健全というものを穿き違える。

清廉潔白、品行方正であろうとしたところで、本来がそういう存在ではないので無理が出てくる、それは健全とは程遠いものである。なんて前回削除されたからと言い出してみるのである。
　いや、私は健全な人間ではないので、抑圧や制限の方がよっぽど不健全になるのを自覚している。
　似たようなところで「人を傷付けるような表現」というものもあるが、それも「今まで人を傷付けたことのない者だけが石を投げなさい」と言いたくなるところで。

そんな訳で一般社会常識上での健全な鬼太郎をアップする。
　まぁまぁ本来通りのカラーリングで。今でも下手なアニメキャラよりよっぽどセンスある配色してるよね。青長袖に黒黄色極太ボーダーのベストだけで判る。
　ファレホでそれなり丁寧かつ適当に塗った。年始セールだったかでゴッドハンドの神ふでショートのセットを買ってたのが役に立った。ぶっちゃけ、硬面相と斜め筆Sしか使ってないけど。
　キットとしては、パーツ分けが適度に細かいのでかなり塗り易い。シリーズで何種か出てるけど肝心の猫娘が売り切れてるのねー。せめてもねずみ男と3体並べたいよね。


電脳コイル。
　まとめてTV放映で観終わった。なかなか面白かったし、子供時代のノスタルジーをくすぐりつつ、説明の難しいAR技術をビジュアル的にも判り易く消化してるあたり凄い。いや、判りづらいか。眼鏡かけてる時とそうでない時の描写は敢えて微妙にぼかしてるっぽい。だからこういうのに有りがちな「現実にも向こうのアレが出現した！」なんて展開はない。とは言え、精神体の分離による昏睡という現実への弊害は確かに現われはするのだけど。
　なかなかの切ない終わり方で、希望ももちろん有り。あまりに緻密で美麗な絵柄でも、勿論簡素過ぎる絵柄でも成立しない絶妙なバランスで、表情の描写に手抜きが無いのも大きいか。
　と言うかアニメ自体久しぶり、映画以外の物語すら久しぶり。あ、ガールガンレディ観てたわ、ポニテ先輩と後輩眼鏡ちゃんが可愛かった。

そしてプラネテスも観てる。こちらは毎週1話ずつなのでゆっくり進行。


「鑓の権三」1986/篠田正浩
　ツチのゴンゾウだと思ったら、ヤリのゴンザだった。日本語むつかちーね。古めの時代劇だけど、キャスティングは結構馴染みもある人が多い。アフレコなんだろうけど、どの役者も声が良くて、聞き取りやすい。一体いつから邦画はあんなボソボソ声のクソ編集音響になってしまったのか。
　着物のデザインが役者ごとに合ってる。カメラもライティングも良い。けど話はまぁ…ただの痴話なんで。
　大滝秀治が関根勤に似てて草(逆)。田中美佐子は綺麗。

「21グラム」2003/アレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥ
　凄く綺麗なお乳。凄く綺麗なブルーとピンクの夕焼けに鳥の群れ。別々の3つの家族が悲劇で繋がれていく。時系列ぐちゃぐちゃで、人の心も関係もぐちゃぐちゃで、ただ最後は命の重さだけが切り取られたような醜く美しい映画。
　冒頭のブルーとピンクの印象的な空が巻き戻されるのはなかなか。重さをテーマにしただけあって、不平等に思えたことを他で吊り合いを取ろうとする男二人の行動が物語の流れになっている。
　時系列ぐちゃぐちゃ系映画としても最初から観直したいとは思わなかったけど、役者の演技が良く、徹底して冷静で演出味の薄い俯瞰で、少しずつ断片的なシーンが視聴者の中で繋がれていく。
　まぁループものとかでも滅多にもう一回観たいとか思ったことないんやけど。で「バードマン」の監督か。あっちは割と雰囲気だけはもうちょい明るめだったな。