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2022年04月03日08:22

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特別養護老人ホーム(社会福祉法人きらくえん)が出版した戦争体験集『いのちの足音』

特別養護老人ホーム(社会福祉法人きらくえん)が出版した戦争体験集『いのちの足音』
https://blog.goo.ne.jp/kikanshi-hon/e/a7df337f338f1ed857b301ad2af644f7
日本機関紙出版のブログからの転載

昨年末から編集作成に協力してきたユニークな本が出来した。

兵庫の社会福祉法人きらくえんが出した『いのちの足音』。以下、この本の出版を思い立った市川禮子名誉理事長の「はじめに」部分の言葉を借りながら紹介する。

きらくえんは、兵庫県下で5カ所の特別養護老人ホームを中心に、認知症のグループホーム、ケアハウスやサービス付き高齢者向け住宅等の住宅系施設や多岐にわたる在宅福祉サービス等を運営している。入居者はもちろん高齢者ばかりで、約800人の職員は若い人が多い。

きらくえんの運営理念は、デンマークのバンク・ミケルセンが提唱し今日のデンマークの福祉理念ともなっているノーマライゼーション。彼は第二次世界大戦時、デンマークに侵攻したナチスドイツに抵抗し強制収容所に送られたが、戦後復帰し国の社会省の仕事に就く。しかし知的障害者の施設を視察し「私は再びナチの強制収容所に出逢った」と、その管理的処遇の酷さに驚いた。そして、どんなに重い障害を持っていても、すべての人が人間らしい「普通の(ノーマルな)生活」を保障されるべきだと、ノーマライゼーションを提唱した。

市川禮子さんは言う。「私は1985 年にアウシュヴィッツ収容所を訪れ、その残酷さに息を飲んだ経験があり、幼児に体験した長崎での原爆がもたらした惨禍や神戸での空襲体験もあいまって「平和」を希求する思いを強く抱いていました。また、福祉は平和なくしては築けません。ノーマライゼーションの意は、突き詰めると平和な社会の実現にほかならないのです」

この理念を具体化する運営方針が、高齢者と職員の「人権を守る」こと、そして入居者や在宅福祉サービスの利用者、ご家族の要望や意見を大切にし、地域に根ざす「民主的運営」だ。そしてここからが大事なのだが、その具体化の最も重要なことが高齢者一人ひとりのこれまでの人生を知り理解し、これからの暮らし方の要望を実現すること。市川さんはこのことを前提に多くの高齢者の話を聴かれてきた。そこに共通して語られたのが太平洋戦争時のことだった。開設当初からしばらくは、実際に戦地で戦った体験を語る男性が多く、いまだ戦争の悲惨を心の傷とし抱え生きている人が少なからずいることを知ったそうだ。

毎年8月15日の終戦の日が近づくとテレビの関連番組に刺激され、戦友が目の前で殺された恐怖がよみがえり叫びだす認知症の人、戦後やっとの思いで戦地から帰ってきたのに、間違った戦死の公報を受けとった妻が弟と再婚していることを知り、故郷を出奔、90余歳で他界するまで独身のまま再び故郷の土を踏まなかった人、また女性では、夫が戦死した悲しみやその後の苦労、空襲の恐ろしさや戦後の混乱期、とりわけ、食物がなかった辛い経験を話す人が多くいた。

ところが、戦後76年を経た現在の高齢者の戦時体験は子どもの頃の体験に移行し、それも80代以上の人に限られている。戦地での体験を語れる人は90代後半となり、ほとんどいない。その一方、介護に携わる職員たちは当然ながら戦争の体験が全くなく、意識して知ろうとしない限り、学校で教えられた戦争を知識として知っているだけです。310 万人もの日本人が死に、その9割が1944 年以降の戦争末期であったこと、そしてどのような死であったのか、その実相を全く知らない。

市川さんは、この断絶は二つの理由で放置できないと思った。一つは、高齢者の生きた時代や体験した思いを、理解せずして一人ひとりを大切にする個別ケアはできないということ。そして二つ目は、現在も今なお目の前にある戦争への危機感だ。

しかし、苛酷極まりない戦争の実態を当事者から聴く時間はもう限られ、すでに遅きに失しているともいえるが、それでも高齢者の実体験を聴き記録し、世代の断絶を少しでも埋めたい、そして次の世代へも引き継いでいきたいと市川さんは強く思ったという。

こうして始まった2018年4月から施設利用者の戦争体験の聴き取りと原稿化作業は、歴史を専門とする元教師たちの協力も得ながら、途中コロナ禍で難しい作業ともなったが、4年の歳月を経てこのほど出版にこぎつけた。この間に故人となった人もいるが、47人の戦争体験を収録している。頒布価格1500円。問い合わせは以下の通り。

社会福祉法人きらくえん
https://www.kirakuen.or.jp/
〒651-0096 神戸市中央区雲井通4-2-2 マークラ―神戸ビル10F
TEL:078-242-7575 FAX:078-242-7576

まいど、日本機関紙出版です。
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丸尾 忠義
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