10秒49。
フローレンス・G・ジョイナーが1988年、全米選手権で出した100mの世界記録は、2022年8月現在、いまだ破られていない。
今夏、たまたまオレゴン開催の世界陸上を見ていて、ある選手のファンになってしまった。
100mで金メダルに輝いた、ジャマイカのシェリー=アン・フレーザー=プライスだ。
ポケットロケットの異名を持つ彼女は、笑顔の素敵なチャーミングな女性。
しかしこの人、とんでもない記録の持ち主なのだ。
2008年の北京オリンピック100mでの金メダルを皮切りに、彼女のメダルラッシュは続く。
現時点での名だたる世界大会での100m、200m、4×100リレーでのメダル数だが、金メダル15個、銀+銅メダル8個
競技を始めたころの彼女は、光る才能はあるものの身体能力のみで走っていたそうだ。
それをコーチとともに、膝の上げ方、腕の位置、スタートの際の1歩目にいたるまで、ありとあらゆる部分のフォームを完璧になるまでつくりあげていったそうだ。
フローレンス・G・ジョイナーは1984年にロザンゼルスオリンピックで銀メダルを獲得。
しかしその後結果が出ず、たまに大会に出場する以外は陸上競技から距離を置いていたという。
しかし、1987年に電撃復帰すると、翌1988年に100mの世界記録を出しソウルオリンピックへの切符を手にした。
そしてソウルオリンピックでは見事に100m、200m、400mRでの3冠に輝いた。
ジョイナーはその後間もなく引退を発表し、38才で自宅で死亡。
体型や声の変化、唐突な記録更新からドーピング疑惑が浮上したが、検査結果は『シロ』だった。
結果がすべてだ。
もしも魔法の杖の一振りで栄冠を手にしたのなら、その代償はあまりに大きい。
家族と過ごせたであろう楽しい時間を永遠に失ってしまったのだから。
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