、月の質量が少しでも異なっていれば、地球は自転軸は不安定になりやすい。現在時点軸は23,4度と安定し、日本列島を筆頭に、四季折々の気候に恵まれた。自転軸が横倒しになれば、極地の環境は夏と冬で大きく様変わりする。太陽の方をむいている夏は、灼熱地獄と化す一方、反対側の冬は、陽が当たらず、地面は凍りつく。地球では、ロシア連邦のサハ共和国が、世界で最も気温差があることで知られている。共和国内のオイミヤコン地区トムトル村は、観測至上最も低い零下マイナス72度を記録する一方、夏は30度近くまで上がる。夏と冬の気温差は100度に達した。サハ共和国の面積は日本の8倍ながら、人口は97万人、石油や石炭など天然資源に恵まれる一方、過酷な環境から、定住には向かなかった。
遠い宇宙で知的生命体の痕跡を探すには、地球について深く知る必要がある。
1961年にアメリカの天文学者フランク・ドレイクと著名な天文学者カール・セーガンが、独自に天の川銀河内で、知的生命が存在する数を方程式で表した。ドレイク博士が中心となって考案したことから「ドレイクの方程式」と 呼ばれる。 パラメーター値
N :我々の銀河系に存在する通信可能な地球外文明の数
R* :我々の銀河系で恒星が形成される速さ 10
fp :惑星系を有する恒星の割合 0,5
ne :1 つの恒星系で生命の存在が可能となる範囲にある惑星の平均数 2
fl :上記の惑星で生命が実際に発生する割合 1
fi :発生した生命が知的生命体にまで進化する割合 0,01
fc :その知的生命体が星間通信を行う割合 0,01
L :星間通信を行うような文明の推定存続期間 10000
以上の値を代入すると、10×0,5×2×1×0,01×0,01×10000=10
方程式を発表したフランク・ドレイク氏は、銀河系内のハビタブルゾーン内にある惑星で、知的生命を育む惑星が10個程度と見積もったのである。彼は、発表頭初、地球外文明の数を100万と表していた。1961年当時は、大きな天体の超新星爆発現象後に現れるブラックホールの存在も、中性子星も、マグネターの存在も知られていなかった。恒星の密集地帯では、中性子星やマグネターによる家電粒子の放射線により、生命に甚大な被害をもたらすと気付いた。知的生命の数を大幅に修正し、新たに10個と見直したのである。
ドレイク博士は、1960年に創設された知的生命探査組織SETIのメンバーで、50年間活動をしている。
写真=アレシボ・天文台の上空からの写真 掲載元 NATIONAL GEO GRAPHIC 第9回 鳴沢真也 正しい宇宙人の探し方〜SETIの話(前編)
https://natgeo.nikkeibp.co.jp/nng/article/20140625/404353/?P=3
1974年に当時所長を務めていたプエルトリコにあるアレシボ・天文台から、ヘルクレス座の方向にある2200光年離れた直径110光年に及ぶM13星団に向けて、メッセージを送った。このアレシボ・メッセージと呼ばれる信号は、二重らせん構造のDNAを持つ生物が、太陽系の第3惑星に存在すると読み解くことができる。なぜドレイク博士が、M13星団を選んだのか、太陽系よりも古い恒星が密集し、地球型惑星が必ず存在すると確信したからだった。地球型惑星で、単細胞生物が誕生していた場合、知的生命体へ進化するため十分な時間が与えられている。メッセージが目的の星に届くまで2200年かかる。目的の星に存在する知的生命体が、アレシボ・メッセージを読み取り、信号を送り返すまで2200年の歳月がかかる。
往復に4400年、その頃の人類は、現代の我々より優れた文明を持っていると期待される。一方で、人口増により、地球自体がパンク状態になり、食糧不足に陥っている可能性も否定できない。日々の暮らしに精一杯になると、他の星の知的生命体との交信に関心を示さなくなり、計画は頓挫してしまう。現在知的生命体探査組織SETIは、高性能の電波望遠鏡を使い、宇宙からの電波を拾っている。1977年にイテ座の方角から「Wow!シグナル」と呼ばれた謎の電波が受信された。科学者は、有為信号の可能性を検討した。もう一度イテ座の方向に望遠鏡を向けたものの、電波を受信できず、このWow!シグナルは、伝説として語り継がれることになった。広大な宇宙空間から知的生命体を探すには、地球型惑星の発見例が少ない以上、困難を極めるはずである。SETIは結成50年間、手掛かりを得られないまま探査プロジェクトを続けている。
第2章 太陽の重力を生かして観測
参考文献と写真掲載元 sorae 2022年7月20日付
https://sorae.info/astronomy/20220720-seti.html
近年、地球外生命帯との通信に向けて、画期的なアイディアが発表された。考案者は、ペンシルベニア大学の院生ニック・トゥサイさんを主導とする研究チーム、巨大な重力源によって光が増幅すると説いたアインシュタインの「一般相対生理論」をもとに、地球外文明との交信方法を探った。チームが、巨大重力源の候補として上げたのは、我々に身近な太陽である。いわゆる太陽を利用した「重力レンズ望遠鏡」を使うには、条件的には厳しい。観測者の地球、重力源の太陽、観測天体の3つが直列に並ぶタイミングに限られる。ターゲットの天体から発せられた電波が、太陽の重力によって、経路を曲げられる。目に見える光の場合は、増幅され、本来より明るく見えるのである。目に見える可視光線も電波も、同じ電磁波に変わりない。
ニック・トゥサイさんが考案した「太陽重力レンズ望遠鏡」の利用には、宇宙空間にて通信装置を打ち上げる必要がある。
写真=太陽重力レンズ望遠鏡の解説図 【 太陽重力レンズを利用した星間通信システムの概念図(Credit: Dani Zemba / Penn State)】
地球上では、将来の太陽重力レンズ望遠鏡の観測に向けて、同様の取り組みが行われていた。ターゲットは、地球に最も近い恒星、ケンタウルス座アルファ3連星のうちの一つ「アルファ・ケンタウリ」である。院生からなるチームは、アルファ・ケンタウリの周りを回る惑星に知的生命体が存在すれば、地球人のことを探ろうとしていると、信じていた。身近な地球を含め、星の生命体と交信を図るべく、電波受信機を設置していると仮定した。とりわけ望みが高いのは、隣の恒星太陽系の第3惑星地球だ。地球からの電波を受信するべく、恒星太陽から550天文単位(1天文単位は1,5億キロ)以上離れたところに通信装置が存在すると予測した。研究チームは、まだ見ぬ地球外生命体の心理状況を見越して、観測計画を立てたのである。早速、2021年11月6日にグリーンバンク天文台の電波望遠鏡「グリーンバンク望遠鏡(GBT)」を使って、アルファケンタウリの観測を行った。SETIプロジェクト「ブレイクスルー・リッスン」と共同で分析したものの、成果は上がらなかった。
大学院生が、指導教官の力を借りずに、自らアイディアを出して、望遠鏡の観測時間を確保したことに、天文学者は大いに評価している。
地球ー太陽ーアルファケンタウリが、一列に並ぶのは一夜だけだった。今後同様の取り組みをしていけば、手がかりがつかめるのではないかと期待されている。
以下 過去の関連作品。
宙生物学者に直球質問!「やっぱり地球外生命体はいるんですね!?」
https://news.mixi.jp/view_news.pl?media_id=141&from=diary&id=7068784
直近の宇宙関連日記 2022年4月8日 天体イベントと生命誕生(後編)135億光年先で銀河発見 地球内で生物誕生に迫る実験 最新ニュース
https://mixi.jp/view_diary.pl?id=1982021534&owner_id=32437106
地球外生命に関する日記 2020年6月17日付け 地球外知的生命体が存在する確率 アメリカSETIの取り組み 銀河系中心部から一般相対性理論を検証する
https://mixi.jp/view_diary.pl?id=1976033633&owner_id=32437106
2019年10月5日付 10月初旬の天文ニュース!銀河を形作る宇宙網を発見!地球外生命体に迫る
https://mixi.jp/view_diary.pl?id=1973206425&owner_id=32437106
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