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2022年03月17日23:07

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重巡「伊吹」その3

 2からの続き
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 完成した艦橋。
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 この後、船体に接着します。
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 瑞雲を塗って完成。日の丸はデカール、それ以外のマーキングは全て手描きです。
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 搭載機は艦固有の汎用任務の機体と、爆撃専門(全面緑塗装)の部隊を増載している設定です。
 前者は尾翼番号244-XX(第二艦隊第四戦隊四番艦XX号機)、後者は192-YY(遊びで「空母いぶき」の艦番号とYY号機)としてますが、勿論架空のものです。とはいえ大戦末期の史実のルールに基づき識別番号を決めました。
 下面が明灰白色の機体の翼を折り畳むと明るい面が上に成り目立ち過ぎるので、上に成る外翼部分のみ米海軍のトライカラースキム同様に一段暗いグレイに塗られていたとしました。

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 応急修理用の棒材置き場や、搭載機の予備主翼やフロートを自作しました。日の丸も手描きしました。

 完成しました。
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 巨大化したカタパルトの持て余し感が強烈です。
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 制作中は最上型の印象が薄れて行きましたが、砲塔を載せて完成すると、迷彩等があるとはいえ紛れもなく最上型に見えるから不思議です。
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 以下は各部アップです。
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 錨鎖は真っ黒に塗ってしまうと模型然としてしまうので、ダークグレイでハイライトが出るように塗装し、エナメルの黒でウオッシングして立体感を強調しています。
 キットの錨鎖のデテールはスタッドも再現されており実感満点で、ここを細密チェーンに置き換えてしまうとデテールアップどころか逆に玩具っぽく成ってしまうと感じました。何でもやれば良いというものでは無いですよね。
矢印30:喫水線はフリーハンドの手描きですが、実艦は水平ではなく前後が少し高い円弧なので、演出的に艦首に向けて塗り分け線を上げていきます。喫水標も手描きです。
31:投抜錨作業観察の為の折りたたみ式キャットヘッド。第1砲塔脇にも同じ物が有りますが、そちらは水深を測る錘付ロープを投げる為の投鉛台です。
32:パラベーンの取付作業の際、曳航索位置の目安とする白線。

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矢印36:パラベーンは作業視認性を良くし、かつ目立ち過ぎないよう先端と翼部のみ白で塗りました。しかし純白ではなくスケールエフェクトで明度を落としたペイルホワイトを塗ってます。なお、予備のパラベーンは廃止としました。
 機銃用弾薬ロッカーやコンテナも適宜配置装備しています。
 9m救命カッターは主砲の後方への発砲の際の爆風の影響を受けてしまいますが、実際は内部に水を張って簀巻きにされてるものと想定しました。
 因みに最上型元設計では、この位置の4艇(救命艇カッターや8m内火ランチなど)の内、主砲爆風の影響が想定される最前列両側の2艇は発砲に備えて戦闘出撃の際に中央部内火艇格納所の両側の専用ラックへと移動させました。なのでその両方の位置にカッターが有る絵画や模型は間違いです。
 カッターのダビットは最上型特有のスマートなシルエットを強調したいので折り畳み格納状態としました。因みにダビットをダビッドと呼ぶモデラーが多いですが、昔プラモデルの説明書の誤記から広まった間違いです。

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矢印37:機銃台間には応急材ラックが有るものとしました。
38:野菜庫(或いは真水タンク?)を接着しようとして飛ばしてしまい無くしたので、代わりに適当な予備パーツを付けておきました。
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 機銃はファインモールドのナノ・ドレッド九六式25mm三連装機銃を使ってます。なお伊吹が重巡として完成している情勢では、戦訓で機銃に防弾版を装着するまでには至っていないと判断しています。

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矢印41:船体中心の喫水標
 艦中心部の機銃群は、敵機の進行方向に応じて一つの指揮装置で最大4基までの機銃を操作します。赤丸は左舷指揮装置と受け持ち機銃。黄丸は右舷指揮装置の縄張りで、後部の機銃2基は状況に応じて左右どちらにも対応可能と想定しました。

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矢印39:予備主翼格納位置
40:予備フロート格納位置。上の兵員待機室煙突側壁には予備尾翼かプロペラのラックを設けるのが適切かと考えます。
 兵員待機室天井には防暑の為にリノリウムが貼られていると想定しました。

 第7・8缶室吸気塔上にも予備フロートを配置しました。
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 艦載機の翼を折り畳んで露出する翼断面は機内色そのままではなく、保護の為に機体外部色で塗られています。
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 なお、オレ伊吹では主翼の折り畳み展開は人の手で直接翼を動かすのは無理(機体をレール+運搬車+滑走車に載せると凄い高さに成ります)なので専用動力のシャフトを機体下部から差し込んで(非常時は手動クランクを)使用すると想定しています。

 最上型から大きく変わった部分。
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矢印42:高角砲装填演習機。10cm高角砲の装填作業や安全スイッチ類の配置は12,7cmと変わらない為に装填演習機は同じ物が弾の対応だけ替えて使われた可能性もあります。
 この時代の高角砲の速射を維持するには人的要因が大きく占める為、日本以外の国も高角砲装填演習機を艦上に配置して練度向上に努めました。
43:後端の機銃にもちゃんと射撃指揮装置を付けてあげました。甲板作業の都合を考えて少し左舷寄り配置としています。
44・45:後部喫水標。44はプロペラ下端がキールラインより下に飛び出すのでその位置からの高さを表します。45は舵軸中心位置に書かれるクラッシックなスタイルで船底(キールライン)からの高さを記入します。
46:「きぶゐ」と艦名を右から読むスタイルで記入します。勿論戦時ですから艦名プレートは軍艦色で塗り潰されている筈ですが、模型的演出で入れました。
 艦名プレートを視認性の低下と防諜上の理由で戦争中塗り潰していたのは皆共通する認識ですが、一部のモデラーが艦名プレート以外の真鍮やメッキ部は無塗装のままだったと上から目線で主張していて驚きます。マニュアルで定められた金属地肌無塗装部を戦時に塗装するのには理由があるからですが因果関係で物事を判断出来ないのでしょうか・・・
 なぜ艦名を右から左に向かって書くのかは、やはり「睦月」製作記事中にありますのでそちらを参照して頂けたらと思います。
 リールに巻かれた索具は目立たぬよう暗く染色されてると想定しています。

 砲塔等は接着していないので、回して砲戦ごっこですよ。
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矢印33:格納位置の舷梯は実際は簀巻きにして波浪や発砲爆風から保護します。
34:測距・指揮方位盤塔も回転しますが、オーバースケールの双眼鏡が引っ掛かって思うように回せません。
35:高射装置も高角砲と連動しているつもりで角度を変えてみます。

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 艦載機は砲撃観測の為に射出されています。
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瑞雲は偵察・索敵・哨戒・観測、さらに急降下爆撃から空中戦まで行う万能機ですが、艦載の都合上大型化出来ず、一方で大重量化したこの時代にそんな都合の良い仕様が現実に成立したんでしょうか・・・

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 4番砲塔を前に回して発砲すると、内火艇が発砲の爆風爆炎で大変な事態に!(笑)

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 巨大化したカタパルトを回すと内火艇を踏み潰す事に!(苦笑)

 仕方がないのでランチと内火艇は半減としました。
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 一艘ずつのキャパを超える輸送力が必要な時は泊地や港湾の端艇に依存します。実際、重量軽減の為に搭載端艇を半減させた重巡があったようです。
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 因みに開戦後は平時の巡洋艦の重要任務である外交や測量科学調査任務は無いと見て良いので、米国では思い切って艦にはホエールボート(日本のカッターに相当)のみ搭載し、ジョリーボートやギグの類(日本の内火艇やランチに相当)は全廃して搭載位置には機銃台を増備しました。米国の支援能力においては艦固有の端艇は無くても困らない訳です。
 端艇を半減させて格納庫が完全に艦内に成ったので、艇の上にM型に折りたたむ蓋を付ければ主砲爆風対策に成る上に航空作業の床面積が増えて格段に使い易く成ります。ただ、機械室吸気口が艇格納庫内にあるので蓋の一部はパンチングかメッシュとせねば成りません。
 射出作業中は高角砲を前向きにして万一の際に砲身が邪魔に成らないようにします。
 高角砲射界制限は操作機械的に機能させます。12.7cm高角砲で見られる物理的に砲身を遮る射界制限枠はそもそも恰好悪いので私は模型に付けない派です。
 甲板後部両舷にある洗い場は、船体色と違うグレイで塗ってアクセントにしました。洗い場グレーチング部も木色で描いてます。一方、その外側の係船桁はキットに付属しない(不要パーツ中に有りますが大き過ぎて使えません)ので自作しましたが、これは船体と一緒に迷彩されてると考えました。
 5番砲塔後ろの防水布格納箱も船体色とは違うグレイとして見た目の間を持たせてます。
 こうした意図的演出を各部に施して模型の見栄えを上げる事と、考証再現とのバランスが大事だと私は思います。

 さて、ここからがメインイベントですよ。
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 厨二病的ミリオタ大興奮なシチュエーション、水上爆撃機大搭載です。
 爆装した瑞雲の重量を甲板が支えられるかは考えてはいけません。
 最初のしつこい考証行為は一体何だったのでしょう(笑)
 という訳で瑞雲を8機作ったのですが、無い知恵絞っても7機搭載が限界でした。

 射出開始です。
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 運搬車の構造は、台車と架台の間が回転出来る仕組みに成っており、艦載機を係止する際にレールの方向とは無関係に機を風上に向けておく事が出来ます。
 なので1機目を射出する際、他機が接触しないよう寄せると同時に向きも無理くり変えてラインを開けます。

 右舷で2機目が発艦。左舷は射出準備作業中です。射出が終わった機体の運搬車+滑走車は逃げ道が無いので海中投棄します。
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 因みに航空巡洋艦化した最上や航空戦艦の伊勢日向のレールが何故あのような配置に成っているかというと、使用済みの運搬車+滑走車を戻して車掛かりで搭載機を射出するからです。
 伊400の場合は、運搬車兼滑走車を射出後甲板下に降ろすエレベーターがあって、後続機の発艦に支障を来さないよう工夫されてました。
 搭載機の1機をカタパルト上係止としている古鷹型では、1機目の射出後に滑走車を後ろに戻せないので、カタパルト前方左舷側に滑走車置き場があり、射出後これを引き出しカタパルト前方に連結、滑走車を載せ替えて後ろの2番機をカタパルトに移動する邪魔に成らない仕組みとしていました。

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 3機目発艦。運搬車は海中投棄寸前。4機目準備中。

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 4機目射出。5機目準備中。

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 5機目射出。やっと運搬車は捨てなくて済みます。

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 6機目発艦。キットはどうゆう訳か直角方向のレール軸線とカタパルト中心が合って無いのでこの角度で運搬車からカタパルトへ機体を載せられません。勿論、実艦の最上型はレールとカタパルトの軸線は合致しています。
 射出の邪魔に成らない7機目は機体の準備を始めています。

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 条件さえ許せば、この角度からのカタパルトへの機体の移動、射出も可能と想定しました。

 余談の余談で裏技公開。
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 射出後の運搬車+滑走車をどうするか?の問題の解決法の一つ。
 運搬車をどける事が出来ない状況では、滑走車はカタパルト前方から投棄、続く機体の運搬車を前の運搬車に連結固定、機体を載せた滑走車は前の運搬車上を通ってカタパルトに移動する事が可能です。
 なお、キット部品に手を加えた運搬車はまだ高さが足りなくてカタパルトより低く成ってしまい失敗しました。

 ところで皆さん「瑞雲すげぇ。こんなんするのは日本人だけ」とお思いでしょうけど、上には上が居ます。
 仏海軍では艦載水上雷撃機ラテコエール298を戦力化しており、水上機母艦「コマンダン・テスト」等で運用していました。
 超性能艦載機として頂点に立つのは英海軍のスーパーマリン・シーガルで、車輪を出せば空母への発着艦も可能。2000馬力のエンジンと高揚力装置の組み合わせで高波浪上での離着水可能。が、先に書いた通り英海軍は戦艦巡洋艦搭載の艦載機を廃止してしまったので出番が無く成ってしまった悲劇的傑作機です。

 さて、ここまで来て完成品を見るに、まだまだ考察が足りない中途半端な物と成ってしまった感が拭えません。
 持て余すカタパルトを使い易くする点がポイントかと思います。
 なので思い切って高角砲の配置を高射装置近くまで前進。艦橋に干渉する爆風には目を瞑ります。追い出された高射装置は高角砲の間の後方に、高さを増して視界を確保します。その際、兵員待機室と一体構造物に載せ、煙突横の機銃台とも繋げます。
 高射装置に玉突きで追い出された探照灯はフォアマスト一体の架台を作って再配置。
 カタパルトは高角砲の前進配置に伴いこれも前進。
 内火艇格納位置は鈴谷より前進して煙突後部横に。
 搭載機&内火艇用クレーンはマストとは無関係の独立した物として、缶室吸気口と機械室吸気口の間(鈴谷のマストやや前)に頑丈な支柱を立て、形式はグーズネックかオリジナルな物とする。
 後部構造物の機銃台は下に端艇が無くなったので形状配置を無理の無いレイアウトに見直し。
 こうする事でより洗練されたオレ伊吹に成るのではないかと思うのですが、いかがでしょうか。

 伊吹製作記事なのに3/4は関係無い蘊蓄に成ってしまいました。
 飛行機や戦車同様、今後も計画艦・未成艦のキットが出て来ると楽しいですね。
 製作にあたり、海軍艦艇史研究家の小高正稔さんにアドバイスを頂きました。この一文を以てお礼と代えさせて頂きます。

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 おしまい。
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