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2022年04月29日16:52

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アルテハイマート合奏団 第38回定期演奏会

2年ぶりの演奏会。
アルテハイマート合奏団の成長に感嘆。

☆アルテハイマート合奏団第38回定期演奏会
■【日時】2022年3月21日(月祝) 14時開演
■【場所】かつしかシンフォニーヒルズ モーツァルトホール
■【曲目】
♪ベートーヴェン/「コリオラン」序曲
♪ベートーヴェン/交響曲第1番
♪ベートーヴェン/交響曲第8番
アンコール
♪ポール・ルイス/ロサ・ムンディ
■【指揮】佐藤 雄一

アルテハイマート合奏団は、技術的に特に優れている訳ではないが、人間味のある演奏をする団体だ。
佐藤氏との共演も相当に長く、幾多の感動的なステージを生み出してきた。
それだけに、2021年1月31日(日)の演奏会がコロナの影響で中止となったのは何とも残念なことだった。
今回は、2年ぶりの開催。演奏会のない長い期間も、団員が技術を磨き、心に温めてきたものが披露された、素晴らしい演奏会となった。
フォト


♪ベートーヴェン/「コリオラン」序曲
今回は、オール・ベートーヴェン・プログラム。
クラシック音楽の歴史を代表する作曲家と言っても、その演奏は容易であるまい。
挑戦的なプログラムだった。

「コリオラン」序曲も、内に秘めた闘志を緩ませることなく、緊張感をもって演奏するのは大変なことだ。
アルテハイマート合奏団の演奏は、まず音程が正確であるといった基本的なことはもとより、気力、表現の面でも尻上がりに良くなるような演奏を聴かせた。

♪ベートーヴェン/交響曲第1番
佐藤氏は、以前は同曲をあまり評価していなかったようだ。
しかし、氏の音楽観も発展し続けているためであろう、今や、同曲の素晴らしさを隅々まで伝えてくださるようになった。
おかげで、私の中でも今では同曲は居場所を得て、いつでもその魅力が輝く曲となった。

第一楽章の主題が、モーツァルトの交響曲第41番と似ているのは周知の通りだが、神々しい洗練を感じさせるモーツァルトに対して、ベートーヴェンの同曲は、田舎から出てきた元気な青年という趣がある。
だが、栴檀は双葉より芳しとのことわざの通り、この青年の気力、想像力は途轍もない。
展開部では、とんでもないデーモニッシュな方向に発展する可能性を見せつつ、予定調和的に引き返してくるが、既に後年大化けする予兆に溢れている。
スケールの大きいコーダは、既にモーツァルトもハイドンも凌駕していると言わねばなるまい。

第二楽章は、流山フィルの秀演をも凌ぐ素晴らしい演奏で、大いに感動した。
各パートが心通うように対話しつつ進む音楽は、アルテハイマート合奏団ならではの素晴らしさが溢れていた。
最初の交響曲にして、これほど美しく含蓄豊かな緩徐楽章を書けるとは、ベートーヴェンはなんと優れた作曲家なのだろう!

第三楽章
史上初のスケルツォだが、佐藤氏はあまり快速には飛ばさない。それがかえってティンパニの連打や弦の動きの速い部分を生かすことに繋がっている。
中間部の美しさは天国的だ。

第四楽章
駆け上がる音型のアンサンブルがピタリと揃っている。
以前のアルテハイマート合奏団なら難しかったであろうことができるようになっている。
合奏力の向上が著しい。
中間部の掛け合いの音楽的な素晴らしさ!佐藤氏ならではの魅力を聴かせてくれた。


♪ベートーヴェン/交響曲第8番
同曲は佐藤氏の指揮でも最も聴いた回数が少ない方だ。
新日本交響楽団、会津大学管弦楽団に次いで3度目ではないかと思われる。

第一楽章は、明るさの中にもデーモニッシュなパトスの高まりがある所がこの曲らしい。
アンサンブル的には難所の連続と思うが、アルテハイマート合奏団は実に見事に演奏していた。

第二楽章
短い間奏曲のような楽章で、全体の中では印象に残りにくい演奏だったかと思う。

第三楽章は美しい音楽だが、ティンパニやコントラバスのアクセントが効いていて、ただの牧歌的な音楽ではない。
中間部の表現も素晴らしかった。ホルンが頑張ったのも良かったが、コントラバスが「ドッレミ」とずしっと低音を響かせる当たり、佐藤氏の解釈が音楽の多面的な姿を浮かび上がらせていた。

第四楽章
技術的にもっとも難しかったのではないかと思うが、アルテハイマート合奏団は、全く想定以上に見事なアンサンブルで弾き切った。
会津大学管弦楽団の鬼気迫る演奏とも異なり、ゆったりした中に燃えるものがある演奏だったと思う。

アンコールに珍しい曲が演奏された。

♪ポール・ルイス/ロサ・ムンディ
シンプルな形式のムードミュージックだったが、音楽の底を流れる悲しみには本当の感情があったかもしれない。
珍しい曲を取り上げてくれるのもアルテハイマート合奏団の良いところだ。


2年ぶりに聴いたアルテハイマート合奏団の演奏会は、以上のように大変充実したものだった。
技術の向上、気力の充実は、団員の皆さんの音楽への思いの強さを感じさせ、感動的だった。
医療現場などで頑張っておられる奏者の皆さんの健康と、ご活躍を祈念してやまない。
また、来年の演奏会が楽しみである。

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