眩ゆい陽の光に照らされて、海が蠢いている。
もうすぐ春が来る。
呆れるほどに負った傷はようやく癒えて、いつか笑い話になった。
変わったことはあった?と、ある人は問う。
あったよ。と、僕は答えた。
でも、いつかはこんな日が来ると願っていた。
こんなにも穏やかで、何も考えず、変わり映えのない海をただ見つめて…
ここには何も無いけど、そんな時間さえ愛おしく思える。
潮の香り、波の音、それだけでも生きている意味が補えるように…
そう、もうすぐ春が来る。
ここに訪れる人達、エサをねだる鳩達、海沿いに渡る長い橋を通り過ぎていく車、
もうすぐ春が来る…
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